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故郷 過去編
訓練終了……?
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「はい! 皆さんお疲れさまでした。これにて今日の魔法系スキルの訓練を終了します」
「「「お疲れさまでした」」」
あの後、全員の魔法スキル習得が終わったと思える段階まで達した。と、僕はスキル技『鑑定』で確認を取ったので終了宣言をする。
「あれ? サボにー、私は?」
……まあクーネ以外の全員だ。
ピンク色の雰囲気を漂わせていたエド兄さんも、マロン姉と抱き合っているところを周りから見られていた事に顔を赤くしながらも途中から訓練に戻って無事に習得を果たしていた。
全員から微笑ましい眼差しで見られていたら、そりゃ恥ずかしいだろうなぁ。
「クーネはこの後、僕と1対1で教えてあげるよ」
「そっかー。分かった!」
頭を撫でつつ僕がそう言うと、クーネは「にぱぁ」と笑顔で頷いた。
「それじゃあ、みなさん。家の中に移動してください」
「「「?」」」
僕の言葉に顔へ疑問符を浮かべながらも全員僕の家に入る。
そして事前に用意していた広間の椅子に全員座ってもらったことを確認すると、僕は前置きをしておいた。
「では、訓練を終了しますので、僕のスキルを切りますね?」
まだ全員キョトンとしているが、まあ初めてだから分からないよね?
あ、マロン姉は何かに気付いたっぽい顔をしたけど、僕だって何時までもスキル維持しておけるわけじゃないからね。
僕の中のサポートスキルへ意識を向ける。
《サポートスキルによる意識共有を終了……接続解除》
《サポートスキルによる同期を終了します》
《サポートスキル『共感覚』を終了》
《サポートスキル『完全補助』を停止》
《サポートスキルによる補助を終了》
《他者へ向けたサポートスキルを終了します》
頭に流れてきた恩恵のセリフと共に、椅子に座っていた全員が同時にテーブルに突っ伏したのが見えた。
やっぱりこうなったかー。
「さ、サボ? こりゃ、いったい?」
まだ比較的体力を残していた父ですら、顔を上げるのがやっとという状態だ。
そもそも体力でどうのこうの出来ないはず、なんだけどね? 元冒険者だと何か違うのかな?
「父さんには『魔法使いの魔力枯渇状態』って説明で通じるかな? 今みなさんが感じていることを説明すると、それぞれの魔法系スキルを限界まで酷使した状態がソレです。これはもうスキルパワーが回復するまで、みなさんも回復しません」
父は僕の説明に「これがか……」と納得したのか浮かした顔をテーブルに戻して呟いていた。
スキルパワーと僕は言っているが、魔法使い達の認識では魔法系スキルは『魔力』を使って発動しているというのが通説だ。
別に僕はこれを否定したい訳じゃないのだけどもね?
だがどちらの言葉にしようとも、共通認識がひとつだけある。
それが『枯渇』だ。
魔法系スキルを限界まで使用した人は、スキルパワーや魔力といったものが回復するまで極度の虚脱状態になってしまう。
これに例外はなく、限界まで魔法を使った冒険者が倒れるといった事態もそう珍しい話でもないらしい。
また武術系スキルで使う『武技』というものも、限界までスキルパワーを振り絞ると同じ現象が起きることもある。
まあ武術系スキルや魔法系スキルを使う人たちは、お互い「体力がない」だの「無駄に動きすぎだ」だのと言い合いすることもあるそうなのだが……。
僕からしてみれば、どちらも同じことにしか見えないんだよね?
「これは、マジきついな……。この状態のクーロンに『動け』とか随分酷い事言ってたな、俺。もう少し優しくしてやるべきだったなぁ。アイツも女なんだし」
まあ、お互い経験したことなければ分からないだろうね。
父も経験したからそう言う言葉が出たようだし。
……ただ、母が横に居るんだけど? 滅茶苦茶怖い目で見てるんだけど?
今は動けないから何も言っていないのだけれども、フォローはしないよ父さん?
話が脱線したから元に戻すが、先程までみんなが動けていたのは、僕のスキルパワーを共有していたからだ。
「つまり簡単に説明すると――」
僕は木の板を壁に数枚置くと、細い炭を使ってなるべくシンプルに説明する。
スキルパワーの数=自分+僕=+X → スキルパワーの数=自分=0
「今この状態ってわけだね。スキルパワーが0になると動けなくなるので、さっきまでは僕のスキルパワーを受け取っている……う~ん、まあ使える状態だったって説明で分かるかな? つまり皆さんのスキルパワーが0になってからは、僕のを使って練習してもらっていたわけです」
「あ~、私が戦闘魔法を使えた理由もソレが原因かぁ」
マロン姉がそう言いながらも毛布を配ってくれている。
この中で僕以外に唯一、元から魔法系スキルを使えていた人物だ。
『アースボール』をぶっ放してくれたけど、本人の魔法系スキルのスキルパワーは0になっていないから動けるのだろう。
ただ――
「マロン姉が戦闘魔法を使えるのは、僕のせいってだけじゃないよ? 元々、どの魔法系スキルも15歳の時に覚えた人なら、最低でもレベル3にはなっているみたいだし?」
「え? マジ?」
訓練すれば、だけどもね?
「――あの」
「? はい。なんでしょう?」
テーブルの上に顔を置いてこちらを見ている人――てかアサのお母さんか。なんだろう?
どこか言いづらそうにして口をもごもごとさせた後、アサのお母さんは意を決して話し始めた
「――私、文字が読めないんです。あと計算も」
その言葉に何人か顔を動かしている。……結構居るな。
僕はそう言われて、先程書いたものを見る。比較的簡単な言葉で書いたつもりだったんだけど……。
そうか、そのレベルかぁ。
「「「お疲れさまでした」」」
あの後、全員の魔法スキル習得が終わったと思える段階まで達した。と、僕はスキル技『鑑定』で確認を取ったので終了宣言をする。
「あれ? サボにー、私は?」
……まあクーネ以外の全員だ。
ピンク色の雰囲気を漂わせていたエド兄さんも、マロン姉と抱き合っているところを周りから見られていた事に顔を赤くしながらも途中から訓練に戻って無事に習得を果たしていた。
全員から微笑ましい眼差しで見られていたら、そりゃ恥ずかしいだろうなぁ。
「クーネはこの後、僕と1対1で教えてあげるよ」
「そっかー。分かった!」
頭を撫でつつ僕がそう言うと、クーネは「にぱぁ」と笑顔で頷いた。
「それじゃあ、みなさん。家の中に移動してください」
「「「?」」」
僕の言葉に顔へ疑問符を浮かべながらも全員僕の家に入る。
そして事前に用意していた広間の椅子に全員座ってもらったことを確認すると、僕は前置きをしておいた。
「では、訓練を終了しますので、僕のスキルを切りますね?」
まだ全員キョトンとしているが、まあ初めてだから分からないよね?
あ、マロン姉は何かに気付いたっぽい顔をしたけど、僕だって何時までもスキル維持しておけるわけじゃないからね。
僕の中のサポートスキルへ意識を向ける。
《サポートスキルによる意識共有を終了……接続解除》
《サポートスキルによる同期を終了します》
《サポートスキル『共感覚』を終了》
《サポートスキル『完全補助』を停止》
《サポートスキルによる補助を終了》
《他者へ向けたサポートスキルを終了します》
頭に流れてきた恩恵のセリフと共に、椅子に座っていた全員が同時にテーブルに突っ伏したのが見えた。
やっぱりこうなったかー。
「さ、サボ? こりゃ、いったい?」
まだ比較的体力を残していた父ですら、顔を上げるのがやっとという状態だ。
そもそも体力でどうのこうの出来ないはず、なんだけどね? 元冒険者だと何か違うのかな?
「父さんには『魔法使いの魔力枯渇状態』って説明で通じるかな? 今みなさんが感じていることを説明すると、それぞれの魔法系スキルを限界まで酷使した状態がソレです。これはもうスキルパワーが回復するまで、みなさんも回復しません」
父は僕の説明に「これがか……」と納得したのか浮かした顔をテーブルに戻して呟いていた。
スキルパワーと僕は言っているが、魔法使い達の認識では魔法系スキルは『魔力』を使って発動しているというのが通説だ。
別に僕はこれを否定したい訳じゃないのだけどもね?
だがどちらの言葉にしようとも、共通認識がひとつだけある。
それが『枯渇』だ。
魔法系スキルを限界まで使用した人は、スキルパワーや魔力といったものが回復するまで極度の虚脱状態になってしまう。
これに例外はなく、限界まで魔法を使った冒険者が倒れるといった事態もそう珍しい話でもないらしい。
また武術系スキルで使う『武技』というものも、限界までスキルパワーを振り絞ると同じ現象が起きることもある。
まあ武術系スキルや魔法系スキルを使う人たちは、お互い「体力がない」だの「無駄に動きすぎだ」だのと言い合いすることもあるそうなのだが……。
僕からしてみれば、どちらも同じことにしか見えないんだよね?
「これは、マジきついな……。この状態のクーロンに『動け』とか随分酷い事言ってたな、俺。もう少し優しくしてやるべきだったなぁ。アイツも女なんだし」
まあ、お互い経験したことなければ分からないだろうね。
父も経験したからそう言う言葉が出たようだし。
……ただ、母が横に居るんだけど? 滅茶苦茶怖い目で見てるんだけど?
今は動けないから何も言っていないのだけれども、フォローはしないよ父さん?
話が脱線したから元に戻すが、先程までみんなが動けていたのは、僕のスキルパワーを共有していたからだ。
「つまり簡単に説明すると――」
僕は木の板を壁に数枚置くと、細い炭を使ってなるべくシンプルに説明する。
スキルパワーの数=自分+僕=+X → スキルパワーの数=自分=0
「今この状態ってわけだね。スキルパワーが0になると動けなくなるので、さっきまでは僕のスキルパワーを受け取っている……う~ん、まあ使える状態だったって説明で分かるかな? つまり皆さんのスキルパワーが0になってからは、僕のを使って練習してもらっていたわけです」
「あ~、私が戦闘魔法を使えた理由もソレが原因かぁ」
マロン姉がそう言いながらも毛布を配ってくれている。
この中で僕以外に唯一、元から魔法系スキルを使えていた人物だ。
『アースボール』をぶっ放してくれたけど、本人の魔法系スキルのスキルパワーは0になっていないから動けるのだろう。
ただ――
「マロン姉が戦闘魔法を使えるのは、僕のせいってだけじゃないよ? 元々、どの魔法系スキルも15歳の時に覚えた人なら、最低でもレベル3にはなっているみたいだし?」
「え? マジ?」
訓練すれば、だけどもね?
「――あの」
「? はい。なんでしょう?」
テーブルの上に顔を置いてこちらを見ている人――てかアサのお母さんか。なんだろう?
どこか言いづらそうにして口をもごもごとさせた後、アサのお母さんは意を決して話し始めた
「――私、文字が読めないんです。あと計算も」
その言葉に何人か顔を動かしている。……結構居るな。
僕はそう言われて、先程書いたものを見る。比較的簡単な言葉で書いたつもりだったんだけど……。
そうか、そのレベルかぁ。
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