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故郷 過去編

魔法系スキル訓練 実践

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 僕の使うサポートスキルは対象を自分か他人のどちらかを選べるスキルだ。

 剣術スキルなどの武術系スキルは基本使う人本人に対して影響を与えるスキルと言えるだろう。
 魔法系スキルは攻撃や回復、地形などに影響を与えることを考えれば自分以外の他者に効果を及ぼすスキルと言えるかもしれない。

 まあどちらでも多少は他者や自分に向けて使えるスキル技があるから、厳密には分けられないんだけどもね?

 だが僕の使うサポートスキルは、使っている僕自身がほど効果を及ぼす範囲が広すぎるのだ。

 他の冒険者にそれとなくスキルの事を聞いてみたが、少なくとも僕の聞いた限りではそこまでの能力を持ったスキルが存在しないという結論に至るしかなかったくらいだ。

 さて、ここで僕のサポートスキルで出来る事を大まかに挙げてみよう。

 1つ、が覚えていないスキルを覚えるサポート。

 2つ、僕が覚えたを効率的に使うサポート。

 3つ、僕のを、他者に共有するサポート。

 他にも効果や効果、スキルなどがあるが。これはまあ2つ目の理由の内に入るから割愛してもいいだろう。

 こういった出来る事を組み合わせてサポートスキルを使っているのだが、魔法系スキルの訓練――伝授においてはこのに更なるをする必要がある。

 4つ、僕のスキルをサポートだ。

「おおお? サ、サボ? この感覚は一体?」
『まあ驚くのもしょうがないよね。おそらくだろうから』
「ん? 声が聞こえてきた!?」

 狼狽する父は置いておく。別に声が聞こえてきても問題ないと思うんだけどなぁ。

『はいは~い。とりあえず疑問には答えるから、今は魔法の訓練続けま~す。今、みなさんは魔法系スキルが使ですので、先程別れたグループごとに基礎魔法を使って貰います。じゃあ全員手の平を上に向けてから、土魔法スキルの人は土を思い浮かべて『アース』、火魔法スキル人は火を思い浮かべて『ファイア』、水魔法スキルの人は水を思い浮かべて『ウォータ』、風魔法スキルの人は風が集まってくる事を思い浮かべて『ウィンド』、母さんと一緒の人は光の球を思い浮かべて『ライト』と唱えてみてね』

 みんな困惑のがあるみたいだが、それでも今自分が持っていると思っているので他の人と距離を開いてから腕を上げて詠唱を唱える。

『『『アース!』』』
『『『ファイア!』』』
『『『ウォータ!』』』
『『『ウィンド!』』』
『『ライト!』』

 一斉にスキルが発動してそれぞれの手の平の上に各属性毎の土や火、水や光が浮いているのが見える。

 風だけは上位魔法クラスにならないと目に見える様にならないから見えてないけどね。ただ、使っている本人達は集まってくる風を感じ取れているはずだ。

 ちらりと僕は自分に使った『』の結果を見てみる。
 そこに映ったスキルパワーのを見て――

 ……これだけ人数が多いと一気になぁ。

 そう、スキルを発動させるスキルパワーはなのだ。

 まあ下位魔法なら唱えたって大丈夫な僕だ。それよりも下の基礎魔法ならそのはイケるのだが、さすがに使う数が僕だけじゃなく30人越えだから一気に減った。

 それでも自分達が使うもなかった魔法を使えたことが嬉しかったのか、何度となく土や火、水や光が生み出されては消えていく光景を見ながら、僕がほっこりしていると突然目に見えるほどスキルパワーが減った。
 基礎魔法でここまでの消費はあり得ないと、スキルパワーのを追いかける。そこに居たのは――

『マロン姉!?』
「あはは~、どうしようサボ~」
 土魔法スキルレベル3相当の『アースボール』を手にオロオロとしているマロン姉が居た。

 ていうか何やってんのこの義姉は!

 土魔法スキルに限らず、攻撃魔法として魔法系スキルを使っている冒険者や魔法研究者が長い年月をかけて魔法系スキルのレベルを方法として『ある目安』が在る。

 魔法系スキルレベル1はそれぞれの属性魔力を収束させ放つ『アロー』

 レベル2は更に収束巨大化させた『ランス』

 レベル3は収束させた魔力を放って、付近で炸裂させる『ブラストボール』

 レベル4は術者から広範囲に放つ『ウォール』

 レベル5はその広範囲化した魔力を、対象付近で発動させる『トルネード』となる。

 それぞれのレベルで放てる魔法の目安が、その人の魔法系スキルレベルを表す指標となるのだ。


 素直に『鑑定』しておけば? という意見もあるが、教会で『鑑定』した場合は鑑定書の発行も併せてという決まりがあり、1回で金貨1枚は必要になるというから装備だのに金を使いたい冒険者は、そうそう『鑑定』を受けることはない。たまたま冒険者をやっている奇特な神官でも居れば別だろうけども。


 って! 現実逃避している場合じゃない!
『マロン姉! とりあえず森にでも投げちゃって!』

 マロン姉の手に浮かぶ『アースボール』は拡大収縮を繰り返しているように安定していない。おそらく初めて使った魔法に術者の動揺が影響しているのだろう。

 僕に言われて、マロン姉が森に向かって『アースボール』を
『なんで魔力で飛ばさないのぉ!? 『ウィンドスロー』!』

 本来は投擲補助の魔法をマロン姉が投げた『アースボール』に使って、森に届きそうになかった『アースボール』の飛距離を伸ばす。追い風を受けた『アースボール』が森へと消えていき、しばらくするとドオォン! と爆発音と舞い上がる砂ぼこりが森の木々の隙間から見えた。

 僕がホッと息を吐きだしていると、マロン姉がエド兄さんに拳骨を食らっていた。

「お前はすぐに調子に乗ると、からも言われていただろう!?」

 エド兄さんの言う『ばあさま』は、ミカやマロン姉の方の魔法の師匠でもあるおばあさんの事だろうな。
 ウチの家は父さん母さんが一番の年長者だし、僕も物心ついた頃には見たことがない。

 正論を言われ、頭に一発拳骨(ただ僕の目には寸止めしてから威力を弱めた一発だと見えた)を食らったマロン姉は「ご、ごめんなさ~い」と泣きながらエド兄さんに抱き着いていた。エド兄さんもマロン姉をそっと抱きしめている。

 ……なにこれ?

 僕の意識にウチの家族から『』と何とも言えない雰囲気の意識が返ってくる。


 ……僕達はそのピンク色の雰囲気が漂う空間を無視して、魔法スキルの訓練を続けることとした。
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