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帰郷 農業者編
少女達の願い
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僕の提案を聞き、それを聞き入れた男達がおっさんを捕まえて、全員でゾロゾロと街道を歩いていく姿が見える。
「……ぷはぁぁぁぁぁ!」
僕は男達の姿がだいぶ離れた事を確認すると、胸に貯めていたモノを吐き出すように盛大に溜め息を吐いた。
「大丈夫ですかサボ兄さん? まさか! あのスキルってすごく疲れるモノなの!?」
そんな僕の心配をしたのかアサ達女の子が寄ってくる。
僕は皆に落ち着くように軽く両手を上げて答えた。
「いや~、ここだけの話にしてほしいんだけどもね? 僕が執行スキルを使えることは黙っていてほしいんだ」
そういうと全員「?」という顔をした。
ある程度は話さなきゃダメかー。
「えーっとね? 執行官って知ってるかな?」
「知ってるー」
「悪いことすると来るんでしょー?」
「サボにーも来る?」
「来ない来ない。んじゃ、説明するけど執行スキルってのは、執行官じゃなきゃ使えないスキルなんだ」
「え? でもサボ兄さんは使えるんでしょ?」
アサの言葉に頷くしかない。
「まあ、執行スキルを覚えてれば誰だって使える、ハズ?――普通はあり得ないけど――ともかく使えないっていうのは闇魔法スキルと同じように、人前で許可なく使えないって意味だね」
そう、本来執行スキルというのは神官の人達の中でも専門の訓練を受けた人達が、神託スキルというスキルをレベルアップさせて覚えるものなのだ。
スキルのレベルアップで覚えるスキルを派生スキルという。
例えば剣術スキルをレベル3まで鍛えた人が、それまで使っていた剣の種類によって長剣、大剣、小剣、曲剣など細分化やより上位スキルとなるのが派生スキルだ。
僕のサポートスキルはその過程をすっ飛ばして、相手のスキルを見たり体験した僕にそのスキルを覚えさせる、とんでもないスキルなのだ。
そう、ここで問題が発生する。
つまりはあの夜、親切にもやばい爆弾を投下してきた執行官の言葉ではないが、本来国で管理するようなスキルもなんら一切の容赦もなく、僕は覚える事が出来てしまうのだ。
「んー? つまりサボ兄さんは『執行官』じゃないってこと?」
「アレ? 僕、最初に君達とあった頃、『冒険者』だって名乗らなかったっけ?」
「あー、あの頃はまだそんな余裕なかったし……」
皆覚えていないのか、そっと目を逸らされた。
大丈夫。実は僕もちょっと自信なくなってきたから。
「――あ、だからお父さん達に、あのおじさんを『街』まで連れて行くように頼んだんだね? サボ兄さんがスキルを使ったとバレないように!」
――正解。
あの時提案したことは、
『皆さんも一歩間違えれば罪を犯していたでしょう。その罪滅ぼしと言うわけでは無いですが、皆さんで責任をもってこの人を街まで運ぶ。今度は道を間違えないように。それでどうでしょうか?』
という事だ。
内心バクバクいっていた。
『それなら執行官様もついてきてくださいよ』と言われたらどうしよう? とか考えていたが、アサのお父さん達も含めてみんなが『罪滅ぼしか……、確かに』と言った瞬間、内心でガッツポーズを決めたほどだ。
一応、食事に掛かるであろう路銀はいくらか渡してあるし、最悪、あのモグリの奴隷商が逃げたってかまわない。
何せ執行スキル『断罪』は別の執行官に合わない限り、そのスキル効果が無くならないらしいからだ。
あれだけの男達に囲まれて、それでも無事に逃げられたとしても、待っているのは人里から離れて生活するしかない選択肢。
それに僕の言葉を嘘だと思って街に入ろうとすれば、直ぐに衛兵や兵士の御用となる身分だ。
「とりあえずなるようになるさ」
まあ人の人生にそこまで関わる気も起きないしね。
今はこの子達の面倒を見て、実家の農業を手伝い――
「あのサボ兄さん。ちょっとお願いがあるんだけど」
「うん? どうかしたの?」
思えばここで聞き返さず、真っすぐドンガ村に向かえばよかったと思う。後の祭りだけども。
「私達の村に寄ってもいい? 割と近くだし」
言われて僕は考える。
確かにそろそろ追加の食料を買ってもいいかもしれない。
「分かった。案内出来る?」
僕の問いかけに「昔見たことのある場所みたいだから大丈夫」と言われて、僕はアサ達の案内でアサの居た村へと寄ることにした。
結果、アサの母親達を含めて同行者が増えた。
……なんで?
「……ぷはぁぁぁぁぁ!」
僕は男達の姿がだいぶ離れた事を確認すると、胸に貯めていたモノを吐き出すように盛大に溜め息を吐いた。
「大丈夫ですかサボ兄さん? まさか! あのスキルってすごく疲れるモノなの!?」
そんな僕の心配をしたのかアサ達女の子が寄ってくる。
僕は皆に落ち着くように軽く両手を上げて答えた。
「いや~、ここだけの話にしてほしいんだけどもね? 僕が執行スキルを使えることは黙っていてほしいんだ」
そういうと全員「?」という顔をした。
ある程度は話さなきゃダメかー。
「えーっとね? 執行官って知ってるかな?」
「知ってるー」
「悪いことすると来るんでしょー?」
「サボにーも来る?」
「来ない来ない。んじゃ、説明するけど執行スキルってのは、執行官じゃなきゃ使えないスキルなんだ」
「え? でもサボ兄さんは使えるんでしょ?」
アサの言葉に頷くしかない。
「まあ、執行スキルを覚えてれば誰だって使える、ハズ?――普通はあり得ないけど――ともかく使えないっていうのは闇魔法スキルと同じように、人前で許可なく使えないって意味だね」
そう、本来執行スキルというのは神官の人達の中でも専門の訓練を受けた人達が、神託スキルというスキルをレベルアップさせて覚えるものなのだ。
スキルのレベルアップで覚えるスキルを派生スキルという。
例えば剣術スキルをレベル3まで鍛えた人が、それまで使っていた剣の種類によって長剣、大剣、小剣、曲剣など細分化やより上位スキルとなるのが派生スキルだ。
僕のサポートスキルはその過程をすっ飛ばして、相手のスキルを見たり体験した僕にそのスキルを覚えさせる、とんでもないスキルなのだ。
そう、ここで問題が発生する。
つまりはあの夜、親切にもやばい爆弾を投下してきた執行官の言葉ではないが、本来国で管理するようなスキルもなんら一切の容赦もなく、僕は覚える事が出来てしまうのだ。
「んー? つまりサボ兄さんは『執行官』じゃないってこと?」
「アレ? 僕、最初に君達とあった頃、『冒険者』だって名乗らなかったっけ?」
「あー、あの頃はまだそんな余裕なかったし……」
皆覚えていないのか、そっと目を逸らされた。
大丈夫。実は僕もちょっと自信なくなってきたから。
「――あ、だからお父さん達に、あのおじさんを『街』まで連れて行くように頼んだんだね? サボ兄さんがスキルを使ったとバレないように!」
――正解。
あの時提案したことは、
『皆さんも一歩間違えれば罪を犯していたでしょう。その罪滅ぼしと言うわけでは無いですが、皆さんで責任をもってこの人を街まで運ぶ。今度は道を間違えないように。それでどうでしょうか?』
という事だ。
内心バクバクいっていた。
『それなら執行官様もついてきてくださいよ』と言われたらどうしよう? とか考えていたが、アサのお父さん達も含めてみんなが『罪滅ぼしか……、確かに』と言った瞬間、内心でガッツポーズを決めたほどだ。
一応、食事に掛かるであろう路銀はいくらか渡してあるし、最悪、あのモグリの奴隷商が逃げたってかまわない。
何せ執行スキル『断罪』は別の執行官に合わない限り、そのスキル効果が無くならないらしいからだ。
あれだけの男達に囲まれて、それでも無事に逃げられたとしても、待っているのは人里から離れて生活するしかない選択肢。
それに僕の言葉を嘘だと思って街に入ろうとすれば、直ぐに衛兵や兵士の御用となる身分だ。
「とりあえずなるようになるさ」
まあ人の人生にそこまで関わる気も起きないしね。
今はこの子達の面倒を見て、実家の農業を手伝い――
「あのサボ兄さん。ちょっとお願いがあるんだけど」
「うん? どうかしたの?」
思えばここで聞き返さず、真っすぐドンガ村に向かえばよかったと思う。後の祭りだけども。
「私達の村に寄ってもいい? 割と近くだし」
言われて僕は考える。
確かにそろそろ追加の食料を買ってもいいかもしれない。
「分かった。案内出来る?」
僕の問いかけに「昔見たことのある場所みたいだから大丈夫」と言われて、僕はアサ達の案内でアサの居た村へと寄ることにした。
結果、アサの母親達を含めて同行者が増えた。
……なんで?
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