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帰郷 農業者編
規格外のサポート特化冒険者
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干し肉や日持ちのしない野菜などで作った鍋料理をみんなで分け合って食べ終えると、僕は鍋を軽く洗いながらみんなに告げた。
「さて、それじゃあこれから1ヵ月くらいかな? 僕の故郷に向かうことになる訳だけど――そういえば自己紹介してなかったね? 僕の名前はサボ。ついこの間まで冒険者パーティを組んでたんだけども……。冒険者パーティって言って分かる? そう、冒険者同士で何人か集まって作る仲間達の事だね。僕の居たパーティは同じ村から出てきた者同士で集まってたんだ。まあ、みんなよりも僕の方が年上だったから、あれこれと面倒を見てたんだけどね~。どうもそれが気に入らなかったみたいで、パーティを抜けることになったんだ」
僕はあっけらかんとした口調で話したのだが、どうも年上の女の子3人は同情的な表情をしていた。
いかんいかん。変な勘違いをさせたかな?
「まあ元々、ハーゲンの爺さん。ああ、ハーゲンの爺さんってのはリックの祖父で、リックっていうのはパーティに居た……まあ村のガキ大将みたいな子かな? そのハーゲン爺って人に頼まれちゃってね。『リックが冒険者に成るのに同行して見守ってほしい』ってさ。僕としても同じ年の子が村に居なかったから、最悪1人で冒険者になろうかと思ってたところに降って湧いた話だったし、とりあえず了承して1年間村を出るのを遅らせた訳。でもその当人から突然『クビだ!』って言われてね」
「いやいや参ったよ」と僕は肩をすくめて、おどける様に言った。
これで僕がさほど気にしていないことが伝わるかなと思ったのだが――
「そんな一方的な事って酷すぎます!」
「サボさんに頼んでおきながら、突然パーティを追い出されるなんて!」
「そのリックってヤツの○○握りつぶしたいね」
どうやら怒りにまで感情が高まってしまったようだ。
というか、○○って女の子が使う言葉じゃないよ?
聞いた僕も思わずヒュン! てしたよ。
「あー、そのー、とりあえず僕が不義理をした訳じゃないってことをハーゲン爺に伝えておこうかな? と思って大体1年ぶりくらいに故郷に向かおうとしてるって訳さ」
「だから怒らないでね?」と僕が言うと、しぶしぶといった感じで女の子達が怒りの矛先を収めてくれた。
僕自身、そんなに怒ってないからね。
「あ、でも」
「?」
「リック達ちゃんとやってるかなぁ? 最後まで僕がダンジョンの引率をしてたんだけど?」
「引率ってなんですか?」
「引率ってのはね――」
ダンジョンの引率。
それは『管理された』ダンジョンに潜る冒険者達の生存率向上のために作られた制度で、ダンジョンに潜る冒険者自身だけではなく、その他に潜っている冒険者への余計な被害などを極力出さないために、冒険者ギルドで集められた知識を冒険者がしっかりと覚えているか試すテストがあり、3つの分野に分けた知識全てを一定基準以上覚えた冒険者に与えられる資格がある。
その認定3つが無ければ『管理された』ダンジョンに入る資格なしと判断され、逆に3つ認定された冒険者が『引率』すれば基準を満たさない冒険者でも入ることが可能となる。
またパーティとして登録された冒険者達がそれぞれで認定を補って、3つ揃えることが出来ればパーティとしてダンジョンに潜ることも可能となる。
ただその場合は潜れる階層制限などが発生するのだが。
サボはパーティの中で、たぶん唯一の認定3つ持ちだった。
一応、手分けしてもいいから認定を受ける様に言ってはいたのだが。
「ま、僕をクビにするタイミングでリックが認定3つ取れたのかな?」
それだったらリックの態度も頷ける。
おそらく年上からアレコレ言われるのがイヤだったのだろう。
それで奮起して認定3つが取れたのだったら、僕としても嬉しい限りだ。
何せ見守るにせよ、それが何時までとは決めていなかったのだから。
「……それって認定って取れてるのかなぁ?」
「取れてないに明日のご飯かけてもいい」
「話で聞く限り、ただのバカ」
おおう、女の子達が随分と辛辣なことを言っているぞ。
……実は僕も若干心配しているパターンだ。
「ま、彼らももう大人の仲間入りをしている年齢だから、自分達の事は自分達でどうにかするだろうさ。それよりも僕はサボ。君達の名前は?」
ちょっと脱線した会話を元に戻す。
「あ、そうでした。わたしがアサ」
「イコだよ」
「……ウル」
「エリ」
「オーティ」
「カシャ6才!」
「キリ6才!」
「クーネ。5才」
女の子たちが年長から順番に名前を教えてくれた。
そして代表してアサが僕に聞いてくる。というか自分が一番聞きたいような様子だ。
「それで、街の中で言っていた事ですけど、私達にスキルを覚えてもらうって言ってましたよね?」
「うん言ったけど?」
「スキルって15歳になった人がもらえるモノじゃないんですか?」
「あ~、その認識かぁ」
世界では15歳を迎えた人、その全員がスキルを授かると言われている。
まあ実際に貰えるんだけどもね?
でも冒険者として活動して色々な人から集めた情報からすると、僕の中である一つの仮説が生まれたのである。
それは――
「たぶん15歳に貰えるスキルって、その年まで頑張ってきたこととか、ずっと思い続けてきたこととかが反映されてるみたいなんだよね」
「はんえい?」
「えっと、たとえば木剣でチャンバラを続けてきた子は剣術スキルが貰えたとか、ずっと魔法が使いたいと願っていた子が魔法スキルを貰えたとか」
「? じゃあやっぱり15歳にならないと――」
「いや、それがそうでもないんだよねぇ」
そう数が多い事例ではないのだが、貴族の子供とか15歳よりも若いころから厳しい訓練をしていた場合、15歳で貰ったスキルを神官職の鑑定で調べた時に2つとか3つ持っていた事があったそうな。
「それで15歳を過ぎて冒険者として生活している人の多くは、15歳の時に貰ったスキル以外のものも持っている人が居るんだよね」
まあ中には貰ったスキルだけを鍛え上げている人も居るんだけど。
「ま、とりあえず僕も初めての試みなので気楽に構えててね? それじゃあ立ち上がって、隣の人とぶつからないくらいの間を空けて立ってもらえるかな?」
僕の言葉に戸惑いながらも間を空けて立ち上がっていくアサ達女の子。
先程料理に使ったかまどの炎の明かりと、もうそろそろ落ちそうな日の光の中、並び立つ女の子達の前に向かい合わせで立ち上がった僕はまず手本を見せる。
「足を軽く横に開いて、ちょっと気持ち腰を落とす。そして両腕はこうして腰の横に置くようにして構えてね。そしてゆっくりとでいいから右手、左手の順番で拳を突き出す。1、2! 1、2!」
「い、1、2、」
「1? 2」
揃わぬ掛け声に、動いた途端に崩れる姿勢。
いきなり言われても、まあまともに動けはしないだろう。
それは分かっている。
「それじゃあもう一度さっきの姿勢に戻って息を整えようか、吸ってー、吐いてー、リラーックス。……サポートスキル『補助』」
ボソリと呟き、スキル発動を意識する。
「いいかい? それじゃあ1、2!」
再度の掛け声に、女の子達が首を傾げつつ構えを取って拳を突き出す。
「「「1、2! !!」」」
するとどうだろう、先程までへっぴり腰だった姿勢が嘘のようにきれいになり、突き出す拳もビュッ! と空を切る音を立てたではないか。
「どうだい? 何か感覚が掴めたかい?」
驚きに満ちた顔でお互いを見つめあう女の子達。
良く分かる。あの感覚は言葉で表現するのが難しいからだ。
15歳で僕が貰ったサポートスキル。
これの真価はドンガ村に居た頃には分からなかったのだ。
これが大きく化けたのは、僕が冒険者になってからだ。
いや、化けたというよりも環境が整ったというのが正しいだろう。
「と、それじゃあ続けていくよ。1、2、3!」
コンビネーションの種類を増やしていく僕。
普通はド素人がいきなりやろうとしても付いて来れないだろう。
しかし――
「「「1、2、3!」」」
「そうそう、次は足も混ぜていくよ。1、2の3!」
「「「1、2の3!」」」
僕の手本に付いてくる女の子達。
そうして1時間くらいは経っただろうか。日の光は完全に落ちて夜となった頃、僕について来れていた女の子達の動きが鈍ってきたのを見て、今日の訓練は終了することとした。
「はい。お疲れさまでした」
「「「お疲れさまでした!」」」
終了の掛け声と共に女の子達がその場に崩れ落ちる様に脱力してしまった。
「疲れたかい?」
「ははは、人生で一番疲れました」
返事をくれたのは一番の年長であるアサだけであった。他の子は返事をする気力も無いようだ。
「とりあえず後1週間くらいは夜の食後に同じような訓練を続ける予定なんだけど……、出来そうかな?」
「もちろん! まるで自分が自分じゃないみたいに動けるんですよ! 楽しいです!」
僕の心配をよそにアサが言う。
どうやら自分の体が、思う様に動かせることが楽しめているようだ。
他の子も疲れた顔をしていても、苦しそうな表情をしていないということは、概ね同じように捉えていると思って構わないだろう。
「了解。とりあえず服を着替えて、今日はもう寝るといいよ」
僕がそう言うと全員「はい!」と返事をした。
……だが動く気配がない。
「……もしかして一歩も動けないの?」
「「「あ、あはは~」」」
苦笑いをする女の子達。
さすがに服を引っぺがして強引に着替えさせるのもどうかと思ったので、とりあえず全員草を敷き詰めた荷車に放り込んでその日は強引に寝かせることとした。
その日から1週間後。
訓練を続けた女の子達は、全員が『体術』スキルを身に着けることが出来たのだった。
「さて、それじゃあこれから1ヵ月くらいかな? 僕の故郷に向かうことになる訳だけど――そういえば自己紹介してなかったね? 僕の名前はサボ。ついこの間まで冒険者パーティを組んでたんだけども……。冒険者パーティって言って分かる? そう、冒険者同士で何人か集まって作る仲間達の事だね。僕の居たパーティは同じ村から出てきた者同士で集まってたんだ。まあ、みんなよりも僕の方が年上だったから、あれこれと面倒を見てたんだけどね~。どうもそれが気に入らなかったみたいで、パーティを抜けることになったんだ」
僕はあっけらかんとした口調で話したのだが、どうも年上の女の子3人は同情的な表情をしていた。
いかんいかん。変な勘違いをさせたかな?
「まあ元々、ハーゲンの爺さん。ああ、ハーゲンの爺さんってのはリックの祖父で、リックっていうのはパーティに居た……まあ村のガキ大将みたいな子かな? そのハーゲン爺って人に頼まれちゃってね。『リックが冒険者に成るのに同行して見守ってほしい』ってさ。僕としても同じ年の子が村に居なかったから、最悪1人で冒険者になろうかと思ってたところに降って湧いた話だったし、とりあえず了承して1年間村を出るのを遅らせた訳。でもその当人から突然『クビだ!』って言われてね」
「いやいや参ったよ」と僕は肩をすくめて、おどける様に言った。
これで僕がさほど気にしていないことが伝わるかなと思ったのだが――
「そんな一方的な事って酷すぎます!」
「サボさんに頼んでおきながら、突然パーティを追い出されるなんて!」
「そのリックってヤツの○○握りつぶしたいね」
どうやら怒りにまで感情が高まってしまったようだ。
というか、○○って女の子が使う言葉じゃないよ?
聞いた僕も思わずヒュン! てしたよ。
「あー、そのー、とりあえず僕が不義理をした訳じゃないってことをハーゲン爺に伝えておこうかな? と思って大体1年ぶりくらいに故郷に向かおうとしてるって訳さ」
「だから怒らないでね?」と僕が言うと、しぶしぶといった感じで女の子達が怒りの矛先を収めてくれた。
僕自身、そんなに怒ってないからね。
「あ、でも」
「?」
「リック達ちゃんとやってるかなぁ? 最後まで僕がダンジョンの引率をしてたんだけど?」
「引率ってなんですか?」
「引率ってのはね――」
ダンジョンの引率。
それは『管理された』ダンジョンに潜る冒険者達の生存率向上のために作られた制度で、ダンジョンに潜る冒険者自身だけではなく、その他に潜っている冒険者への余計な被害などを極力出さないために、冒険者ギルドで集められた知識を冒険者がしっかりと覚えているか試すテストがあり、3つの分野に分けた知識全てを一定基準以上覚えた冒険者に与えられる資格がある。
その認定3つが無ければ『管理された』ダンジョンに入る資格なしと判断され、逆に3つ認定された冒険者が『引率』すれば基準を満たさない冒険者でも入ることが可能となる。
またパーティとして登録された冒険者達がそれぞれで認定を補って、3つ揃えることが出来ればパーティとしてダンジョンに潜ることも可能となる。
ただその場合は潜れる階層制限などが発生するのだが。
サボはパーティの中で、たぶん唯一の認定3つ持ちだった。
一応、手分けしてもいいから認定を受ける様に言ってはいたのだが。
「ま、僕をクビにするタイミングでリックが認定3つ取れたのかな?」
それだったらリックの態度も頷ける。
おそらく年上からアレコレ言われるのがイヤだったのだろう。
それで奮起して認定3つが取れたのだったら、僕としても嬉しい限りだ。
何せ見守るにせよ、それが何時までとは決めていなかったのだから。
「……それって認定って取れてるのかなぁ?」
「取れてないに明日のご飯かけてもいい」
「話で聞く限り、ただのバカ」
おおう、女の子達が随分と辛辣なことを言っているぞ。
……実は僕も若干心配しているパターンだ。
「ま、彼らももう大人の仲間入りをしている年齢だから、自分達の事は自分達でどうにかするだろうさ。それよりも僕はサボ。君達の名前は?」
ちょっと脱線した会話を元に戻す。
「あ、そうでした。わたしがアサ」
「イコだよ」
「……ウル」
「エリ」
「オーティ」
「カシャ6才!」
「キリ6才!」
「クーネ。5才」
女の子たちが年長から順番に名前を教えてくれた。
そして代表してアサが僕に聞いてくる。というか自分が一番聞きたいような様子だ。
「それで、街の中で言っていた事ですけど、私達にスキルを覚えてもらうって言ってましたよね?」
「うん言ったけど?」
「スキルって15歳になった人がもらえるモノじゃないんですか?」
「あ~、その認識かぁ」
世界では15歳を迎えた人、その全員がスキルを授かると言われている。
まあ実際に貰えるんだけどもね?
でも冒険者として活動して色々な人から集めた情報からすると、僕の中である一つの仮説が生まれたのである。
それは――
「たぶん15歳に貰えるスキルって、その年まで頑張ってきたこととか、ずっと思い続けてきたこととかが反映されてるみたいなんだよね」
「はんえい?」
「えっと、たとえば木剣でチャンバラを続けてきた子は剣術スキルが貰えたとか、ずっと魔法が使いたいと願っていた子が魔法スキルを貰えたとか」
「? じゃあやっぱり15歳にならないと――」
「いや、それがそうでもないんだよねぇ」
そう数が多い事例ではないのだが、貴族の子供とか15歳よりも若いころから厳しい訓練をしていた場合、15歳で貰ったスキルを神官職の鑑定で調べた時に2つとか3つ持っていた事があったそうな。
「それで15歳を過ぎて冒険者として生活している人の多くは、15歳の時に貰ったスキル以外のものも持っている人が居るんだよね」
まあ中には貰ったスキルだけを鍛え上げている人も居るんだけど。
「ま、とりあえず僕も初めての試みなので気楽に構えててね? それじゃあ立ち上がって、隣の人とぶつからないくらいの間を空けて立ってもらえるかな?」
僕の言葉に戸惑いながらも間を空けて立ち上がっていくアサ達女の子。
先程料理に使ったかまどの炎の明かりと、もうそろそろ落ちそうな日の光の中、並び立つ女の子達の前に向かい合わせで立ち上がった僕はまず手本を見せる。
「足を軽く横に開いて、ちょっと気持ち腰を落とす。そして両腕はこうして腰の横に置くようにして構えてね。そしてゆっくりとでいいから右手、左手の順番で拳を突き出す。1、2! 1、2!」
「い、1、2、」
「1? 2」
揃わぬ掛け声に、動いた途端に崩れる姿勢。
いきなり言われても、まあまともに動けはしないだろう。
それは分かっている。
「それじゃあもう一度さっきの姿勢に戻って息を整えようか、吸ってー、吐いてー、リラーックス。……サポートスキル『補助』」
ボソリと呟き、スキル発動を意識する。
「いいかい? それじゃあ1、2!」
再度の掛け声に、女の子達が首を傾げつつ構えを取って拳を突き出す。
「「「1、2! !!」」」
するとどうだろう、先程までへっぴり腰だった姿勢が嘘のようにきれいになり、突き出す拳もビュッ! と空を切る音を立てたではないか。
「どうだい? 何か感覚が掴めたかい?」
驚きに満ちた顔でお互いを見つめあう女の子達。
良く分かる。あの感覚は言葉で表現するのが難しいからだ。
15歳で僕が貰ったサポートスキル。
これの真価はドンガ村に居た頃には分からなかったのだ。
これが大きく化けたのは、僕が冒険者になってからだ。
いや、化けたというよりも環境が整ったというのが正しいだろう。
「と、それじゃあ続けていくよ。1、2、3!」
コンビネーションの種類を増やしていく僕。
普通はド素人がいきなりやろうとしても付いて来れないだろう。
しかし――
「「「1、2、3!」」」
「そうそう、次は足も混ぜていくよ。1、2の3!」
「「「1、2の3!」」」
僕の手本に付いてくる女の子達。
そうして1時間くらいは経っただろうか。日の光は完全に落ちて夜となった頃、僕について来れていた女の子達の動きが鈍ってきたのを見て、今日の訓練は終了することとした。
「はい。お疲れさまでした」
「「「お疲れさまでした!」」」
終了の掛け声と共に女の子達がその場に崩れ落ちる様に脱力してしまった。
「疲れたかい?」
「ははは、人生で一番疲れました」
返事をくれたのは一番の年長であるアサだけであった。他の子は返事をする気力も無いようだ。
「とりあえず後1週間くらいは夜の食後に同じような訓練を続ける予定なんだけど……、出来そうかな?」
「もちろん! まるで自分が自分じゃないみたいに動けるんですよ! 楽しいです!」
僕の心配をよそにアサが言う。
どうやら自分の体が、思う様に動かせることが楽しめているようだ。
他の子も疲れた顔をしていても、苦しそうな表情をしていないということは、概ね同じように捉えていると思って構わないだろう。
「了解。とりあえず服を着替えて、今日はもう寝るといいよ」
僕がそう言うと全員「はい!」と返事をした。
……だが動く気配がない。
「……もしかして一歩も動けないの?」
「「「あ、あはは~」」」
苦笑いをする女の子達。
さすがに服を引っぺがして強引に着替えさせるのもどうかと思ったので、とりあえず全員草を敷き詰めた荷車に放り込んでその日は強引に寝かせることとした。
その日から1週間後。
訓練を続けた女の子達は、全員が『体術』スキルを身に着けることが出来たのだった。
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