7 / 11
第6話
しおりを挟む
どれだけ走ったろうか。
もうここまで来れば読経の声も聞こえない、寺の建物も見えない。
京子は立ち止まると手提げカバンからハンカチを取り出し、涙を拭き始めた。
「京子さん。」
彼女に声をかける者がいた。
京子が振り返ると、そこには見覚えのある男が立っていた。
「時雨さん…、でしたよね。」
「はい、時雨です。京子さん、今日は来てくださったんですね。」
今の時雨の顔は新聞記者のそれではない、一人の人間、少なくとも数年間を戦前の世で過ごし、わずかでも戦争を知る人間の顔だ。
「見ていたんですか。」
「はい…、すみません。」
手提げカバンにハンカチを収めた京子は、悲しい笑顔を空に向けながら話した。
「少し期待していたんですよ。もしかしたら、もう許されているのかなって。昔みたいに笑いながら京子ちゃんって言ってくれるのかなって。でも、駄目だったみたい。そうですよね、家族が死んだんですから。」
「しかし、あなたに責任があるわけではない。」
顔を少し空の方へ向けたままの京子、そして彼女をいたわるように話し続ける時雨。
「ハナエさんだって、お姉さんの最期の様子を知りたいだけであって。その時の様子とあなたの気持ちを正直に話しさえすれば…」
その時、京子が時雨の話を遮った。
「今さらそんなことを知ってどうなるっていうの。トミちゃんやみんなの最期を知ったからって何が変わるっていうの!」
激しい感情と絶望が入り混じった、そんな目を時雨へ向け、京子は思いを一気に吐き出した。
「人はそんなに簡単に死ねるんですか。あなたは簡単に死ねるんですか!」
「どうして一緒に死ななかったんだ。卑怯者、裏切り者、今からでも遅くないから後を追え、海に飛び込め。引揚船の上で何度そういうことを言われたか。北海道に来てからも、あなたみたいな人が何人も現れて、あの時のことを聞き出そうとする。逃げるように引っ越したこともあった。そして、今でも毎晩のようにうなされる。」
「電話機を見る度に思うんです。今の時代は交換機の自動化が進んで、あと何年かすれば交換手は必要なくなる。この札幌だって市内通話は自動化されている。でも、私はそんな時代に取り残されたまま。こんな便利な機械があれば、みんなも死なずに済んだのにって。毎日そんなことばかり考えてる。」
返す言葉が見つからず、悲しい目をした京子の前に立ち尽くすだけの時雨。
「…、ごめんなさい…、あなたにこんなことを話しても仕方ないですよね。」
自分の気持ちを吐き出したことで彼女も少し落ち着いたようだ。
「そんなことは…。また聞かせてください。いつでも…」
気遣う時雨に京子の笑顔が向けられた。
悲しく、寂しい笑顔が。
「時雨さん…、私の時間は止まったままなんです…」
日本人は ”死” ということを簡単に口にする。
自分もそうだ。
それは結局のところ、他人がどれだけ死のうが自分には関係ないからなのか。
玉砕や特攻を強制しながら、平和な戦後をのうのうと生きている軍人や政治家は腐るほどいる。
日本人の死生観なんて、所詮は無責任と利己主義の結果として生まれたものなのかもしれない。
それとも、うっぷん晴らしの集団リンチのための理由付けなのか。
”生きる” ということを真剣に論じる日本人はどれだけいるのだろうか。
そうだ、何年か前に一人だけ会ったことがある。
生きることを選んだ日本人に。
札幌駅のホームでは、駅員が乗客の誘導に追われていた。
「おい、そこで何をしているんだ。」
駅員が一人の乗客に声をかけた。
列車を待つ人々の列を離れ、今まさにホームへと滑り込んでくる列車へ向かって一人の女が歩いている。
振り返った女の顔を見た瞬間、駅員は背筋が凍ついたような感覚に襲われた。
顔が青白い、まるで幽霊だ…
「何があったかは知らんが、やめるんだ。頼むから、思い直してくれ。」
「…」
しかし、女は何も答えずに虚ろな目をしている。
「家族がいるんだろ、悲しむ人がいるんだろ、頼むよ…」
「…」
時雨は道都新聞社ビルの編集室へ戻ったのだが、編集長に今日の出来事を話す気にはどうしてもなれなかった。
そんな彼の気持ちを知るはずもない編集長が声をかけてきた。
「時雨、どうだった、来てたのか、10人目は。」
「…」
「おい、聞いてんのか!」
時雨はイラついている編集長の方へつかつかと歩いて行った。
「この案件ですが、やめませんか、記事にするの。」
「お前、何を言い出すんだ。これは、まだ誰も知らない話なんだぞ。うちが最初に世に出すんだぞ。」
「世に出すべきものなんですか、本当に。」
「お前、いったいどうしたんだ。」
しばし睨み合う二人に女子社員が声をかけてきた。
「時雨さん、お電話です。」
時雨は編集長を睨みつけたまま答えた。
「取り込み中だ、かけ直すと言ってくれ。」
時雨の気迫に押されそうになった女子社員であったが、思い直して時雨に告げた。
「それが、札幌中央警察署からなんですけど。」
「!」
それを聞いたとたん、時雨は机の上にある自分の帽子を鷲掴みにすると部屋を飛び出していった。
「時雨さん、電話! ちょっと! あ、もしもし、今ここを飛び出してそちらに向かったようです。」
警察署の受付に行くと、定年間近のような警察官が時雨を待っていた。
「札幌駅で保護されたんですよ。ホームをふらふらと歩いているところを。どうやら列車に飛び込もうとしたらしくて。」
「それで、彼女は無事なんですか。」
「無事ですよ。札幌に身寄りはいないのかって聞いたら、あなたの名前を言ったもんでね。」
警察官は時雨を女が保護されている部屋へ案内した。
「中にいますよ。それとね、列車に飛び込まれると大変なんだよね、後始末が。通勤している人にも迷惑だし、しばらく肉も食えなくなるし。あなたも新聞記者なら知ってるでしょう、ねえ。」
失礼極まりない警察官に何も答えずに時雨はドアを開けた。
殺風景な部屋にスチール製の事務机と椅子が置いてあり、そこに一人の女が座っていた。
「京子さん、どうしてこんなことを…」
京子はゆっくりと時雨の方へ顔を向け、少し唇を噛みしめるように話した。
「何となく、もういいかなって、終わりにしてもいいかなって…」
そして、真岡郵便局でのことを話し始めた。
多分、他人に話すのはこれが初めてのことだろう。
「時雨さん、あの時、怖くなったんです。みんなが苦しんで死んでいく姿を見ると、どうしても毒を飲むことができませんでした。それで机の下に隠れて。そうしたら、駆けつけてきた兄や男性局員に救い出されて。」
「引き揚げまでの間、兄がずっと私を守ってくれました。誰にも何も話すな、会う必要もないって。そして、兄が奔走して引揚船に乗せてくれたんです。」
「北海道に引き揚げてから、ずっと息を殺して生きてきました。でも、忘れようと思っても、トミちゃんや伊勢班長たちみんなのことが頭から離れない。心の中で、ごめんなさい、ごめんなさいと、ずっと言い続けてる…」
京子の話を聞いているうちに時雨も涙ぐんでしまっていた。
「今、お兄さんは。」
「私より1年くらい遅れて引き揚げることができました。今は釧路にいます。結局、私の家族はみんなが無事に引き揚げることができたんです。でも、ハナエちゃんのところは、トミちゃんが死んで、お父さんがシベリアで生きているかも分からない。どうしてなんでしょうね。」
時雨は、自分の起こした行動が京子を追い詰めたとのだと、申し訳ない思いでいっぱいであった。
最初は面倒な仕事だと思っていた。
しかし、卑怯者の汚名を着せられた者の存在を知り、新聞記者としての功名心と好奇心にかられて、静かに暮らしていた彼女を醜悪な現実社会へと引きずり出してしまった。
そのことが、せっかく生きることができた人間を再び死に追いやることになろうとは。
「すみません。私があなたを探し出しさえしなければ。」
「いいんです、お仕事ですもの。それに、いつかこんな日が来ると思ってました。」
「…」
「また失敗しちゃいました。これで二度目ですね。」
子どもがいたずらをした後の茶目っ気たっぷりの笑顔を真似しようとしたのだろうが、京子の顔はそれとは程遠い笑顔であった。
そんな彼女へ時雨は告げるのだった。
「京子さん、会って欲しい人がいるんです。その人に会えばあなたの中で何かが変わるかもしれない。お願いします。」
もうここまで来れば読経の声も聞こえない、寺の建物も見えない。
京子は立ち止まると手提げカバンからハンカチを取り出し、涙を拭き始めた。
「京子さん。」
彼女に声をかける者がいた。
京子が振り返ると、そこには見覚えのある男が立っていた。
「時雨さん…、でしたよね。」
「はい、時雨です。京子さん、今日は来てくださったんですね。」
今の時雨の顔は新聞記者のそれではない、一人の人間、少なくとも数年間を戦前の世で過ごし、わずかでも戦争を知る人間の顔だ。
「見ていたんですか。」
「はい…、すみません。」
手提げカバンにハンカチを収めた京子は、悲しい笑顔を空に向けながら話した。
「少し期待していたんですよ。もしかしたら、もう許されているのかなって。昔みたいに笑いながら京子ちゃんって言ってくれるのかなって。でも、駄目だったみたい。そうですよね、家族が死んだんですから。」
「しかし、あなたに責任があるわけではない。」
顔を少し空の方へ向けたままの京子、そして彼女をいたわるように話し続ける時雨。
「ハナエさんだって、お姉さんの最期の様子を知りたいだけであって。その時の様子とあなたの気持ちを正直に話しさえすれば…」
その時、京子が時雨の話を遮った。
「今さらそんなことを知ってどうなるっていうの。トミちゃんやみんなの最期を知ったからって何が変わるっていうの!」
激しい感情と絶望が入り混じった、そんな目を時雨へ向け、京子は思いを一気に吐き出した。
「人はそんなに簡単に死ねるんですか。あなたは簡単に死ねるんですか!」
「どうして一緒に死ななかったんだ。卑怯者、裏切り者、今からでも遅くないから後を追え、海に飛び込め。引揚船の上で何度そういうことを言われたか。北海道に来てからも、あなたみたいな人が何人も現れて、あの時のことを聞き出そうとする。逃げるように引っ越したこともあった。そして、今でも毎晩のようにうなされる。」
「電話機を見る度に思うんです。今の時代は交換機の自動化が進んで、あと何年かすれば交換手は必要なくなる。この札幌だって市内通話は自動化されている。でも、私はそんな時代に取り残されたまま。こんな便利な機械があれば、みんなも死なずに済んだのにって。毎日そんなことばかり考えてる。」
返す言葉が見つからず、悲しい目をした京子の前に立ち尽くすだけの時雨。
「…、ごめんなさい…、あなたにこんなことを話しても仕方ないですよね。」
自分の気持ちを吐き出したことで彼女も少し落ち着いたようだ。
「そんなことは…。また聞かせてください。いつでも…」
気遣う時雨に京子の笑顔が向けられた。
悲しく、寂しい笑顔が。
「時雨さん…、私の時間は止まったままなんです…」
日本人は ”死” ということを簡単に口にする。
自分もそうだ。
それは結局のところ、他人がどれだけ死のうが自分には関係ないからなのか。
玉砕や特攻を強制しながら、平和な戦後をのうのうと生きている軍人や政治家は腐るほどいる。
日本人の死生観なんて、所詮は無責任と利己主義の結果として生まれたものなのかもしれない。
それとも、うっぷん晴らしの集団リンチのための理由付けなのか。
”生きる” ということを真剣に論じる日本人はどれだけいるのだろうか。
そうだ、何年か前に一人だけ会ったことがある。
生きることを選んだ日本人に。
札幌駅のホームでは、駅員が乗客の誘導に追われていた。
「おい、そこで何をしているんだ。」
駅員が一人の乗客に声をかけた。
列車を待つ人々の列を離れ、今まさにホームへと滑り込んでくる列車へ向かって一人の女が歩いている。
振り返った女の顔を見た瞬間、駅員は背筋が凍ついたような感覚に襲われた。
顔が青白い、まるで幽霊だ…
「何があったかは知らんが、やめるんだ。頼むから、思い直してくれ。」
「…」
しかし、女は何も答えずに虚ろな目をしている。
「家族がいるんだろ、悲しむ人がいるんだろ、頼むよ…」
「…」
時雨は道都新聞社ビルの編集室へ戻ったのだが、編集長に今日の出来事を話す気にはどうしてもなれなかった。
そんな彼の気持ちを知るはずもない編集長が声をかけてきた。
「時雨、どうだった、来てたのか、10人目は。」
「…」
「おい、聞いてんのか!」
時雨はイラついている編集長の方へつかつかと歩いて行った。
「この案件ですが、やめませんか、記事にするの。」
「お前、何を言い出すんだ。これは、まだ誰も知らない話なんだぞ。うちが最初に世に出すんだぞ。」
「世に出すべきものなんですか、本当に。」
「お前、いったいどうしたんだ。」
しばし睨み合う二人に女子社員が声をかけてきた。
「時雨さん、お電話です。」
時雨は編集長を睨みつけたまま答えた。
「取り込み中だ、かけ直すと言ってくれ。」
時雨の気迫に押されそうになった女子社員であったが、思い直して時雨に告げた。
「それが、札幌中央警察署からなんですけど。」
「!」
それを聞いたとたん、時雨は机の上にある自分の帽子を鷲掴みにすると部屋を飛び出していった。
「時雨さん、電話! ちょっと! あ、もしもし、今ここを飛び出してそちらに向かったようです。」
警察署の受付に行くと、定年間近のような警察官が時雨を待っていた。
「札幌駅で保護されたんですよ。ホームをふらふらと歩いているところを。どうやら列車に飛び込もうとしたらしくて。」
「それで、彼女は無事なんですか。」
「無事ですよ。札幌に身寄りはいないのかって聞いたら、あなたの名前を言ったもんでね。」
警察官は時雨を女が保護されている部屋へ案内した。
「中にいますよ。それとね、列車に飛び込まれると大変なんだよね、後始末が。通勤している人にも迷惑だし、しばらく肉も食えなくなるし。あなたも新聞記者なら知ってるでしょう、ねえ。」
失礼極まりない警察官に何も答えずに時雨はドアを開けた。
殺風景な部屋にスチール製の事務机と椅子が置いてあり、そこに一人の女が座っていた。
「京子さん、どうしてこんなことを…」
京子はゆっくりと時雨の方へ顔を向け、少し唇を噛みしめるように話した。
「何となく、もういいかなって、終わりにしてもいいかなって…」
そして、真岡郵便局でのことを話し始めた。
多分、他人に話すのはこれが初めてのことだろう。
「時雨さん、あの時、怖くなったんです。みんなが苦しんで死んでいく姿を見ると、どうしても毒を飲むことができませんでした。それで机の下に隠れて。そうしたら、駆けつけてきた兄や男性局員に救い出されて。」
「引き揚げまでの間、兄がずっと私を守ってくれました。誰にも何も話すな、会う必要もないって。そして、兄が奔走して引揚船に乗せてくれたんです。」
「北海道に引き揚げてから、ずっと息を殺して生きてきました。でも、忘れようと思っても、トミちゃんや伊勢班長たちみんなのことが頭から離れない。心の中で、ごめんなさい、ごめんなさいと、ずっと言い続けてる…」
京子の話を聞いているうちに時雨も涙ぐんでしまっていた。
「今、お兄さんは。」
「私より1年くらい遅れて引き揚げることができました。今は釧路にいます。結局、私の家族はみんなが無事に引き揚げることができたんです。でも、ハナエちゃんのところは、トミちゃんが死んで、お父さんがシベリアで生きているかも分からない。どうしてなんでしょうね。」
時雨は、自分の起こした行動が京子を追い詰めたとのだと、申し訳ない思いでいっぱいであった。
最初は面倒な仕事だと思っていた。
しかし、卑怯者の汚名を着せられた者の存在を知り、新聞記者としての功名心と好奇心にかられて、静かに暮らしていた彼女を醜悪な現実社会へと引きずり出してしまった。
そのことが、せっかく生きることができた人間を再び死に追いやることになろうとは。
「すみません。私があなたを探し出しさえしなければ。」
「いいんです、お仕事ですもの。それに、いつかこんな日が来ると思ってました。」
「…」
「また失敗しちゃいました。これで二度目ですね。」
子どもがいたずらをした後の茶目っ気たっぷりの笑顔を真似しようとしたのだろうが、京子の顔はそれとは程遠い笑顔であった。
そんな彼女へ時雨は告げるのだった。
「京子さん、会って欲しい人がいるんです。その人に会えばあなたの中で何かが変わるかもしれない。お願いします。」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
血と誇り 差別と闘い続けた北海道のアイヌの若者たち。彼らは何を思い、何ものと闘ったのか。
上郷 葵
歴史・時代
物語の舞台は、昭和のはじめ、北海道の田舎町である幌川町。
この町に住む3人のアイヌの青年たちは、家族のため、差別のない新しい時代のためにそれぞれの道を歩み始める。
力をもって差別と闘う者、家族を養うために危険な仕事に就く者、軍隊に志願する者。
しかし、彼らが何をしようと、決して対等の存在と認められることはなかった。
それは、これまでに培われてきた日本の歴史のためなのか、人間の愚かさのためなのか。
戦争という嵐の中、命をかけて差別と闘う道を選んだ青年たちは、いったい何ものと闘ったのか。
そして、闘うことで残されたものとは何だったのか。
日本に呑み込まれたアイヌの苦闘、果たしてどれだけの人が知っているだろうか。
ワルシャワ蜂起に身を投じた唯一の日本人。わずかな記録しか残らず、彼の存在はほとんど知られてはいない。
上郷 葵
歴史・時代
ワルシャワ蜂起に参加した日本人がいたことをご存知だろうか。
これは、歴史に埋もれ、わずかな記録しか残っていない一人の日本人の話である。
1944年、ドイツ占領下のフランス、パリ。
平凡な一人の日本人青年が、戦争という大きな時代の波に呑み込まれていく。
彼はただ、この曇り空の時代が静かに終わることだけを待ち望むような男だった。
しかし、愛国心あふれる者たちとの交流を深めるうちに、自身の隠れていた部分に気づき始める。
斜に構えた皮肉屋でしかなかったはずの男が、スウェーデン、ポーランド、ソ連、シベリアでの流転や苦難の中でも祖国日本を目指し、長い旅を生き抜こうとする。
晩夏の蝉
紫乃森統子
歴史・時代
当たり前の日々が崩れた、その日があった──。
まだほんの14歳の少年たちの日常を変えたのは、戊辰の戦火であった。
後に二本松少年隊と呼ばれた二本松藩の幼年兵、堀良輔と成田才次郎、木村丈太郎の三人の終着点。
※本作品は昭和16年発行の「二本松少年隊秘話」を主な参考にした史実ベースの創作作品です。
残影の艦隊~蝦夷共和国の理想と銀の道
谷鋭二
歴史・時代
この物語の舞台は主に幕末・維新の頃の日本です。物語の主人公榎本武揚は、幕末動乱のさなかにはるばるオランダに渡り、最高の技術、最高のスキル、最高の知識を手にいれ日本に戻ってきます。
しかし榎本がオランダにいる間に幕府の権威は完全に失墜し、やがて大政奉還、鳥羽・伏見の戦いをへて幕府は瓦解します。自然幕臣榎本武揚は行き場を失い、未来は絶望的となります。
榎本は新たな己の居場所を蝦夷(北海道)に見出し、同じく行き場を失った多くの幕臣とともに、蝦夷を開拓し新たなフロンティアを築くという壮大な夢を描きます。しかしやがてはその蝦夷にも薩長の魔の手がのびてくるわけです。
この物語では榎本武揚なる人物が最北に地にいかなる夢を見たか追いかけると同時に、世に言う箱館戦争の後、罪を許された榎本のその後の人生にも光を当ててみたいと思っている次第であります。
久遠の海へ 再び陽が昇るとき
koto
歴史・時代
第2次世界大戦を敗戦という形で終えた日本。満州、朝鮮半島、樺太、千島列島、そして北部北海道を失った日本は、GHQによる民主化の下、急速に左派化していく。
朝鮮半島に火花が散る中、民主主義の下、大規模な労働運動が展開される日本。
GHQは日本の治安維持のため、日本政府と共に民主主義者への弾圧を始めたのだ。
俗に言う第1次極東危機。物語は平和主義・民主化を進めたGHQが、みずからそれを崩壊させる激動の時代、それに振り回された日本人の苦悩から始まる。
本書は前作「久遠の海へ 最期の戦線」の続編となっております。
前作をご覧いただけると、より一層理解度が進むと思われますので、ぜひご覧ください。
鎌倉最後の日
もず りょう
歴史・時代
かつて源頼朝や北条政子・義時らが多くの血を流して築き上げた武家政権・鎌倉幕府。承久の乱や元寇など幾多の困難を乗り越えてきた幕府も、悪名高き執権北条高時の治政下で頽廃を極めていた。京では後醍醐天皇による倒幕計画が持ち上がり、世に動乱の兆しが見え始める中にあって、北条一門の武将金澤貞将は危機感を募らせていく。ふとしたきっかけで交流を深めることとなった御家人新田義貞らは、貞将にならば鎌倉の未来を託すことができると彼に「決断」を迫るが――。鎌倉幕府の最後を華々しく彩った若き名将の清冽な生きざまを活写する歴史小説、ここに開幕!
空蝉
横山美香
歴史・時代
薩摩藩島津家の分家の娘として生まれながら、将軍家御台所となった天璋院篤姫。孝明天皇の妹という高貴な生まれから、第十四代将軍・徳川家定の妻となった和宮親子内親王。
二人の女性と二組の夫婦の恋と人生の物語です。

天正十年五月、安土にて
佐倉伸哉
歴史・時代
天正十年四月二十一日、織田“上総守”信長は甲州征伐を終えて安土に凱旋した。
長年苦しめられてきた宿敵を倒しての帰還であるはずなのに、信長の表情はどこか冴えない。
今、日ノ本で最も勢いのある織田家を率いる天下人である信長は、果たして何を思うのか?
※この作品は過去新人賞に応募した作品を大幅に加筆修正を加えて投稿しています。
<第6回歴史・時代小説大賞>にエントリーしています!
皆様の投票、よろしくお願い致します。
『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n2184fu/ )』『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/1177354054891485907)』および私が運営するサイト『海の見える高台の家』でも同時掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる