反逆の姫君と異界の住人

yuushi

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見上げた天井から漏れる日差しに微睡(マドロミ)を覚えつつ呟く 

今日はいい天気だ

“ねぇ、今日も一日寝てるの?ユウゴ”

碧眼、金髪少女がのぞきこむのを感じたが、目を開けるのを戸惑う

“リサさま、誠に申し訳ございません。そろそろ資金がつきそうです”

“そうね、紹介されたカール伯爵家に行けば王家の還流資金を下せるんだけど”

下町のボロイ長屋で話す内容が滑稽に思えてくる、王家かなんだか知らないが
金があるならもっといいところに住めよ

“ジーク、煌国(コウコク)の伯爵家の関連施設はこのあたりにはないのよね”

“そうですね、前回同様5日ほど掛けて東都まで出向くしかございません”

金があっても下せないと意味はないよな。東都に住めばいいじゃないのか

“そういえばトーチャ男爵がこのあたりに居を構えいたと聞きましたが、、、”

“トーチャ男爵ですか、、、正直私は気が進みません。時間をかけてでも東都まで
行って資金を調達すべきです。“

“なぜです。とてもお優しい方だと聞いておりましたが”

“それは上に対してであって、大変申し訳ないのですが事実上クラフト家への忠義はございません”

“国がなくなった今、忠義はないと、トーチャ男爵もクラフト王家の再興は望んでおられるはず”

どこでも、上がいれば下がいる。下がいれば上がいる。

上下関係がなくなったら他人じゃないのか。

“リサさま、私もそう思いとうございます。手元にある朱の宝玉に加え
蒼と、黄の宝玉を取戻し再興を、憎っき帝国から民を解放しなくては、ですが、、、“

ジークは天井に着きそうな所から床の間に臥し布団に包るユウゴに視線を向けた

“インデックスとの契約はひとまず保留、宝玉の行方と当面の資金の融通をする為に男爵に会ってみます“

“そうですね、資金面は別としても伯爵家では何の情報も得られませんでしたし”

いったい何をしたいんだ、こいつらは、
そして何をさせたいんだ。ゲームの世界でもなければ まともな世界でもない
兵器開発をするためにここに送られて、良いように使われる身にもなってほしい

ついこないだまでは争いもなく、汚いところでもなく、まずい飯でもない世界。戻ることさえできない。
 
“ユウゴ、ということになりました。聞いてたんでしょ最終決定権はあなたにあります。返事がなければ同意したとみなしますよ“

 高い位置から声が響く

 なんで俺に決めさせるんだ、知らないよ勝手にしてくれよ

トーチャ ダンシャク 

“あぁ、、、”と呟くと

 少女が再び覗き込む気配が、

“ユウゴ、久しぶりに話してくれたな、リサはうれしい、賛成か、反対か”

弾む声とともに感じる

なんで俺に最終決定権をもたせるんだよ。勝手にしてくれよ。

トーチャ

“あぁ、、、もう、、、”

“もう、なんじゃ”

 
“勝手にしてくれ”

 


気配が  頭上から消え 額に滴が落ちたのを感じた

 

高い位置から声が響く

“君には怒りすら覚えないよ”

 

天井の隙間から漏れる日は消え、雨音が呟きだす。

 

いつのまにか、空間に独り 取り残された

額の滴 は ほほをつたり 使い古した枕まで届くことはない

だが枕は濡れていた。
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