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聖なる夜、恋せよ青年

宴のあと、メリークリスマス②

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 陽佑は自分の部屋に戻り、桂山に持たせてもらった唐揚げとケーキの残りを、冷蔵庫に入れた。夢のような時間だったし、それが終わってしまったのは悲しいけれど、心の中は温かい。
 ふと、さっきからLINEをくれている望月に、無事帰宅した旨を伝えておこうと思った。

「心配かけてごめん、今帰った」

 メッセージを送信すると、即レスに陽佑は驚かされる。

「良かった、お疲れさま」

 陽佑もすぐに返してやる。

「別に疲れてないよ、桂山課長とパートナーさんにめちゃくちゃ良くしてもらった」
「課長のパートナーさん、どんな人だった?」

 望月がそんなことに興味があるとは、何となく意外な気がした。しかし、高崎をどんな人と表現すればいいのか、難しいと思う。

「噂通り美人で、絵がめちゃくちゃ上手でインスタでつながってもらった」
「小椋インスタやってるの?」

 ああそうか。会社の人間に、写真を撮る話をしたことがない。陽佑は自分が学生時代から、ちょっとばかり写真をSNSでアップしている話を望月にしてやった。彼は意外にも興味を示し、写真の話を聞きたそうなニュアンスを出してきた。

「俺ぼっちだし夕飯食わね? 疲れてるならいい」

 別に疲れてはいないが、確か望月は浅草辺りに住んでいる筈だ。何処で落ち合うことを想定しているのだろう。それに、今日中に食べなくてはいけないものがあった。

「課長が作った唐揚げと、持たせてくれたクリスマスケーキがあるんだけど」
「何それ食べたい、俺が大井町まで行くから駅まで迎えに来て」

 いつになく望月が積極的なので、陽佑はスマホ片手に首を傾げた。まあいいか、あいつも彼女いないから、クリぼっちが嫌なんだろうな。
 陽佑は了解、と書いたスタンプを望月に送った。男2人で食べるなら、どっちみち鶏もケーキも足りない。食べ物は駅前で買い足そう……でも酒はやめておこう。望月とのやり取りが終わり、陽佑は掃除機を出した。この部屋に人を呼ぶのは、よく考えると初めてである。
 課長と高崎さんのようにはいかないけれど、せいぜいもてなしてやろう。陽佑は気の良い同僚の顔を思い出しながら、掃除機のコードをコンセントに挿した。


《聖なる夜、恋せよ青年 完》
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