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お節介な男たちの盆休み
11:00
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盆休みの関東地方を襲った台風が去り、ようやく雨は上がったが、蒸し暑い。少しくらい洗濯が乾かないものかと、暁斗は洗濯機を稼働させた。
昨日は暴風雨の中、奏人とともに暁斗の立川の実家に向かった。接客業に従事する妹の晴夏がこの期間に唯一取れた休日だったので、本当は皆で墓参りに行く予定だった。しかし、レンタカーで走っても道すがら風雨が怖いくらいだったので、取りやめた。そんな訳で昨日は、父母と妹へのお土産に、上等のすいかと果実のゼリーを持って行っただけになってしまったのだった。
「暁斗さん、洗濯してるんだ」
奏人が洗面室に顔を覗かせた。彼と一緒に迎える初めての盆休み、彼が暁斗に合わせて連休を取れそうだと言うので、兵庫の有馬温泉に行く計画を立てていた。しかしまたもや感染症が急拡大し、長く寝込んでいられない立場の2人は、防衛策を採ることを優先せざるを得なかった。
暁斗は洗濯機が回る音を聴きながら、奏人に答える。
「うん、タオルの在庫が心許ない」
「今が梅雨みたいだもんね、ちょっと買い足そうか」
奏人は掃除機を使い始める。ちょっとした遊びの計画が昨日持ち上がったので、心なしか奏人は楽しそうだった。昨日暁斗の父が、2人で行って来たらいいと、スーパー銭湯の割引券を渡してくれたのだ。
そのスーパー銭湯では、休憩――デイユースや宿泊が可能だった。割引券はデイユースのお試し用で、3000円ぽっきりでツインルームを4時間利用できるというものである。盆休みも残すところ2日なので、暁斗はすぐに予約を入れたのだった。
一緒に暮らし始めた頃は、時間ができたら奏人と何処に行くかばかり考えたが、こうして何でもない休日を2人でのんびり過ごすことにも、この1年でだいぶ慣れた。奏人も最初は暁斗に気を遣っている様子が見られたけれど、最近は暁斗の前でだらりとソファで伸びていたり、髪をくしゃくしゃにしたまま夢中で絵を描いていたりする。暁斗にしてみれば、奏人が何をしていても許せるし、基本的には可愛い。
昨日は暴風雨の中、奏人とともに暁斗の立川の実家に向かった。接客業に従事する妹の晴夏がこの期間に唯一取れた休日だったので、本当は皆で墓参りに行く予定だった。しかし、レンタカーで走っても道すがら風雨が怖いくらいだったので、取りやめた。そんな訳で昨日は、父母と妹へのお土産に、上等のすいかと果実のゼリーを持って行っただけになってしまったのだった。
「暁斗さん、洗濯してるんだ」
奏人が洗面室に顔を覗かせた。彼と一緒に迎える初めての盆休み、彼が暁斗に合わせて連休を取れそうだと言うので、兵庫の有馬温泉に行く計画を立てていた。しかしまたもや感染症が急拡大し、長く寝込んでいられない立場の2人は、防衛策を採ることを優先せざるを得なかった。
暁斗は洗濯機が回る音を聴きながら、奏人に答える。
「うん、タオルの在庫が心許ない」
「今が梅雨みたいだもんね、ちょっと買い足そうか」
奏人は掃除機を使い始める。ちょっとした遊びの計画が昨日持ち上がったので、心なしか奏人は楽しそうだった。昨日暁斗の父が、2人で行って来たらいいと、スーパー銭湯の割引券を渡してくれたのだ。
そのスーパー銭湯では、休憩――デイユースや宿泊が可能だった。割引券はデイユースのお試し用で、3000円ぽっきりでツインルームを4時間利用できるというものである。盆休みも残すところ2日なので、暁斗はすぐに予約を入れたのだった。
一緒に暮らし始めた頃は、時間ができたら奏人と何処に行くかばかり考えたが、こうして何でもない休日を2人でのんびり過ごすことにも、この1年でだいぶ慣れた。奏人も最初は暁斗に気を遣っている様子が見られたけれど、最近は暁斗の前でだらりとソファで伸びていたり、髪をくしゃくしゃにしたまま夢中で絵を描いていたりする。暁斗にしてみれば、奏人が何をしていても許せるし、基本的には可愛い。
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