夜は異世界で舞う

文中挿入曲等・あとがき

あとがき

　本作を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。「優しいけれど自己評価の低い女装男子が、怪我で挫折しかけたスケベでネアカなダンサーにわんこされる」というだけの物語に、40万字使いました。またモブたちに名前をつけて動かし過ぎたことや、晴也と晶が勝手に動くのを放置したことは、やや反省です。ここまでおつきあいくださった皆様には、感謝の言葉がいくらあっても足りません。
　言い訳をすれば、いろいろ拗らせている晴也が晶を信頼して心を開くまで、これくらいのエピソードは必要だったかなと思います。
　今回はスタンダードなBLを目指そうと考えていましたが、結果的に実験ばかりしていました。元原稿を書きながら進めたのも初めてですし、最たるものがルーチェのショーで、ドルフィン・ファイブが踊り始めるとPVが上がるものですから、かなり調子に乗りました（字数も爆増してしまいました）。楽しんで頂けたようでしたら、選曲の苦労が報われます。
　この物語は、感染症の拡大直前の設定にしています。こういうご時世でなければ、晴也が、舞台人として完全復活した晶についてイギリスに渡るという結びにしたと思います。しかしパンデミックに対して舞台芸術はあまりに為す術が無く、2人が外国で苦労することを想像すると気が滅入ったので、晶を帰国させました。
　現在おそらく、感染症をやり過ごしながら、晴也はめぎつねの実質サブママ、晶は知る人ぞ知るアングラダンサーとして、ニッチに人気者になっているでしょう。

　連載中（この4～5月）、仕事や趣味への向き合い方に悩み、私自身が晴也以上にぐずぐずしました。体調もイマイチで、一旦連載を止めることも視野に入れたのですが、毎日更新を追ってくださるかた、週末に纏めてお目通しくださるかたがいらっしゃることに、背中を押されました。おかげ様で、晴也に無事大人の階段を昇らせることができました。
　予想外によく読んでいただけたことにかなり驚いています。多少ＢＬのツボを体得できたのかもしれません。アルファポリスとは相性あんまりかな？　と考えていただけに、沢山のお気に入り登録、ほんとに嬉しく思います。

　このあと、いくつか番外編を投稿いたします。また、ひとつ十分に回収し切れていない振りがあるので、回収を果たすためにも、続編が書けたらいいなと考えています。ショウとドルフィン・ファイブへのリクエストがございましたら、水曜・金曜問わず是非お寄せください。
　半年にわたりおかしなカップルをお見守りいただき、心より感謝申し上げます！

2022.6.21　穂祥舞