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5月 2
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近く奏人に会えるという楽しみが暁斗の気力を支えていたが、もうそれさえも体調の悪さをごまかしてくれなくなっていた。その日は目覚めると熱っぽかった。しかし午前中に2件、大切な外回りの案件がある。それが終わったら帰ろうと考えながら、暁斗は重い身体を励ましながら出社した。
「課長……酷い顔してますよ、大丈夫ですか?」
短い朝礼を始業とともに済ませて、すぐに取引先に出かけようと準備をしていると、今日一緒に行く落合に心配されてしまう。
「じゃ一人で行くか?」
暁斗がからかい半分で訊くと、それは、と彼は口籠った。暁斗は彼が新入社員たちにしっかり対応していたのを評価していた。やっと先輩としての自覚が出始め、話し方に芯が見えてきている。今日行く2つの会社はどちらも小さな社だが、大切な取引先だ。彼は暁斗や他の社員と昨年から数度訪れていたが、そろそろ独り立ちさせたかった。
「一人で行けよ、甘えてんな」
暁斗のデスクに近い場所に席を持つ花谷にも笑い混じりに言われ、落合は困ったように俯いた。
「一緒に行くのは今日が最後のつもりでいるから、そのつもりでいてくれよ」
たぶん1件目のほうが、気を遣う相手だろう。2件目は何も話さず任せようと暁斗は思った。
落合がきっちり話をしてくれたことに安堵したせいか、暁斗は集中力と気力をほぼ切らしかけていた。どちらの社も近所で良かったと思いながら足を運んでいると、落合が課長、と驚いたように腕を掴んできた。
「首……ぽつぽつ出てます」
ぽつぽつという言葉に何となく可笑しみを感じながら、暁斗は鞄から手鏡を出して顔を傾けた。耳の下から肩にかけて、かぶれたような発疹がある。
「出る前にトイレに行った時は無かったな」
妙に冷静に思い出しながら、暁斗は呟いた。落合が困惑を声に滲ませる。
「はしかじゃないですか、他所の課でも流行ってるって……」
「うつすとまずいな、離れて歩け」
「そういう問題じゃないです、熱もありそうだし帰ってください……次のとこは僕一人で行きます」
落合は意を決したように言った。暁斗はやや驚いてその不安混じりの、しかし強い気持ちが浮かぶ顔を見つめる。
「分かった、任せる……何かあったら電話しろ」
彼は頷き、一度暁斗を振り返ってから、出口に向かう階段を降りていった。あまり良くない任せ方とはいえ、部下が勇気を出してくれたことを嬉しく思いながら、暁斗は山手線の乗り場にゆっくりと向かう。途中、トイレに入り、ディレット・マルティールの会員ページにアクセスし、明日の予約をキャンセルする。気持ちが萎むが、奏人に病気をうつすわけにはいかなかった。
トイレから出た時、暁斗は視界の端に入った二人連れにどきりとした。背の高い和服姿の男性は、その出で立ちだけで十分に目を引いたが、暁斗が目を奪われたのは、隣にいた頭一つ小さい、軽装の華奢な男性だった。……奏人。
そんなことをする必要も無いのに、暁斗は店舗や団体客を盾にして身を隠し、距離を置いて二人を追う。和服の男性は、着こなしが板についている様子や上品な物腰から、何か伝統芸能にかかわっている人物と想像できた。大きな鞄を持った奏人は彼の話を楽しそうに聞き、笑顔で相槌を打っているのが、遠目でもわかった。目立つ二人に目をやる人もちらほらいた。……あれは何者だ? 奏人はわざわざ休みを取って彼と会っているのか? 二人の行く先を見て暁斗は危うくその場でしゃがみこんでしまいそうになる。新幹線乗り場の改札。
二人はそれぞれICカードを改札機にかざし、先へ進んで行った。奏人の大きな鞄が何を意味しているのかを悟り、暁斗は愕然とする。客ではないのか。特別で大切な人なのか。暁斗は嫌な考えに頭を支配されていくのを、止めることが出来ない。頭の中を真っ白にしたまま、山手線の乗り場に戻るべく方向転換した。
奏人は誰にでもあなたは特別だと言う人間なのかもしれない。しおらしい表情を作り相手の心を惑わすこと自体に快楽を覚える、病んだ者。金のためにあの仕事をしているのではなく、弄ぶ相手を物色し、罠を仕掛けるためなのではないか。
暁斗はどこをどう歩いたのかわからないまま、会社のビルに辿り着いた。自動ドアをくぐってほっとすると、脚の力が抜けた。受付カウンターから新城が驚いて駆け寄ってくる。
「桂山課長⁉ えっ、熱があるんですか!」
彼女の声が遠い。暁斗は大丈夫、と答えようとしたが、声が出なかった。彼女がエレベーターから降りてきた数人に助けを求めているのを霞む視界に入れて、暁斗はどうしたんだという声を他人事のように聴いていた。
暁斗が目を開くと、白衣を着た男性の背中が見えた。会社の医務室のベッドの上だということを認識するのに、時間がかかった。
「あ、桂山課長……」
医師の藤倉はちらりと笑顔を見せた。咄嗟に出て来たのは、すみません、という言葉だった。
「もうお帰りになったほうがいいですね、たぶんまだ熱が上がりますよ……帰ってすぐに病院できちんと診てもらってください」
タクシー呼びますか、という言葉に小さく頷く。誰か課の者が持って来てくれたのだろう、コートがベッドの脇にかかっていた。
「はしか、なんですかね」
「たぶん……うつさないためにもこのまま帰るべきですよ、課のほうには私が連絡しておきます」
藤倉は社畜たちにいつもそう説諭するのだろう、滑らかに話した。彼がタクシーを呼ぶためにその場を離れると、社内とは思えない静けさが満ちる。意外に心地良い空間だった。
暁斗はスマートフォンをベッドの脇に置かれた鞄から取り出す。さっき別れた落合からは、あちらと滞りなく話を済ませたので今から社に戻るというメッセージが来ていた。そして、ディレット・マルティールの奏人のアドレスから、「残念ですが仕方ありませんね、風邪が流行っているようですから、どうぞご自愛ください」と丁寧な返信があり、LINEには「大丈夫ですか、夜にまた連絡しますね」とメッセージがあった。
新幹線の中から送ってきたのかと考えると、身体中の力が抜けそうになる。奏人が自分の知らない場所で何をしていようと、どうこう言う権利は自分には無いのだ。奏人はディレット・マルティールの売れっ子スタッフで、自分は彼の客のうちの一人。「特別」であることをちらつかされた後だけに、その事実が受け入れ難かったが、暁斗には横になって目を閉じ、鼻の奥が痛むのを耐えるしかなかった。
マンションの前にタクシーをつけ、部屋に入ったところまでしか記憶に無かった。気づくとリビングの中は薄暗くなっていて、近所の内科の受付時間を過ぎてしまったことに気づかされた。とはいえ暁斗は起き上がる気力も無く、歩いて診療所まで行けたかどうかも怪しかった。一息ついて、またとろとろとまどろむ。暑いのか寒いのか、よくわからない。身体は熱いのに、どこかが底冷えした感覚があった。次に目覚めると、喉が焼けるように痛み、悪寒に震えが止まらなくなった。
スマートフォンが震えて、真っ暗な中で画面をぼんやりと光らせる。
「今どこですか、家で休んでいたらごめんなさい」
奏人からのLINEだった。俺がどこに居るのかを訊いてどうするんだ。投げやりな思いが胸にこみ上げる。暁斗はやっとの思いで立ち上がり、キッチンで喉の痛みに耐えながら水を飲み、体温計を探す。どうしてこんなに動作の一つ一つが億劫なのだろう。
「目が覚めたら一言お返事ください、おひとりなので心配です」
暁斗は息苦しくて、深呼吸しながらスマートフォンの画面をスワイプした。おまえこそ何処にいるのだと訊き返してやろうか。体温計がピピッと音を立てた。見ると40度を少し超えていて、今まで見たことのない数字に仰天する。視界が揺れた。あまりのことに強い不安に捕らわれ、全身の震えが激しくなる。
「熱が高くて」
奏人とのトークルームが開きっぱなしだったので、思わず打ち込む。指が震え、コントロールできないことにも驚き、そこまでで送信してしまった。
すぐにスマートフォンが長く震えた。やけに眩しい画面は、奏人からの電話であることを告げていた。出てやるものかという意志はすぐに挫けた。
「桂山さん、家ですよね? 大丈夫なんですか?」
奏人はいつもと比べて早口で話した。その声を聴いた途端、勝手に腰が砕けた。スマートフォンが手から滑り落ちて床で音を立てたが、暁斗には遠くで起きた出来事のように感じられた。桂山さん! と奏人の声が叫びになるのが微かに聴こえた。
「課長……酷い顔してますよ、大丈夫ですか?」
短い朝礼を始業とともに済ませて、すぐに取引先に出かけようと準備をしていると、今日一緒に行く落合に心配されてしまう。
「じゃ一人で行くか?」
暁斗がからかい半分で訊くと、それは、と彼は口籠った。暁斗は彼が新入社員たちにしっかり対応していたのを評価していた。やっと先輩としての自覚が出始め、話し方に芯が見えてきている。今日行く2つの会社はどちらも小さな社だが、大切な取引先だ。彼は暁斗や他の社員と昨年から数度訪れていたが、そろそろ独り立ちさせたかった。
「一人で行けよ、甘えてんな」
暁斗のデスクに近い場所に席を持つ花谷にも笑い混じりに言われ、落合は困ったように俯いた。
「一緒に行くのは今日が最後のつもりでいるから、そのつもりでいてくれよ」
たぶん1件目のほうが、気を遣う相手だろう。2件目は何も話さず任せようと暁斗は思った。
落合がきっちり話をしてくれたことに安堵したせいか、暁斗は集中力と気力をほぼ切らしかけていた。どちらの社も近所で良かったと思いながら足を運んでいると、落合が課長、と驚いたように腕を掴んできた。
「首……ぽつぽつ出てます」
ぽつぽつという言葉に何となく可笑しみを感じながら、暁斗は鞄から手鏡を出して顔を傾けた。耳の下から肩にかけて、かぶれたような発疹がある。
「出る前にトイレに行った時は無かったな」
妙に冷静に思い出しながら、暁斗は呟いた。落合が困惑を声に滲ませる。
「はしかじゃないですか、他所の課でも流行ってるって……」
「うつすとまずいな、離れて歩け」
「そういう問題じゃないです、熱もありそうだし帰ってください……次のとこは僕一人で行きます」
落合は意を決したように言った。暁斗はやや驚いてその不安混じりの、しかし強い気持ちが浮かぶ顔を見つめる。
「分かった、任せる……何かあったら電話しろ」
彼は頷き、一度暁斗を振り返ってから、出口に向かう階段を降りていった。あまり良くない任せ方とはいえ、部下が勇気を出してくれたことを嬉しく思いながら、暁斗は山手線の乗り場にゆっくりと向かう。途中、トイレに入り、ディレット・マルティールの会員ページにアクセスし、明日の予約をキャンセルする。気持ちが萎むが、奏人に病気をうつすわけにはいかなかった。
トイレから出た時、暁斗は視界の端に入った二人連れにどきりとした。背の高い和服姿の男性は、その出で立ちだけで十分に目を引いたが、暁斗が目を奪われたのは、隣にいた頭一つ小さい、軽装の華奢な男性だった。……奏人。
そんなことをする必要も無いのに、暁斗は店舗や団体客を盾にして身を隠し、距離を置いて二人を追う。和服の男性は、着こなしが板についている様子や上品な物腰から、何か伝統芸能にかかわっている人物と想像できた。大きな鞄を持った奏人は彼の話を楽しそうに聞き、笑顔で相槌を打っているのが、遠目でもわかった。目立つ二人に目をやる人もちらほらいた。……あれは何者だ? 奏人はわざわざ休みを取って彼と会っているのか? 二人の行く先を見て暁斗は危うくその場でしゃがみこんでしまいそうになる。新幹線乗り場の改札。
二人はそれぞれICカードを改札機にかざし、先へ進んで行った。奏人の大きな鞄が何を意味しているのかを悟り、暁斗は愕然とする。客ではないのか。特別で大切な人なのか。暁斗は嫌な考えに頭を支配されていくのを、止めることが出来ない。頭の中を真っ白にしたまま、山手線の乗り場に戻るべく方向転換した。
奏人は誰にでもあなたは特別だと言う人間なのかもしれない。しおらしい表情を作り相手の心を惑わすこと自体に快楽を覚える、病んだ者。金のためにあの仕事をしているのではなく、弄ぶ相手を物色し、罠を仕掛けるためなのではないか。
暁斗はどこをどう歩いたのかわからないまま、会社のビルに辿り着いた。自動ドアをくぐってほっとすると、脚の力が抜けた。受付カウンターから新城が驚いて駆け寄ってくる。
「桂山課長⁉ えっ、熱があるんですか!」
彼女の声が遠い。暁斗は大丈夫、と答えようとしたが、声が出なかった。彼女がエレベーターから降りてきた数人に助けを求めているのを霞む視界に入れて、暁斗はどうしたんだという声を他人事のように聴いていた。
暁斗が目を開くと、白衣を着た男性の背中が見えた。会社の医務室のベッドの上だということを認識するのに、時間がかかった。
「あ、桂山課長……」
医師の藤倉はちらりと笑顔を見せた。咄嗟に出て来たのは、すみません、という言葉だった。
「もうお帰りになったほうがいいですね、たぶんまだ熱が上がりますよ……帰ってすぐに病院できちんと診てもらってください」
タクシー呼びますか、という言葉に小さく頷く。誰か課の者が持って来てくれたのだろう、コートがベッドの脇にかかっていた。
「はしか、なんですかね」
「たぶん……うつさないためにもこのまま帰るべきですよ、課のほうには私が連絡しておきます」
藤倉は社畜たちにいつもそう説諭するのだろう、滑らかに話した。彼がタクシーを呼ぶためにその場を離れると、社内とは思えない静けさが満ちる。意外に心地良い空間だった。
暁斗はスマートフォンをベッドの脇に置かれた鞄から取り出す。さっき別れた落合からは、あちらと滞りなく話を済ませたので今から社に戻るというメッセージが来ていた。そして、ディレット・マルティールの奏人のアドレスから、「残念ですが仕方ありませんね、風邪が流行っているようですから、どうぞご自愛ください」と丁寧な返信があり、LINEには「大丈夫ですか、夜にまた連絡しますね」とメッセージがあった。
新幹線の中から送ってきたのかと考えると、身体中の力が抜けそうになる。奏人が自分の知らない場所で何をしていようと、どうこう言う権利は自分には無いのだ。奏人はディレット・マルティールの売れっ子スタッフで、自分は彼の客のうちの一人。「特別」であることをちらつかされた後だけに、その事実が受け入れ難かったが、暁斗には横になって目を閉じ、鼻の奥が痛むのを耐えるしかなかった。
マンションの前にタクシーをつけ、部屋に入ったところまでしか記憶に無かった。気づくとリビングの中は薄暗くなっていて、近所の内科の受付時間を過ぎてしまったことに気づかされた。とはいえ暁斗は起き上がる気力も無く、歩いて診療所まで行けたかどうかも怪しかった。一息ついて、またとろとろとまどろむ。暑いのか寒いのか、よくわからない。身体は熱いのに、どこかが底冷えした感覚があった。次に目覚めると、喉が焼けるように痛み、悪寒に震えが止まらなくなった。
スマートフォンが震えて、真っ暗な中で画面をぼんやりと光らせる。
「今どこですか、家で休んでいたらごめんなさい」
奏人からのLINEだった。俺がどこに居るのかを訊いてどうするんだ。投げやりな思いが胸にこみ上げる。暁斗はやっとの思いで立ち上がり、キッチンで喉の痛みに耐えながら水を飲み、体温計を探す。どうしてこんなに動作の一つ一つが億劫なのだろう。
「目が覚めたら一言お返事ください、おひとりなので心配です」
暁斗は息苦しくて、深呼吸しながらスマートフォンの画面をスワイプした。おまえこそ何処にいるのだと訊き返してやろうか。体温計がピピッと音を立てた。見ると40度を少し超えていて、今まで見たことのない数字に仰天する。視界が揺れた。あまりのことに強い不安に捕らわれ、全身の震えが激しくなる。
「熱が高くて」
奏人とのトークルームが開きっぱなしだったので、思わず打ち込む。指が震え、コントロールできないことにも驚き、そこまでで送信してしまった。
すぐにスマートフォンが長く震えた。やけに眩しい画面は、奏人からの電話であることを告げていた。出てやるものかという意志はすぐに挫けた。
「桂山さん、家ですよね? 大丈夫なんですか?」
奏人はいつもと比べて早口で話した。その声を聴いた途端、勝手に腰が砕けた。スマートフォンが手から滑り落ちて床で音を立てたが、暁斗には遠くで起きた出来事のように感じられた。桂山さん! と奏人の声が叫びになるのが微かに聴こえた。
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