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代ぬいが見つからない
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えっと、とひとりごちて、亜希は首を捻りながら指を動かした。
「意味がよくわからないのですが、それは大西さんが私の部屋にいらっしゃるということなんでしょうか笑」
冗談を言っているのだろうと亜希は思ったが、返事は概ね真面目な様子だった。
「まあ、それを含んだ申し出のつもりです」
亜希は試しにからかってみる。
「うさぎの耳をつけてですかww」
「リクエストがあるなら作って持参します笑」
マジかこいつ。亜希はあ然とした後、甚だ困惑した。いくらイケメンでも、誰がうさぎの耳をつけた男を、家に呼びたいというのだろう?
「毎日顔を見るぬいぐるみが急にいなくなるというのは、予想以上に寂しいことのようだと、沢山のお客様を見てきて感じています。少し行き過ぎた提案であることは承知しています。ただ、あんな事件の直後でもあるからでしょうが、私が想像していた以上に私とやり取りしてくださっている住野さんのことが、いろいろ心配だということはお伝えしておこうかなと思いました」
大西のメッセージが大きな吹き出しになって、スマートフォンの画面を占領する。それを見つめながら、亜希は顔が熱くなるのを感じた。
どうしてこの人は、こんなに自分を心配してくれているのだろう。確かに、事件の際にIDを交換してから、毎日ひと言ふた言は必ずやり取りしていた。それもあって亜希は大西に気を許しているし、そうなればメッセージの行き来が増えるのも当然である。それを彼は、想定外と受け止めていたのか……。
勘違いされた? 亜希は自分が、知り合ったばかりの男性に対して、酷く図々しい態度を取ってきたのかもしれないと焦った。
いや、勘違いというのは少し語弊がある。少なくとも亜希は、大西に対し信頼や親しみの気持ちを抱いていた。毎日会いたいとか、触れてみたいといったような、脂っこくて粘度の高い思いではないが、彼とやり取りしていると、ふと胸の中に心地良い太陽の光が差し込む感じがするのだ。
あ、返事しなきゃまずい、受諾してはいないけれど、拒絶したと受け取られたくない。
「私はビッチではありませんので、みだりに男性を部屋に上げる訳にはいきません。ただ大西さんが心配してくださることは非常に有り難く思っていますので、」
亜希はここで一度メッセージを送信した。
「妥協点を探るために、明日明後日にでも話し合いませんか?」
こんな、誘うような文面を送りつけるなんて……しかし亜希は躊躇を振り払い、ちょっとどきどきしながら、もう一度送信キーを押した。なかなかレスが来ないので、少し不安になってきたその時、スマートフォンが震えた。
「わかりました。住野さんのご都合をお知らせください。私は住野さんをビッチだと思ったことはただの一度もありませんよ(すみませんウケました)」
え、何でそこでウケるのよ。短い時間ではあるが考え抜いた言葉を笑われて、亜希は1人で唇を尖らせた。
よくわからない運びだが、週末の勤務終了後に会うことになった。亜希はベッドからももちゃんを連れて来て、この間大西がしたように、その耳の間を指先で撫でた。
「ももちゃんをあの先生に任せるのは心配してないよ、でも私まで寄っかかるのは……」
言葉が続かなかった。ももちゃんの顔を見ると、大丈夫、と言っているようにも見えた。
「意味がよくわからないのですが、それは大西さんが私の部屋にいらっしゃるということなんでしょうか笑」
冗談を言っているのだろうと亜希は思ったが、返事は概ね真面目な様子だった。
「まあ、それを含んだ申し出のつもりです」
亜希は試しにからかってみる。
「うさぎの耳をつけてですかww」
「リクエストがあるなら作って持参します笑」
マジかこいつ。亜希はあ然とした後、甚だ困惑した。いくらイケメンでも、誰がうさぎの耳をつけた男を、家に呼びたいというのだろう?
「毎日顔を見るぬいぐるみが急にいなくなるというのは、予想以上に寂しいことのようだと、沢山のお客様を見てきて感じています。少し行き過ぎた提案であることは承知しています。ただ、あんな事件の直後でもあるからでしょうが、私が想像していた以上に私とやり取りしてくださっている住野さんのことが、いろいろ心配だということはお伝えしておこうかなと思いました」
大西のメッセージが大きな吹き出しになって、スマートフォンの画面を占領する。それを見つめながら、亜希は顔が熱くなるのを感じた。
どうしてこの人は、こんなに自分を心配してくれているのだろう。確かに、事件の際にIDを交換してから、毎日ひと言ふた言は必ずやり取りしていた。それもあって亜希は大西に気を許しているし、そうなればメッセージの行き来が増えるのも当然である。それを彼は、想定外と受け止めていたのか……。
勘違いされた? 亜希は自分が、知り合ったばかりの男性に対して、酷く図々しい態度を取ってきたのかもしれないと焦った。
いや、勘違いというのは少し語弊がある。少なくとも亜希は、大西に対し信頼や親しみの気持ちを抱いていた。毎日会いたいとか、触れてみたいといったような、脂っこくて粘度の高い思いではないが、彼とやり取りしていると、ふと胸の中に心地良い太陽の光が差し込む感じがするのだ。
あ、返事しなきゃまずい、受諾してはいないけれど、拒絶したと受け取られたくない。
「私はビッチではありませんので、みだりに男性を部屋に上げる訳にはいきません。ただ大西さんが心配してくださることは非常に有り難く思っていますので、」
亜希はここで一度メッセージを送信した。
「妥協点を探るために、明日明後日にでも話し合いませんか?」
こんな、誘うような文面を送りつけるなんて……しかし亜希は躊躇を振り払い、ちょっとどきどきしながら、もう一度送信キーを押した。なかなかレスが来ないので、少し不安になってきたその時、スマートフォンが震えた。
「わかりました。住野さんのご都合をお知らせください。私は住野さんをビッチだと思ったことはただの一度もありませんよ(すみませんウケました)」
え、何でそこでウケるのよ。短い時間ではあるが考え抜いた言葉を笑われて、亜希は1人で唇を尖らせた。
よくわからない運びだが、週末の勤務終了後に会うことになった。亜希はベッドからももちゃんを連れて来て、この間大西がしたように、その耳の間を指先で撫でた。
「ももちゃんをあの先生に任せるのは心配してないよ、でも私まで寄っかかるのは……」
言葉が続かなかった。ももちゃんの顔を見ると、大丈夫、と言っているようにも見えた。
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