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第74話 代理聖女サラ、逃げ出す①

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「ララ、聖女代理は見つかった?」

 私は声をかけてきた巫女に首を振った。

「ううん、いない。部屋ももぬけの殻」

◇◇◇

 それは突然だった。
 神殿の神聖なる朝の祈りの時間に、聖女代理サラがこなかったのだ。
 寝坊かと思った巫女たちが、サラの部屋へいったところ、やはり彼女はいなかった。
 というか、どこを探してもその姿がない。

 ちょうどその日は王への御前報告の日で、朝の祈りが終われば、サラは御前報告に行くはずだったのだが、その時間になっても彼女は見つからなかった。

 で、御前報告の時間を過ぎてしばらく、足音も荒くオズワルドが神殿に直接やってきたという顛末なのである。

「何事だ!
 サラはまだ来ないのか!」

 恐ろしい剣幕で怒鳴るオズワルドに、巫女である私達は顔を見合わせる。

「それが、どこにもいらっしゃらないのです」

 おびえる巫女たちを代表して私が声を上げると、オズワルドは人を殺せそうな憤怒の表情を見せた後、私達が止めるのも聞かず、サラの私室へ向かった。

「お待ちください!」

 と巫女の静止を振り切って、オズワルドはサラの部屋の扉を乱暴に開けた。
 まぁなんで止めたかって言うと、部屋からはサラのアクセサリーやら金目の物やらが持ち出され、一目みれば意図的に逃げた、ということがわかる、がらんとした有様だったからである。
 まぁこれをオズワルドが見たら絶対に怒るだろうなぁという……あれですね。

「くそっ、やられた!
 あの女……!」
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