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先の見えない入り口
先の見えない入り口 ~願望を叶えるために~ 5
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優也は担任教師の森沢真由美が、全裸の姿で美しい肌を他の男に重ねながら、性の施術をほどこす光景を想い浮かべました。
今まで感じたことの無い激しい嫉妬と刹那の息苦しさが体中を駆け巡ります。
それでいながら、動きを止めた手が握り締める茎の先からは、透明な雫が快楽を求めるように、たらたらと連なり落ちています。
「それではお客様、ご予約はどうなさいますか?」
北川の言葉に優也はハッと我に返りました。真由美先生に対する妄想を現実に変える唯一の方法が目の前にあるのです。手放すことなど出来ません。
「予約します。どうすればよろしいですか?」
「ありがとうございます。まずコースについてですが、ゴールドコースは初めてのお客様はリクエスト出来ないんです。初回はシルバーコースでよろしいですか? ゴールドコースは2回目以降のお客様からになりますので」
貴賓館では、ゴールドコースは利用実績があって、何のトラブルも無い客用のものでした。
「は、はい、シルバーコースでお願いします」
「ありがとうございます。ところでお客様は今、非通知で電話をかけていらっしゃいますね。申し訳ありませんが非通知を解除して、折り返しお電話を頂けますか?」
北川の説明では、予約をした時間に来なかったり、興味半分の電話を防ぐだめだそうです。
優也は店に自分の電話番号を知られるのを怖がっていました。風俗店に客として予約したことをネタに、何らかの脅迫を受けるのではと思ったりしたのです。
遊び慣れた大人にとっては何でも無いことであっても、性経験の無い高校生にとっては幾つもある障壁の一つでした。
優也は一旦電話を切り、非通知設定を解除してから再度電話をしました。すぐに先程と同じ北川が電話にでます。
「まず…… お客様のお名前を伺ってもよろしいですか。そのお名前で予約を取らせて頂きますので」
優也は「うっ」と息を詰まらせました。
…… 正直に「真壁」などという珍しい苗字を言って、もしも予約リストとかが真由美先生の目に留まってたら、僕だと勘付いてしまうのでは ……
…… きっと警戒して、その日の「出勤」をキャンセルするんでは ……
一瞬、そんな不安が頭の中をよぎります。
「本名じゃなくてもよろしいですよ」
返答に困惑している優也の気配を察したのか、北川が優しく助け船を出してくれました。
「え…… えーと、篠田といいます」
優也の口から、咄嗟に好きなアニメの主人公の名前が出ました。
「篠田様ですね…… それでは御希望のセラピストの名前を教えて下さい。所属している女性の一覧がスマホのサイトにございますので」
「由紀子さんをお願いします……」
前もってサイトで調べた真由美先生の名前を告げました。
「由紀子さんですか…… 人気が高いので予約が取りにくいんですよね。いつもすぐ埋まってしまいますから……」
電話の向こうの北川は、そう言いながらキーボードを操作して予約状況を調べている様子でした。
(真由美先生は誰が見ても綺麗だから、予約するのが大変なんだ……)
優也は祈るような思いで返事を待ちました。ここで予約が取れなかったら、やっと手が届きそうになった憧れの先生が、遥か先に遠ざかってしまうような思いだったのです。
「申し訳ありません。由紀子さんは2週間先まで予約が入っております」
優也は体から力が抜けていく思いでした。
「2週間後のさらに先はどうですか? 空いている日はありますか?……」
「当店では予約は2週間先までなんです」
北川が申し訳なさそうに答えます。
「よろしければ在籍No.46の紗里奈さんはいかがでしょうか? 由紀子さんと同じように、綺麗でスタイルの良いかたですよ。素敵なOLさんです」
「いえ…… 由紀子さんがいいです」
「そうなんですね…… わかりました。このまま、ちょっとお待ち下さいね」
北川はそう言うと、電話の向こうで誰かと話しているようです。
…… え、はいはい、そうなんですか ……
…… じゃあ、先方がそうおっしゃってるのね ……
微かに電話の向こう側での会話の一部が聞こえてきます。しかし、それが何を意味するのかはわかりません。優也は祈るような気持ちで天井を見上げながら返事を待ちました。
時間にすれば僅かな間だったのかも知れませんが、優也にとっては審判を待つように長い時間だったのです。
「篠田さん、お待たせしました」
北川の声に優也は息をゴクリと飲み込みました。
「来週の日曜日の夜8時の予約の方が、もしかしたらキャンセルされるかも知れないんですよ。よろしかったらキャンセル待ちで仮予約できますが、いかがされますか?」
優也にとって他に選択肢などありません。
「是非、キャンセル待ちを入れておいて下さい」
「承知致しました。ではと…… 来週日曜日の夜8時、篠田様、キャンセル待ちで確かに入れさせて頂きました」
「あ、ありがとうございます」
「キャンセル待ちが取れましたら、お客様の電話番号にショートメールで連絡を入れますので、見逃さないようにお願いします」
「は、はい、注意して見ておきます」
優也は「ハア……」と溜まっていた息を吐きました。
全身に薄っすらと汗が浮かんでいます。期待と不安と焦りが入り混じった、生暖かいジメジメとした汗でした。
「由紀子さんの予約、取れるといいですね。応援してますよ」
北川の声に優也は笑みを浮かべました。もしかしたら、今日、やっと初めての笑みだったかも知れません。
電話を切ってスマホを枕元に置き、再び「フウ……」と息を漏らしました。
(この先、どうなるんだろう…… 早る気持ちのまま店に電話してキャンセル待ちをしたけど、もし本当に予約が取れたら、その先ってどうなるんだろう……)
優也は先の見えない入り口に立たされた気分でした。そして、先ほどまで親切だった北川は、実は行き先のわからない入り口の案内嬢のように思えたのです。
…… この先には何があるの?……
…… どこへつながっているの?……
…… もしかしたら思いがけない落とし穴があるのかも ……
踏み込んだことの無い世界に対する不安と恐れが優也の中に込み上げます。それと同時に、思いがけず手が届くところまで近づいた真由美先生に対する熱い期待が、螺旋のように優也の中で交錯したのです。
ベッドに横たわった優也は、頭をもたげたまま熱を帯びた茎に添えた手を、再びゆっくりと動かしました。
目を閉じ、北川の言葉を何度も想い返します。
柔らかで透き通るように美しい真由美先生の手が、透明なローションに濡れて妖しく光る……
その手が狂おしいまでに硬直した茎にやさしく添えられ、愛おしむようにゆっくりと動く……
彼はそんな光景を思い描きました。
…… 優也くん、先生の手で気持ちよくなってね ……
…… 先生のことを想いながらいっぱい出してね ……
…… 優也くんのこと、先生も好きだよ ……
夢想の中で真由美の言葉に何度も頷き、艶めかし指先で施される快楽に体を仰け反らします。射精の兆しを必死に堪え、幻覚のように浮かぶ彼女の顔を見つめ続けました。
…… 優也くん、やっと先生と結ばれたね ……
…… 先生の中に熱い想いをいっぱい出してね ……
優也は、仰向けになった自分の上に一糸纏わぬ真由美先生が重なり、狂おしいまでに硬直した茎に手を添え、ゆっくりと膣口の奥へ導いてくれる姿を想い描きました。彼女が身悶えながら腰を動かし、彼の濃厚な精を欲しがる姿に恍惚を感じた瞬間、17才の若い欲望は射精への誘いにあがなうことが出来なくなったのです。
体の奥から激しい脈動が繰り返され、筋が浮かび上がる茎の先から、欲望にまみれた白濁液が溢れ出ました。激しく動かす手に自身の精液が纏わり付き、その濃厚なヌメリを夢想の中の真由美の膣奥に重ね合わせながら、込み上げる眩い快楽に身を委ねました。
…… 先生…… 体の奥で受け止めて ……
…… 先生の中で全部受け止めて ……
優也は閉じた目の奥で、真由美が口元に笑みを浮かべて頷きながら、彼の放つ熱い精の脈動に身悶える愛おしい姿を想い描いたのです。
<この章、終わり>
今まで感じたことの無い激しい嫉妬と刹那の息苦しさが体中を駆け巡ります。
それでいながら、動きを止めた手が握り締める茎の先からは、透明な雫が快楽を求めるように、たらたらと連なり落ちています。
「それではお客様、ご予約はどうなさいますか?」
北川の言葉に優也はハッと我に返りました。真由美先生に対する妄想を現実に変える唯一の方法が目の前にあるのです。手放すことなど出来ません。
「予約します。どうすればよろしいですか?」
「ありがとうございます。まずコースについてですが、ゴールドコースは初めてのお客様はリクエスト出来ないんです。初回はシルバーコースでよろしいですか? ゴールドコースは2回目以降のお客様からになりますので」
貴賓館では、ゴールドコースは利用実績があって、何のトラブルも無い客用のものでした。
「は、はい、シルバーコースでお願いします」
「ありがとうございます。ところでお客様は今、非通知で電話をかけていらっしゃいますね。申し訳ありませんが非通知を解除して、折り返しお電話を頂けますか?」
北川の説明では、予約をした時間に来なかったり、興味半分の電話を防ぐだめだそうです。
優也は店に自分の電話番号を知られるのを怖がっていました。風俗店に客として予約したことをネタに、何らかの脅迫を受けるのではと思ったりしたのです。
遊び慣れた大人にとっては何でも無いことであっても、性経験の無い高校生にとっては幾つもある障壁の一つでした。
優也は一旦電話を切り、非通知設定を解除してから再度電話をしました。すぐに先程と同じ北川が電話にでます。
「まず…… お客様のお名前を伺ってもよろしいですか。そのお名前で予約を取らせて頂きますので」
優也は「うっ」と息を詰まらせました。
…… 正直に「真壁」などという珍しい苗字を言って、もしも予約リストとかが真由美先生の目に留まってたら、僕だと勘付いてしまうのでは ……
…… きっと警戒して、その日の「出勤」をキャンセルするんでは ……
一瞬、そんな不安が頭の中をよぎります。
「本名じゃなくてもよろしいですよ」
返答に困惑している優也の気配を察したのか、北川が優しく助け船を出してくれました。
「え…… えーと、篠田といいます」
優也の口から、咄嗟に好きなアニメの主人公の名前が出ました。
「篠田様ですね…… それでは御希望のセラピストの名前を教えて下さい。所属している女性の一覧がスマホのサイトにございますので」
「由紀子さんをお願いします……」
前もってサイトで調べた真由美先生の名前を告げました。
「由紀子さんですか…… 人気が高いので予約が取りにくいんですよね。いつもすぐ埋まってしまいますから……」
電話の向こうの北川は、そう言いながらキーボードを操作して予約状況を調べている様子でした。
(真由美先生は誰が見ても綺麗だから、予約するのが大変なんだ……)
優也は祈るような思いで返事を待ちました。ここで予約が取れなかったら、やっと手が届きそうになった憧れの先生が、遥か先に遠ざかってしまうような思いだったのです。
「申し訳ありません。由紀子さんは2週間先まで予約が入っております」
優也は体から力が抜けていく思いでした。
「2週間後のさらに先はどうですか? 空いている日はありますか?……」
「当店では予約は2週間先までなんです」
北川が申し訳なさそうに答えます。
「よろしければ在籍No.46の紗里奈さんはいかがでしょうか? 由紀子さんと同じように、綺麗でスタイルの良いかたですよ。素敵なOLさんです」
「いえ…… 由紀子さんがいいです」
「そうなんですね…… わかりました。このまま、ちょっとお待ち下さいね」
北川はそう言うと、電話の向こうで誰かと話しているようです。
…… え、はいはい、そうなんですか ……
…… じゃあ、先方がそうおっしゃってるのね ……
微かに電話の向こう側での会話の一部が聞こえてきます。しかし、それが何を意味するのかはわかりません。優也は祈るような気持ちで天井を見上げながら返事を待ちました。
時間にすれば僅かな間だったのかも知れませんが、優也にとっては審判を待つように長い時間だったのです。
「篠田さん、お待たせしました」
北川の声に優也は息をゴクリと飲み込みました。
「来週の日曜日の夜8時の予約の方が、もしかしたらキャンセルされるかも知れないんですよ。よろしかったらキャンセル待ちで仮予約できますが、いかがされますか?」
優也にとって他に選択肢などありません。
「是非、キャンセル待ちを入れておいて下さい」
「承知致しました。ではと…… 来週日曜日の夜8時、篠田様、キャンセル待ちで確かに入れさせて頂きました」
「あ、ありがとうございます」
「キャンセル待ちが取れましたら、お客様の電話番号にショートメールで連絡を入れますので、見逃さないようにお願いします」
「は、はい、注意して見ておきます」
優也は「ハア……」と溜まっていた息を吐きました。
全身に薄っすらと汗が浮かんでいます。期待と不安と焦りが入り混じった、生暖かいジメジメとした汗でした。
「由紀子さんの予約、取れるといいですね。応援してますよ」
北川の声に優也は笑みを浮かべました。もしかしたら、今日、やっと初めての笑みだったかも知れません。
電話を切ってスマホを枕元に置き、再び「フウ……」と息を漏らしました。
(この先、どうなるんだろう…… 早る気持ちのまま店に電話してキャンセル待ちをしたけど、もし本当に予約が取れたら、その先ってどうなるんだろう……)
優也は先の見えない入り口に立たされた気分でした。そして、先ほどまで親切だった北川は、実は行き先のわからない入り口の案内嬢のように思えたのです。
…… この先には何があるの?……
…… どこへつながっているの?……
…… もしかしたら思いがけない落とし穴があるのかも ……
踏み込んだことの無い世界に対する不安と恐れが優也の中に込み上げます。それと同時に、思いがけず手が届くところまで近づいた真由美先生に対する熱い期待が、螺旋のように優也の中で交錯したのです。
ベッドに横たわった優也は、頭をもたげたまま熱を帯びた茎に添えた手を、再びゆっくりと動かしました。
目を閉じ、北川の言葉を何度も想い返します。
柔らかで透き通るように美しい真由美先生の手が、透明なローションに濡れて妖しく光る……
その手が狂おしいまでに硬直した茎にやさしく添えられ、愛おしむようにゆっくりと動く……
彼はそんな光景を思い描きました。
…… 優也くん、先生の手で気持ちよくなってね ……
…… 先生のことを想いながらいっぱい出してね ……
…… 優也くんのこと、先生も好きだよ ……
夢想の中で真由美の言葉に何度も頷き、艶めかし指先で施される快楽に体を仰け反らします。射精の兆しを必死に堪え、幻覚のように浮かぶ彼女の顔を見つめ続けました。
…… 優也くん、やっと先生と結ばれたね ……
…… 先生の中に熱い想いをいっぱい出してね ……
優也は、仰向けになった自分の上に一糸纏わぬ真由美先生が重なり、狂おしいまでに硬直した茎に手を添え、ゆっくりと膣口の奥へ導いてくれる姿を想い描きました。彼女が身悶えながら腰を動かし、彼の濃厚な精を欲しがる姿に恍惚を感じた瞬間、17才の若い欲望は射精への誘いにあがなうことが出来なくなったのです。
体の奥から激しい脈動が繰り返され、筋が浮かび上がる茎の先から、欲望にまみれた白濁液が溢れ出ました。激しく動かす手に自身の精液が纏わり付き、その濃厚なヌメリを夢想の中の真由美の膣奥に重ね合わせながら、込み上げる眩い快楽に身を委ねました。
…… 先生…… 体の奥で受け止めて ……
…… 先生の中で全部受け止めて ……
優也は閉じた目の奥で、真由美が口元に笑みを浮かべて頷きながら、彼の放つ熱い精の脈動に身悶える愛おしい姿を想い描いたのです。
<この章、終わり>
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