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人混みの中の後ろ姿
人混みの中の後ろ姿 ~美しい女教師の副業~ 1
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高校2年の真壁優也は電車の吊り革を握りながら、人と人との僅かな隙間から見える担任教師の森沢真由美に見とれていました。紅潮した密かな息遣いを周りの乗客に悟られないよう、何度か深呼吸をしました。幸いなことに車内の人混みは、17才の彼の姿を真由美から隠し続けてくれています。
今日の午後、優也は真由美から進路指導を受けるため、面談室で彼女と2人だけでテーブルを挟んで向き合っていました。進学校でもある私立の学園では毎年今の時期に、受験希望の大学について第一回目の面談を行うことになっていたのです。
1人に30分ぐらいかかるため、約2週間くらいのスケジュールが組まれていました。父兄の参加も認められていますが、優也は他県からの越境入学のため、都内のワンルームマンションに1人で住んでいました。そのこともあり、今回は優也だけの面談だったのです。
森沢真由美は優也が通う高校の担任教師で、担当する科目は英語でした。32才の彼女は4年前に結婚しましたが、商社で働く夫は東欧の海外支社が抱えるプロジェクトが佳境を迎え、1年の大半を単身赴任で留守にしていました。
真由美の美しい容姿は周りの男達の目を引き、男子生徒達からも憧れの対象として、良くも悪くも密かな話題の対象となっていました。
そして決まって最後には、彼女の夫を羨む理不尽な憎しみの言葉を交わし合う事で自分達の心を慰めていたのです。
「本当は真壁君のご両親にも来て頂いて、成績の事で相談したかったのよ」
真由美は優也に向かって厳し目な口調で話を続けました。
「やっぱり一人暮らしがいけないのかな。ちゃんと勉強しているの?」
優也は入学した直後から真由美の美しさに魅かれていました。顔立ちだけでなく、スーツ姿の端正なスタイルやスカートの裾から見える美しい脚線、形の整った胸の膨らみや艶めかしい首筋など、どれをとっても非の打ち所のないものだったのです。
それでも1年生の時は他のクラスの担任でしたが、2年生に彼女が優也の担任になってからは勉強が手に付かなくなり、成績も下がってしまったのです。
「真壁君、ちゃんと先生の話を聞いている? 今が頑張らなきゃならない時なの」
彼女の虜になった優也にとっては、厳し目な真由美の声ですら大人の女性を感じさせる心地よいものでした。
優也は顔を伏せながら真由美のブラウスの胸元を盗み見し、叱られて反省するしぐさをしながら、昂る胸の鼓動を押し隠していました。
「わかりました。今日からもっと勉強を頑張ります」
その場しのぎの言い訳で取り繕いながら、優也にとっては2人だけの大切な時間を過ごしました。
どうあがいても決して先生と恋人同士にはなれない…… その辛い現実を受け入れている彼にとっては、同じ空間で2人だけになれる数少ない機会だったのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初夏の夕日が電車のドアから差し込み、その傍に立つ真由美の顔立ちを淡いオレンジ色に染めています。涼しげなブラウスの半袖から露わになる白く細い腕が眩しい光りに包まれ、大人との間で揺れ動く優也の心を釘付けにしていました。
(つい2時間前まで進路指導をしてくれた真由美先生も綺麗だけど、こうして見るプライベートの姿も綺麗だな……)
彼女への募る想いと、見つからないように「尾行」するスリルが、優也の胸を高鳴らせます。
電車のドアの横に立ち、外を見つめる真由美の横顔は、彼にとっては教壇に立つ教師とは別の、もうひとりの美しい女性の姿でした。
担任教師であり人の妻という手の届かない存在である彼女の普段とは違う姿を、今は自分だけが見つめている…… 優也にとってそのひと時は、誰にも分け与えたくない自分一人だけの秘密であり、至福の時間でした。
学校帰りにスーパーで夕食の材料を選ぶ姿……
ドラッグストアに立ち寄り、コスメを手に取る姿……
信号待ちの交差点で時計を気にしながら先を急ぐ姿……
そんな何気ない彼女の日常ですら、優也にとっては初めて目にする新たな発見だったのです。
もちろん優也にも罪悪感はありました。人知れず真由美の姿を追いながらも、自分自身のその姿は誰にも絶対に知られたくない秘密でした。
それと同時に、クラスの男子生徒の誰も目にした事のないもう一人の真由美の日常を知る度に、密かな優越感に浸っていたのです。
しかし、この日の真由美はいつもと何かが違っていることに優也は気付いていました。それが何なのかはわからないのですが、優也はその違和感がずっと気になっていたのです。
何かしら不機嫌で、時折、思い詰めたような小さな溜息を何度か漏らしている真由美の姿を、優也は離れた場所から伺っていました。
普段と違う行き先の電車に乗っていることと何か関係しているかも…… 優也は自分の鼓動が早まっていることに気付きました。
(もしかしたら真由美先生の新しい秘密を知ることが出来るかも)
早る気持ちが鼓動を掻き立ているのでしょうか。口の中に溜まった生唾を飲み込みながら、期待と願望が交互に優也の中を行き来していました。
今日の午後、優也は真由美から進路指導を受けるため、面談室で彼女と2人だけでテーブルを挟んで向き合っていました。進学校でもある私立の学園では毎年今の時期に、受験希望の大学について第一回目の面談を行うことになっていたのです。
1人に30分ぐらいかかるため、約2週間くらいのスケジュールが組まれていました。父兄の参加も認められていますが、優也は他県からの越境入学のため、都内のワンルームマンションに1人で住んでいました。そのこともあり、今回は優也だけの面談だったのです。
森沢真由美は優也が通う高校の担任教師で、担当する科目は英語でした。32才の彼女は4年前に結婚しましたが、商社で働く夫は東欧の海外支社が抱えるプロジェクトが佳境を迎え、1年の大半を単身赴任で留守にしていました。
真由美の美しい容姿は周りの男達の目を引き、男子生徒達からも憧れの対象として、良くも悪くも密かな話題の対象となっていました。
そして決まって最後には、彼女の夫を羨む理不尽な憎しみの言葉を交わし合う事で自分達の心を慰めていたのです。
「本当は真壁君のご両親にも来て頂いて、成績の事で相談したかったのよ」
真由美は優也に向かって厳し目な口調で話を続けました。
「やっぱり一人暮らしがいけないのかな。ちゃんと勉強しているの?」
優也は入学した直後から真由美の美しさに魅かれていました。顔立ちだけでなく、スーツ姿の端正なスタイルやスカートの裾から見える美しい脚線、形の整った胸の膨らみや艶めかしい首筋など、どれをとっても非の打ち所のないものだったのです。
それでも1年生の時は他のクラスの担任でしたが、2年生に彼女が優也の担任になってからは勉強が手に付かなくなり、成績も下がってしまったのです。
「真壁君、ちゃんと先生の話を聞いている? 今が頑張らなきゃならない時なの」
彼女の虜になった優也にとっては、厳し目な真由美の声ですら大人の女性を感じさせる心地よいものでした。
優也は顔を伏せながら真由美のブラウスの胸元を盗み見し、叱られて反省するしぐさをしながら、昂る胸の鼓動を押し隠していました。
「わかりました。今日からもっと勉強を頑張ります」
その場しのぎの言い訳で取り繕いながら、優也にとっては2人だけの大切な時間を過ごしました。
どうあがいても決して先生と恋人同士にはなれない…… その辛い現実を受け入れている彼にとっては、同じ空間で2人だけになれる数少ない機会だったのです。
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初夏の夕日が電車のドアから差し込み、その傍に立つ真由美の顔立ちを淡いオレンジ色に染めています。涼しげなブラウスの半袖から露わになる白く細い腕が眩しい光りに包まれ、大人との間で揺れ動く優也の心を釘付けにしていました。
(つい2時間前まで進路指導をしてくれた真由美先生も綺麗だけど、こうして見るプライベートの姿も綺麗だな……)
彼女への募る想いと、見つからないように「尾行」するスリルが、優也の胸を高鳴らせます。
電車のドアの横に立ち、外を見つめる真由美の横顔は、彼にとっては教壇に立つ教師とは別の、もうひとりの美しい女性の姿でした。
担任教師であり人の妻という手の届かない存在である彼女の普段とは違う姿を、今は自分だけが見つめている…… 優也にとってそのひと時は、誰にも分け与えたくない自分一人だけの秘密であり、至福の時間でした。
学校帰りにスーパーで夕食の材料を選ぶ姿……
ドラッグストアに立ち寄り、コスメを手に取る姿……
信号待ちの交差点で時計を気にしながら先を急ぐ姿……
そんな何気ない彼女の日常ですら、優也にとっては初めて目にする新たな発見だったのです。
もちろん優也にも罪悪感はありました。人知れず真由美の姿を追いながらも、自分自身のその姿は誰にも絶対に知られたくない秘密でした。
それと同時に、クラスの男子生徒の誰も目にした事のないもう一人の真由美の日常を知る度に、密かな優越感に浸っていたのです。
しかし、この日の真由美はいつもと何かが違っていることに優也は気付いていました。それが何なのかはわからないのですが、優也はその違和感がずっと気になっていたのです。
何かしら不機嫌で、時折、思い詰めたような小さな溜息を何度か漏らしている真由美の姿を、優也は離れた場所から伺っていました。
普段と違う行き先の電車に乗っていることと何か関係しているかも…… 優也は自分の鼓動が早まっていることに気付きました。
(もしかしたら真由美先生の新しい秘密を知ることが出来るかも)
早る気持ちが鼓動を掻き立ているのでしょうか。口の中に溜まった生唾を飲み込みながら、期待と願望が交互に優也の中を行き来していました。
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