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第1章 姉への想い
姉への想い page1
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初夏の日差しが眩しい金曜日の午後、早めに仕事を終えた月城麻美は駅前の洋菓子店でスイーツを買うと、足早に自宅のマンションへと向かった。
愁はもう帰っているだろうな
今日、予備校の授業は午前中で終わるって言ってたから
愁とは麻美の弟。今春の大学入試で何校かの合格を勝ち取ったが、第1志望校に入れなかったため、郷里を出て姉の住む東京のマンションで同居し、都内の予備校に通っている。
元々、麻美も愁も仲の良い姉弟で、一緒に2人だけで生活することに何の抵抗も無かった。むしろ、麻美にとって可愛いい弟の愁と一緒に暮らすことは、少なからず嬉しいことなのだ。
麻美は24才。19才になったばかりの愁より5才歳上である。年齢の少し離れた姉弟だからこそ、2人の関係は上手くいっているのかもしれない。
仕事は大手航空会社のキャビンアテンダントをしており、勤務が不規則なため、今日のように午後早々に退社することもある。
そのため、麻美はあらかじめ勤務予定を愁に伝えており、2人の共同生活がスムーズにいくように心配りをしていた。
麻美は大学生時代にミスコンで準優勝したこともあり、美しく端麗な容姿は学部内でもちょっとした評判だった。彼女に心を寄せる男も多く、何人かの男性との交際経験はあるが、今は様々な出来事を経た上で、特定の恋人はいなかった。
愁の容姿も端正に整い、高校では多くの女子生徒から注目されていた。少し見た目が年齢より年下に見えてしまうことが悩みで、上京したばかりの都内の繁華街で警察に補導され、慌てて姉の麻美が身元を引き取りに行ったこともあった。
愁はLINE送っても全然返事くれないし
麻美はスマホを取り出し、弟からの返信メッセージが来ないことに、少し機嫌を悪くした。姉の心、弟知らずのちょっとした気まぐれな振る舞いも、愁のあどけない容姿も含めて、むしろ麻美にとっては何かと弟のことを気にかける理由のひとつなのかもしれない。
愁が帰って来たら、何かちょっとした意地悪しようかな
姉に心配かけた罰だからね。ふふっ、可哀想に
他愛もない企みをあれこれ考えながらも、その表情には弟への無邪気な慈しみが込められていた。
麻美は自宅マンションに着くと、エントランスのポストから郵便物を取り出し、エレベーターで自室フロアへと向かった。
愁はもう帰っているだろうな
今日、予備校の授業は午前中で終わるって言ってたから
愁とは麻美の弟。今春の大学入試で何校かの合格を勝ち取ったが、第1志望校に入れなかったため、郷里を出て姉の住む東京のマンションで同居し、都内の予備校に通っている。
元々、麻美も愁も仲の良い姉弟で、一緒に2人だけで生活することに何の抵抗も無かった。むしろ、麻美にとって可愛いい弟の愁と一緒に暮らすことは、少なからず嬉しいことなのだ。
麻美は24才。19才になったばかりの愁より5才歳上である。年齢の少し離れた姉弟だからこそ、2人の関係は上手くいっているのかもしれない。
仕事は大手航空会社のキャビンアテンダントをしており、勤務が不規則なため、今日のように午後早々に退社することもある。
そのため、麻美はあらかじめ勤務予定を愁に伝えており、2人の共同生活がスムーズにいくように心配りをしていた。
麻美は大学生時代にミスコンで準優勝したこともあり、美しく端麗な容姿は学部内でもちょっとした評判だった。彼女に心を寄せる男も多く、何人かの男性との交際経験はあるが、今は様々な出来事を経た上で、特定の恋人はいなかった。
愁の容姿も端正に整い、高校では多くの女子生徒から注目されていた。少し見た目が年齢より年下に見えてしまうことが悩みで、上京したばかりの都内の繁華街で警察に補導され、慌てて姉の麻美が身元を引き取りに行ったこともあった。
愁はLINE送っても全然返事くれないし
麻美はスマホを取り出し、弟からの返信メッセージが来ないことに、少し機嫌を悪くした。姉の心、弟知らずのちょっとした気まぐれな振る舞いも、愁のあどけない容姿も含めて、むしろ麻美にとっては何かと弟のことを気にかける理由のひとつなのかもしれない。
愁が帰って来たら、何かちょっとした意地悪しようかな
姉に心配かけた罰だからね。ふふっ、可哀想に
他愛もない企みをあれこれ考えながらも、その表情には弟への無邪気な慈しみが込められていた。
麻美は自宅マンションに着くと、エントランスのポストから郵便物を取り出し、エレベーターで自室フロアへと向かった。
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