BLゲームの本編にも出てこないモブに転生したはずなのに、メイン攻略対象のはずの兄達に溺愛され過ぎていつの間にかヒロインポジにいる(イマココ)

庚寅

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6歳の僕♢学園編 3♢

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父様と兄様とイグリット魔道士団長さんの話し合いは、30分程で終了した。
美味しいお茶とお菓子を楽しみながら、甘えてくるリディを撫でたり、ルーと話したりしていたから、あっという間だった。
本当に全然待った感じは無かったんだけど、父様と兄様は話が終わって直ぐに待たせた事への謝罪をしながら、どちらが僕の隣に座るかで暫し揉めていた。


結局、隣にいたリディを僕の足の間に座らせて、父様と兄様に両側を挟まれながら座ることになったんだけど、ゆったり三人掛けのはずのソファーが酷く狭く感じたのは両サイドからの圧迫のせいかもしれない。
前にリディを座らせることになった僕は、当然お茶にもお菓子にも手が届かなくなったから、父様と兄様が甲斐甲斐しく食べさせたりしてくれた。
普段兄様がしてくれるからか、父様は久しぶりに僕に給餌ができるのが嬉しいらしくて、控えめに断ったけど聞こえないふりをされてしまった。


家長に世話をされるなんて、貴族としては本来ありえないんだけど、うちは家族仲がいいからか、生まれてからずっと家族の誰かが僕の面倒をみてくれている。
乳母も1度もついた事がない。
うちは貴族としてはとても珍しい程に仲良しだ。
これは使用人達もそうで、使用人の枠を出る事はないけれど、邸の皆が僕の事を考えて尽くしてくれてるのを感じる。


専属執事のルーも、本来なら私的な場であっても僕と私語をやり取りするのは窘められて然るべき事なんだけど、僕はそう言うのが寂しく感じてしまうから、なるべく僕からルーに話しかける事にしている。
ルーから使用人の枠を外れるような言葉をかけられる事はないけれど、僕からの話には応えてくれるし、きちんと会話してくれる。
これも、使用人としての矜持よりも僕の意思を優先してくれての事だ。
さすがに僕も、公的な場ではそんな事はしないけれど。
家族の皆やルーの上司である父様専属執事のベルも、察して僕やルーに注意してくる事はない。
本当に思いやりある優しい家族達だなと、毎日感じる。
でも、立場ある父様の過剰な過保護っぷりはたまに行き過ぎだから控えて欲しいなとは思うんだけど。
父様、口端の菓子屑くらい自分で拭えますよ!


あ、さっきまで父様と兄様と一緒に話し合いをしていたイグリット団長さんは、話し合いが終わって直ぐに、もう用件は無いだろうというような雰囲気の父様に早々に退室させられていた。
挨拶に来てくれた時、酷く名残惜しそうにしながらも、無事に許可を貰えたから、これからも引き続きよろしくお願いしますね、と笑顔で話し合いの結果を告げて帰って行かれた。
そっか、許可下りたのか。
本当にいいのかな、大丈夫なのかなってずっと思ってる疑問をまた頭の中で繰り返しながら、イグリット団長さんには、こちらこそ宜しくお願いします、ときちんと丁寧に礼を返した。
本来ならやっぱりこちらからお願いして然るべきだと思うのだから、当然の事だと思ってる。
父様からの、そんなのは必要ないって視線は気が付かなかった振りをさせて頂いた。




それからは、当初の予定通り父様か兄様達の誰かと一緒に休日に魔法の練習をしに王宮に通いながら、今年が最後の学園生活を卒業に向けて名残惜しむ様に送っていた。
初期魔法も、初期魔術への応用も直ぐに出来るようになった為、僕の魔力量に合わせて魔法や魔術の訓練をしながら、僕のこれからやってみたい魔術や魔術式の構築の話なんかをイグリット団長さんとしたり、魔力を扱えるようになったから自分でも魔道具を作れるように素材や作り方なんかを学園長さんに教えて貰いながら、魔道回路の応用や省略、変則的な組み換え等を話し合ったり。
今までしたくても出来ないからと、頭の中だけで考えてた事が、少しずつ自分の手で創り出せるようになってきて、それはもう充実した毎日を過ごしていた。



学園では学園祭があったり、その準備に追われたり。
当日は父様と母様、ディー兄様も忙しい中来てくれて、家族皆で園内を回って楽しんだ。
初めての、家族揃っての学園行事はとても嬉しかったし、楽しい思い出になった。
途中学園生徒の親である色々な貴族の人に話しかけられて、父様とディー兄様が全て対応してくれたり、その間は関係者しか入れない場所で休憩したりと、少し不自由な時もあったけれど。
それでも十分だった。
因みに、まだ社交デビューしていない僕の事は誰にも紹介される事は無かった。
そろそろ僕も社交デビューの筈なんだけどいつ頃になるのかな?
一般的には、幼学院に入学出来る最低年齢の8歳の1~2年前頃。
6歳か7歳頃にデビューするのがこの国の貴族では一般的で、遅くても10歳までにはする所が多い。
稀に体が極端に弱かったり、出自が複雑だったりといった理由でデビューしない子息もいるみたいだけど、僕はいたって健康だし、公爵家の子息だから、たとえ三男だったとしてもデビューしないという事はないだろう。


金銭的余裕がない子は王宮主催のパーティーのみでデビューをすませるらしいけど、うちはそういった意味でも人脈や権力の強さを見せる為にも、王宮主催のパーティーとは別で、邸でお披露目パーティーも開く。
兄様達はそうしてデビューしたと聞いた。
僕が生まれる前だから、その様子は聞いて想像するしか出来ないけれど。



僕はもう既に6歳。
来年の3月で7歳で、その翌年には幼学院に入学出来る年齢だ。
既に学園に通っているから幼学院に行くことは無いだろうけど、一般的に考えれば来年の夏の社交シーズンにデビューとお披露目をするはず。
それを考えると、そろそろ衣装の仕立ての準備をしないと結構日数的にもギリギリになるのでは?と思ってるんだけど…
準備し始める気配も全くない。
父様にそれとなく聞いてみても、まだ早いから気にしなくていいと言われるし、兄様達に相談してみても、気にしなくて大丈夫としか言われない。
ルーは、必要になればご当主様からお話しされると思いますよ、と言っていた。
うーん、そんなものなのかな?
前世合わせても社交デビューの経験なんてないし、兄様達のも見れなかった僕には判断がつかない。



でも確かに、必要になったらルーが言ったみたいに、教えてくれるよね。
それまでは学園の卒業試験の事とか、先日学園長さんに言われた魔道具図を見ながら1人で魔道具を組み立てるって宿題みたいな課題の作業内容や素材の選別、今までに考えた内の数種類の魔術式の理論なんかをまとめたレポートの提出の事とか、今しなくちゃいけない事を考えて過ごそうっと。



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