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6歳の僕♢学園編 3♢
3
しおりを挟む学園から帰宅して夕食の後、父様と兄様達のお時間をもらって魔道士団長さんの申し出の件を早速相談した。
説明してる最中は3人とも嫌そうな顔してたけど、そろそろ魔力操作や制御の練習をさせようとは元々思っていたらしく、3人で話し合った結果、それを国一番の使い手が指導してくれると言うなら、有難く利用しようと言う事で纏まった。
国一番の使い手を利用とか言っちゃったら駄目だろうと思ったんだけど、そう話し合いの結果に至った時の3人の笑顔が、いつも通りのはずなのに何だか冷りとして見えて、その事については結局意見出来なかった…。
あと、魔道士団長さんに教えてもらうのは学園の授業としてではなく、学園が休日の来月最初の日曜日から、休日の予定が合う日に父様か兄様の最低誰か1人と一緒に魔道士団長さんの元に伺う事になった。
あと、魔道士団長さんに直接何点か条件を伝えておく、とも言われたけどその条件の内容は教えて貰えなかった。
こちらから条件をつけると言う理由が分からなかったけど、やっぱり国の中枢区での事だし、色々あるのだろうと、深くは追求もしなかったんだ。
だから後日また学園長室でお会いした時に、許可が貰えた事と改めて宜しくお願いしますと言う旨を伝えた時の、魔道士団長さんの顔色が酷く悪かったのが、父様達の言ってた数点の条件のせいだった事に、僕は気付かなかった。
その時の僕は、体調が悪いのだろうかと心配しながら、何でもないと言って顔色悪いままに微笑む魔道士団長さんを、学園長さんが何とも言えない哀れみの様な目で見ているのが不思議で、首を傾げていた。
そして翌月最初の休日の今日。
予定通り、魔道士団長さんに教えを乞うべく、以前にも訪れた魔道士団訓練所にミー兄様とやって来た。
父様とディー兄様はお仕事なので、付き添いはミー兄様にお願いした。
優しいミー兄様は、貴重なお休みにも関わらず、優しい笑顔で快諾してくれた。
因みにディー兄様は来月から暫く忙しいらしくて、殆ど邸に帰って来れないみたい。
市内警備ってそんなに忙しいんだね。
ゲームだと頻繁に主人公と会ってたから、知らなかったよ。
従者のルーは従者専用控え室にて待機。
リディは存在の特異性もあって、僕達と一緒に入っていいと言われた。
そもそも、聖獣であり、その頂点とも言える黒竜であるリディからすれば、僕達人間の魔術なんて見ても殆どが無意味なものなので、隠す必要もないとのこと。
彼ら聖獣が基本、人間の営みには干渉しないというのも大きいんだけど、彼らの有してる力が厳密に言えば魔術ではない為、例え魔術の極秘研究を見られたとしても、知識として蓄えることはあってもそれをリディが悪用する事はなく、またそうする意義も概念もないだろうとのこと。
そうそう、なぜ学園の授業としてではなく、わざわざ休日に教えてもらう事になったのか。
それは、貴族子息の魔力操作や制御の練習は、魔力成長が始まったら幼学院に入る前に、一般教養の1つとして各貴族家で教師を雇い、学ばせるのがこの国の貴族の常識だから。
これは魔法以外の事でも言えるんだけど、地位や家格が高ければ高い程、歴史が長ければ長い程この意識が強く、また子供にもそれが厳格に求められる。
高位貴族や伝統ある貴族家程、幼い頃から専門の教師を雇い学ばせ、幼学院や学園に通う頃には、そこで必要な知識や教養は全て学び終えている事が多い。
まあ、個人の能力にもよるから、必ずそうとは言えないんだけど…。
かく言う僕も、座学は自主的に学んでいたけれど、マナーは母様に教えて頂いて、その殆どを学び終えてる。
勉強は、今も学園で学んでるものと並行して、自宅で書物を読んだり、兄様に伺ったりしてる。
ダンスや性教育等、身体的、年齢的な問題でまだ学べない事もあるけれど、今まではその学べない事であった魔法を、今日からやっと学べるんだ。
先生となる人が凄い人すぎて、未だに本当にお願いしていいのかなって気持ちも強いけど、教えてもらえるって事自体はすごーく楽しみなんだ!
「それではレティシオ君、始めましょうか。」
「はい、宜しくお願いします!」
僕は、以前僕も座らせてもらったベンチに座るミー兄様とリディに見守られながら、魔道士団長さんの指導のもと、体内に巡る自身の魔力に意識を向けた。
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