BLゲームの本編にも出てこないモブに転生したはずなのに、メイン攻略対象のはずの兄達に溺愛され過ぎていつの間にかヒロインポジにいる(イマココ)

庚寅

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5歳の僕 ♢学園編 2♢

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ヘジィと和解してからはたまにお昼寝前にあの庭園で話をするようになった。
僕は休み以外の日は毎日お昼寝前にあそこを通るから、ヘジィが庭園で待ってる時に寄り道して話す、という感じ。
特に待ち合わせはしていないけど、何となくそんな感じになった。
ヘジィの攻略したいのが誰かは結局教えてくれないんだけど…
僕の兄様達だけはないから安心しろって言われた。
「あんなの怖くて狙いたいとも思わねーよ」ってボソッと言ってたけど、兄様達のファンが凄すぎて怖いって意味かな?
僕は身内だからか、兄様達のファンに囲まれる、なんて目には合ったこと無いけど…
恋愛ものには定番のあるあるだもんね!



何故かヘジィは、僕と仲良くなったことを周りに知られたくないないみたい。
普段のヘジィは、この世界のヘジィの真似をして過ごしてるみたいで、前世の時みたいに喋るのは僕にだけみたいだ。
だから、本当のヘジィを知ってる僕に普段のヘジィを見られるのが恥ずかしいんじゃないかと思って、僕も普段は会えば挨拶をするくらいにしてる。
こないだは、「挨拶でも声かけるなよ。周りが怖ぇ」って言われちゃったんだけど、大丈夫!僕ヘジィの秘密バラしたりしないよって言ったら凄く微妙そうな顔して、もういいって言われちゃった。
いいなら、やっぱり挨拶くらいはしたいな。
せっかく仲良くなったのに寂しいもんね。




今日もお昼寝前に蜂蜜入りのホットミルクをもらって、ぐっすり体を休めた。
体が覚えちゃったのか、先生の蜂蜜入りホットミルク飲むと体がホッとして、よく眠れる。
ルーが複雑そうにしてるけど、ルーの入れてくれるのも好きだよ?



今日はお昼寝の後は学園長さんの所。
ルーと一緒に学園長室に行ったら、はじめましての人がいた。
黒髪の艶のある長い髪を前髪ごと後ろに流して背中で緩くひとつに纏め、鋭さを感じる目元にはモノクル。
長身で線の細い、神経質そうな男性。
声をかけて入室するから、入ってすぐにこちらに顔を向けられる。
挨拶を、と思ったら先にリディが飛びついてきて、タイミングを外してしまった。
リディは待ち遠しかったって感じでクルクル鳴きながら僕に擦り寄ってくる。
リディの頭から鼻先を往復するように撫でると、いつものように目を細め、気持ちよさそうにしてくれる。
今日も安定の可愛さだ。


「ほほっ今日も黒の君はレティ君が来るのをまだかまだかと待っておったよ。
今日はレティ君に紹介したい方がおるんじゃ。
ちょっとこっちに先に座ってくれんかのぅ」


僕は失礼を詫びてリディの手を引き学園長さんの指さす椅子に腰掛ける。
ゆとりのある大きさの1人掛け用のソファー。
リディは僕の股の間に嵌るように座ってる。
リディと一緒に座ると、少しお兄ちゃんになった気持ちになれるんだよね。
僕のいつもの席は、今のリディの席だから。
ルーは入室してすぐに気配を消して壁際に控えてる。
今日も安定の有能執事だ。




「宰相殿、この子が噂のレティ君ですよ。
レティ君、この方はこの国の宰相殿で、ホルデン様じゃ。
レティ君と話してみたいと仰ってな。
丁度予定が空いたらしいから連れてきた。」



ええぇ~~~!
宰相様とかそんな要職の方を暇してたから連れてきたーみたいな軽い感じで! 前振りもなくいきなりの対面だなんて学園長さん酷いよ~!



「はじめまして宰相様、マガリット公爵家三男のレティシオと申します。
このような格好での御目文字になりました事、深くお詫び申し上げます」

本当は立って最敬礼をしたい所だけど、リディが全く動いてくれない。
少し困りながらそれでもできる限りで頭を下げる。




「はじめまして、ホルデンです。
こちらこそ、突然の来訪で驚かせてしまい申し訳ありません。
今日はプライベートで来ているので、普段通りにして頂いて大丈夫ですよ」



最初の印象とは違い、鋭かった目を細め、柔和に微笑まれる。
笑うととても印象が変わる人なんだな。
宰相様って怖い噂ばかり耳にするけど、とてもそんな風には見えない。
仕事とプライベートは使い分ける人なのかも。



「ありがとうございます。」


「まだ齢5つと聞いていますが、とてもしっかりとした挨拶をするんですねぇ。
マガリット家は皆優秀な方ばかりですが…これは皆が噂するのも分かります」


「噂…ですか?」



「ええ、この偏屈なご老人はじめ、変人の集まりの魔術師団の師団長殿をはじめとした他団員や、魔道具研究所の役職陣。
君の父上殿や第1王子殿下もよく君の話をされているよ。
国王陛下に、噂の麗しの君に会いに行ってきます、と自慢したらとても悔しがっていました。
いやあ、いい顔が見れました。」



と、とてもいい笑顔で説明してくれたんだけど…
僕の聞きたかった肝心の噂の内容が全然分からない。
偏屈なご老人って学園長さんのこと?
いつも優しくて、魔術や魔道具大好きなおしゃべり好きの普通のおじいちゃんだよ?
確かにおじいちゃん、って言うにはイケじじい過ぎるけど。
魔術師団の人達も、団長さんはじめ、一緒に来られた何人かにお会いしたけど、いつもお菓子等の手土産を持ってきてくれる優しい人たち。
ちょっと魔術愛が高すぎて、たまに学園長さんと議論をヒートアップさせてるけど…
魔道具研究所の人達も同じような感じだ。
魔術師団の人達よりも少し神経質そうな感じだけど、いつも面白い魔道具設計図なんかを持ってきてくれる。
僕の話したのを元に設計図を作ってきてくれることもあって、何だか僕も魔道具作りに参加してるみたいで楽しいんだよね。


それにしても、父様は自分の子供大好きだから、もしかしたら大袈裟に子供自慢してるのかもだけど、第1王子は生徒会で一緒だからかな?
王子も子供好きそうだもんね。
いつも僕と話そうとして、兄様達に追い払われてる。
怒ったりもしないし、めげてもないみたいだから、兄様達とのそのやり取りが楽しいのかもって最近思うんだよね。
僕の話題は、子供にしては頑張ってるよー位の感じだろう。
まあ、王様の悔しがったーってくだりはさすがに僕を和ます為に言ってくれただけだと思うけど。



「いつも、皆様にはとてもよくして頂いています。
幼い僕がここに無事通えているのも、皆様のご配慮のおかげだと感謝しているんです」



噂の内容が分からないから、みんなが良くしてくれてることと、僕が感謝してる事だけ素直に伝えてみる。
偏屈とか変人とか、正直僕には分からないし。



「ふふ、噂通り可愛らしい方ですね。
ぜひ私とも仲良くしてください。」



「ありがとうございます、身に余る光栄です」



本当に身に余るんだけど、社交辞令だろうしね。
国の宰相様となんて、そうそう会うことないよ。
高位貴族の子息って言っても、僕、三男だし。
兄様達みたいに優秀な訳じゃないし。



「ふふ、約束ですよ?
ああ、そうそう。学園長殿から、君を王宮の魔道具研究所にも入室させたいと申請があったんですよ。
今日帰って執務に戻ったら受理しておきますから、いつでもいらしてくださいね。
入室日の申請はこのご老人が勝手にしてくれると思いますので」



「え!!?」



驚いて学園長さんを見る。
学園長さんは僕と目が合うと何でもない事のように、にこりと笑った。
僕、そんな話全然聞いてもないし相談もされてないよ??



「研究所に行けばもっとレティ君と魔道具の話出来るじゃろ?
楽しいぞ?」



いや、そりゃ楽しいだろうけど。
国の中心機関にこんな子供が行って良いんだろうか。
もう授業って範囲じゃないんだけど。



「レティ君は、聞いてなかったのかな?
まあ、このご老人が勝手に先走ったんでしょうが、将来の選択肢を増やすのに役立つ位の気持ちで利用すればいいと思いますよ。
このご老人も、研究所もね。」



確かに将来独り立ちする事を考えると、早くから伝手ができるこの待遇はとんでもなく幸運な機会だ。



「…はい、ありがとうございます。
お言葉に甘えて、訪問できる際には勉強させて頂きます。」



素直にこの幸運に乗っかろう!




「ふふ、学ぶのはレティ君だけではないでしょうが、まあ気楽においでなさい。
私のところにもたまには顔を見せてくださいね。
美味しいお菓子を用意しておきますから。」



そうにこりと笑って、早速手続きしてきます、と言った宰相さんは学園長さんに王宮まで転移魔法陣で送ってもらって帰っていった。
さすがにお菓子を強請りに忙しい宰相様を訪問するのは甘えすぎだと思うから無理だろうけど、いろんな魔道具が並んでいるだろう研究所に行けるのはとても興味深い。
ウキウキと帰ってきた学園長さんに、いついつに行こうな~とか、うちの両親への許可も儂が取るから心配いらんよ~とか、行ったらこんな事しよう、あんな事しようってな感じでとても楽しそうに話してくれた。
聞いてた僕もとても楽しみになってきた。
どんな魔道具を見せてもらえるかな~




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