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4歳の僕 ♢学園編♢
4
しおりを挟む1年生誉組。
今年の誉組は13名。
この学園では年に2度の昇級試験と、学年度の終わりに進級試験が1度ある。
昇級試験で好成績を収めると一般クラスから誉組に上がる事もできる。
もちろん、その試験の時にひどい成績をとると、誉組から一般クラスに落ちる事もある。
誉組にずっといられるのは余程の天才か、努力を続ける者のみだ。
今は13人いても、試験の後には増えるかもしれないし、減っているかもしれない。
僕も兄様と離れないように頑張らなくては!
因みに、
主人公は入学した時は一般クラス。
その後にどのタイミングでかはプレイヤーが誰とエンディングを迎えたいかで変わるが、最終的にはどのルートでも誉組に来るだろうと思う。
そうでないと攻略対象達とのTRUE ENDも、HAPPY ENDも迎えられないからだ。
このタイミングや放課後にどの部活に入るか、どのエリアによく出没するかで、主人公が誰狙いかも割とすぐ分かると思うんだけど…
入学式でも気をつけて見ていたけど、主人公らしい人物は見つけられなかった。
何せ主人公側の自分はゲームにも姿は画面に出てこないし、名前も最初から自分で考えるようになっていた。
公式が用意した名前も元々ないんだ。
当時はそれが、より自分としてプレイ出来るから良かったんだけど…
いざその主人公を探すとなると、なかなかの難易度だなあ…
手がかりは、公式に載ってた主人公の簡易プロフにあった身体的特徴と、男爵家の出身で次男だということだけ。
うーん…兄様達に近付いて来ないと、自分で自由に探し回る事が出来ない僕には、こちらから探すのは難しいかもしれない…
自分の席に着いて小さくため息をつくと、兄様とルーが心配そうにこちらを窺っていた。
大丈夫だよ、と笑顔を見せる。
心配かけて、ごめんなさい。
僕の席は窓側の、1番後ろ…の2席分程の横に長い特注の机とソファー。
材質やデザインは他の生徒の机や椅子と同じだけど、サイズや形がルーと一緒に座れるようになっている。
あとは、僕が疲れた時にいつでも横になれるように、と椅子も個別ではなく、ソファーにされていた。
うん、座ってるだけでも注目されてる。
ミー兄様は僕の前だ。
これも配慮されてなんだろうけど、兄様と近くて嬉しい。
席に着いて少ししてから担任の先生が入ってきた。
この人も学園編の攻略対象者だ。
この先生とのエンディングを目指すなら、なるべく早く誉組に入らなければならない。
割と結ばれるまでが難しい攻略者。
因みに1番簡単なのは保健医だ。
理由は授業以外でならいつでも会いに行けるのと、部活や授業で怪我をすると必然的に会えるから。
僕も別の理由で、定期的に保健室には行くことになりそうだから、顔見知りにはなるんだろうな。
この担任の先生も、クラスの担任は就いたらその担当生徒達が卒業するまで担当クラスが固定だから、誉組にいる間はずっとお世話になる。
くりんといい感じの天然パーマみたいな柔らかそうな赤毛の髪に、茶色の瞳。眼鏡をかけた温和そうなのが滲み出た優顔イケメンだ。
「はじめまして。
今日からこのクラスの担当になるオランジルです。
担当教科は、魔動力学です。
これから3年間、このクラスを受け待ちます。
よろしくね。
それじゃあ、早速みんなの顔合わせもしようか。
廊下側の1番前の席の君から、お願いしますね。」
オランジル先生の簡単な自己紹介から、クラスメイト達の自己紹介に移る。
タイプは違うけど、みんなイケメンだなーって、ぼんやり思いながら見ていた。
モブって感じなの、本当に僕しかいないんだよね、ここの生徒。
みんなちゃんとイケメンだったり可愛かったりするんだもの。
でもこうして見ると可愛い系は少ないな。
ほとんどがイケメン系。
この世界の制作者はよっぽどのイケメン中毒なのかな?
…あ、制作者って運営か。
変な納得をしそうになった所でミー兄様の番。
あー、やっぱり兄様は、別格のイケメンだな。
オーラもキラキラ具合も全然違うやー。
「ミスティラリ· マガリットです。
後ろの席のレティシオの兄で、将来的には文官を目指しています。
授業もそれに合うものを選ぶ予定です。
私の大事な弟に声をかける時は、先に私を通してからにして下さいね。」
兄様は、それはそれは綺麗な微笑みを浮かべて言い切った。
でも、それはいつも僕に向けてくれるような蕩けるように甘いものでは無く、何だか背後に何かが見えるようなものだった。
実際は何も見えないけどね!
モブの僕にはオーラ鑑定なんてチートっぽい能力もないし!
心做しか、周りの皆が引いているような気がする。
先生までも。
兄様!!
身内の過剰な過保護は周りに引かれちゃいますよ!!!
ルーも自己紹介する時、僕の専属執事で、僕に仕えるためにここに居るって、ハッキリ言っちゃってたし。
僕の心の平穏への配慮は一体どこに行ったの?
2人とも僕のせいで皆に引かれてないか心配だよ…。
その過保護の元が僕みたいなモブなんだもの。
皆ドン引きだよ。
僕に話しかけたい人なんていないよ、兄様!
もうクラスの皆や先生はもちろん、兄様にもルーにも申し訳ない。
何にも出来ないモブでごめんなさい。
僕は恥ずかしさと気まずさで、クラスの人達を見る余裕が無くなって、自己紹介する間中、失礼を承知で自分の手元と前の席の兄様を交互に見ながら、なんとか喋り終えた。
偉い人達の長話に耐えるのの何倍もの気力を使った気がする。
兄様は、喋り終えて座った僕の頭を撫でてくれた。
因みに自己紹介中は、靴を脱いでソファーの上に立って喋った。
抱えて立とうとするルーの好意は、さすがに断ったよ!
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