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3歳の僕
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しおりを挟むここがゲームの世界だと気がついてから2年が経った。
僕は先日無事に3歳になり、まだ満足できる程ではないがかなり上手く喋れるようになった。
ただ、感情の振れ幅はまだまだ大きくて、嬉しい事も悲しい事も大きな波のように押し寄せてきて、すぐに泣いてしまったりもする。
これはもう仕方ない事なんだと、そんな子供的な自分とも早々に折り合いを付けた。
元々前世の僕は自己主張も激しい方ではなくて、周囲に常に馴染もうとしていたから、順応性は高いんだ。
両親も兄達も変わらず僕を愛してくれている。
両親は益々親バカになってきている気がするし、兄達は際限なく僕を甘やかそうとしてくる。
こっちでの普通がイマイチ分からなくて、前世の僕からしたら過剰なスキンシップに感じるものも多いんだけど…
周りも何も言わないからそういうものなのかな? と受け入れている。
愛されているのだと実感出来るのは、純粋に凄く嬉しいしね!
邸に勤めてくれている使用人達も、僕の事をとても大切にしてくれてるのが伝わってくる。
もちろん、僕も家族皆を愛してる。
使用人の皆も、僕の中ではもう家族みたいなもので、大好きだ。
この世界に生まれ変わって、大好きな人達に囲まれて、毎日夢なんじゃないかと思うくらい幸せ。
でも僕は、ここがゲームの世界だと気がついてから、ずっとモヤモヤと気になっている事がある。
でもそれは誰にも相談できない。
ずっとずっと気になってる。
考えないようにしてても、気がつくと頭の中に浮かんでる。
僕は前世で兄2人が大好きで、全選択肢、全ルート、全掛け合わせ、裏設定までも、作品の隅々まで全て、この2人が出てくるものは特に何度も繰り返しプレイしていた。
だから2人の設定も、エンディングはもちろんどんなイベントがあるのかも、それに纏わる裏話や選択肢の意味、それに対する好感度の上がり下がりの差異までわかる程熟知しているつもり。
知らないことなんてないと思ってる。
それなのに、知らないんだ。
どうして僕がいるのか。
ゲームでは2人に弟がいたなんて話、作中はもちろん公式の裏設定にも出ていなかったから。
僕が話にも登らない程のモブなんだろう、とは思ってる。
歳も凄く離れてるしね。
だから出てきてなくても何も可笑しくない、っていつも結論はそこに落ち着くのに、ふと気がつくとまた同じ事を考えてしまってる。
ずっとずっと心に引っかかってる、消えてくれない小さな疑問。
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