怪談 順番

怪談  順番           

私が心筋梗塞で倒れ、入院し、明日退院、という深夜のこと。  
ふと、目が覚めたので、トイレに起きた。                   
トイレは病室の廊下側にある。
用を済まして、ベッドに戻りかけると、廊下がなんだかざわざわしている。気になったので、病室扉をそっと開けた。
廊下には、パジャマ姿の人の列。数十人はいる。 
こんな深夜に何をしているんだろう?と訝ったが眠いので、そのままベッドに戻った。       

翌朝、退院の準備が終わり、担当看護師さんに、ふと、昨夜の患者さんの列について、聞いてみた。 
すると、その看護師さんの表情がみるみる蒼ざめていった。                   

結局、あの列の意味は教えてもらえなかった。  
想像するに、あの列は、順番なのだと思う。少なくともあの列に、私の姿はなかった。      
順番、を思うと、二度と入院はしたくない。
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