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6.旅は道連れ
ボタニカル
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―――ガッサゴッソ、ガッサゴッソ―――
「ひぃ――、来たっ!!」
「奈緒様、痛いです……」
なんとか起き上がったヒデトに奈緒がしがみつく。
「ヒデトーッ!」
「落ち着いて下さい。
結構、身体が痛みますね……。
なんという不覚。」
「追っ手がそこまで来てる!
逃げなきゃ、ヒデト!」
音はもう、目前まで迫っている。
しかし、ヒデトは頭を打っておかしくなったのか、微動だにしない。
「もー、何してるんだよ!
ここは、少しでも動ける俺がヒデトを守るしかない!」
奈緒は、ヒデトの前に膝立ちになり、庇うようにして両腕を広げた。
いつも守られてばかりの俺だけど、いざという時は役に立つんだ!
「さぁ、どんと来い!
力のない俺でも、爪で引っ掻いて、その肉を引きちぎってやる!!」
ガサッ、ガサッーー
そして、それは正体を現した。
「ぐはッ」
茂みから勢いよく飛び出して来たそれは、奈緒のお腹にクリーンヒットした。
奈緒は衝撃で呻き声をもらす。
「か弱い奈緒様は、一体何から私を守ろうとしているんですかね。
ねぇ、クロ様。」
「ミャー」
「ありがとうございます。
私のバディを拾って来て下さったんですね。
大変、助かります。」
クロは、ぐったりしているヒデトのバディを口から離してヒデトへと渡した。
「先程の衝撃音波で一緒にやられてしまったようです。
怪我など無いと良いのですが……。」
「んーっ、クロ~ッ」
お腹を抱えて地面で悶えている奈緒に対して、クロはネコパンチをこれでもかと繰り出している。
「クロ様、そこまでにしておいてあげてください。
奈緒様も悪気があった訳ではないのですから。」
「ミャ」
クロはパシッパシッと奈緒を叩いていた前腕を下ろし、ヒデトに返事のひとなきをした。
「クロー、こらー!
渾身の一撃、痛かったからな!」
クロはそっぽを向いて、尻尾を揺らしている。
奈緒に対しては、ツンとしたクロの対応が心に沁みる。
「さて、奈緒様。
遊んでないで、今度こそ臨戦態勢に入ってください。
戦力として期待はしておりませんが、
せめて邪魔だけはしないよう。」
「は、、、え?」
バサバサバサッーー
チュン、チュン
ピーヒョロロローーー
自然過ぎて、見逃していた。
いつのまにか、周囲の木々の枝に様々な鳥がとまっている。
小さくてつぶらな瞳で、奈緒たちの事を上から観察している。
「あと少しでゲートだと言うのに、
全く、次から次へと……」
ヒデトが一方向を見つめている。
どうあがいても、すんなり帰してくれなさそうだ。
今度は一体誰が来ると言うのか。
ーーー鳥籠の鳥はどちらかなーーー
「ひぃ――、来たっ!!」
「奈緒様、痛いです……」
なんとか起き上がったヒデトに奈緒がしがみつく。
「ヒデトーッ!」
「落ち着いて下さい。
結構、身体が痛みますね……。
なんという不覚。」
「追っ手がそこまで来てる!
逃げなきゃ、ヒデト!」
音はもう、目前まで迫っている。
しかし、ヒデトは頭を打っておかしくなったのか、微動だにしない。
「もー、何してるんだよ!
ここは、少しでも動ける俺がヒデトを守るしかない!」
奈緒は、ヒデトの前に膝立ちになり、庇うようにして両腕を広げた。
いつも守られてばかりの俺だけど、いざという時は役に立つんだ!
「さぁ、どんと来い!
力のない俺でも、爪で引っ掻いて、その肉を引きちぎってやる!!」
ガサッ、ガサッーー
そして、それは正体を現した。
「ぐはッ」
茂みから勢いよく飛び出して来たそれは、奈緒のお腹にクリーンヒットした。
奈緒は衝撃で呻き声をもらす。
「か弱い奈緒様は、一体何から私を守ろうとしているんですかね。
ねぇ、クロ様。」
「ミャー」
「ありがとうございます。
私のバディを拾って来て下さったんですね。
大変、助かります。」
クロは、ぐったりしているヒデトのバディを口から離してヒデトへと渡した。
「先程の衝撃音波で一緒にやられてしまったようです。
怪我など無いと良いのですが……。」
「んーっ、クロ~ッ」
お腹を抱えて地面で悶えている奈緒に対して、クロはネコパンチをこれでもかと繰り出している。
「クロ様、そこまでにしておいてあげてください。
奈緒様も悪気があった訳ではないのですから。」
「ミャ」
クロはパシッパシッと奈緒を叩いていた前腕を下ろし、ヒデトに返事のひとなきをした。
「クロー、こらー!
渾身の一撃、痛かったからな!」
クロはそっぽを向いて、尻尾を揺らしている。
奈緒に対しては、ツンとしたクロの対応が心に沁みる。
「さて、奈緒様。
遊んでないで、今度こそ臨戦態勢に入ってください。
戦力として期待はしておりませんが、
せめて邪魔だけはしないよう。」
「は、、、え?」
バサバサバサッーー
チュン、チュン
ピーヒョロロローーー
自然過ぎて、見逃していた。
いつのまにか、周囲の木々の枝に様々な鳥がとまっている。
小さくてつぶらな瞳で、奈緒たちの事を上から観察している。
「あと少しでゲートだと言うのに、
全く、次から次へと……」
ヒデトが一方向を見つめている。
どうあがいても、すんなり帰してくれなさそうだ。
今度は一体誰が来ると言うのか。
ーーー鳥籠の鳥はどちらかなーーー
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