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5.光と闇
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前までは頭に霞が掛かったように、意識が混濁していた。
しかし、総から与えられた薬を飲む事を控えたら、その少し後から調子が戻ってきた。
総が、最後まで薬を飲んでいるところを確認しないでいてくれるのが幸いしている。
今も順調に隠し通せてる。
ずっと、起きていると怪しまれるのは分かっているので総がいる間は寝たふりを貫き通す。
そこで分かってきたことが数点。
総は定期的に外出しているようだ。
どこに行ってるのかまでは、分からないけれど。
そして、部屋の扉はやっぱり施錠されている。
耳を澄まさないと分からない程に、総が部屋に出入りする時に些細な機械音がしていた。
俺を閉じ込めて、薬漬けにして、俺をここから出さないつもりなのか。
今までの総からは想像が付かない。
困った時はいつも助けてくれるくらい優しくて、俺自身を委ねられるくらい深く信頼しあった仲だったんだ。
さらに、俺が寝てるのを良い事に、総はいつも俺に口付けを落としてゆくんだ。
最初は、眼を瞑っていたから、総が近くにいるくらいしか分からなかった。
だけど、自分の口に温かな吐息と柔らかな感触を感じた時は顔を背けそうになった。
もしかしたら、顔が少し強張ったかもしれないけれど、その時は明かりがついてなかったから大丈夫だと思う。
それにしても……。
この状況を、どう乗り越えるか。
総は表立って出していないだけで、ミナトと同じような気配がする。
折角、助けてくれたところ悪いけれど、ここにいるのは危険かもしれない。
ずっとこのまま、閉じ込められて外に出られないなんて嫌だ。
どうやって脱出しよう……。
俺の能力の力は微々たるものだし、扉も窓も開かない。
それに。バディもどこで捕まっているのか分からないし。
ん?バディ……!
そうか!その手があった!
なんで今まで思い付かなかったんだろう。
バディは、この世界では身分証明という役割と同時に、持ち主に特殊な能力を付与させる。
その際に、持ち主とバディは同調をする。
同調には個人差があるけれど、持ち主またはバディに危険が迫っている時とか、能力を使い過ぎるとバディの特徴が身体に現れる。
だから、俺の場合は、黒猫だから、猫耳や尻尾が出てくる。
そして、同調すれば、バディの居場所も分かるし、指示も与えられる。
だけど、能力の使い過ぎには危険は付き物。
能力操作に不慣れな人だったり、自然エネルギーの体内への堆積力が弱い人が、能力を使い続けると完全にバディと同調してしまう。
つまり……、完全にバディと同じ姿になってしまう。
暴走状態だから、元に戻れるかもわからないし、意識も保てるかどうか怪しい。
怖くないと言ったら嘘になる。
だけど、今のこの状況の中で、バディとの同調を図ること意外、俺には何も思い付かなかった。
ーーーいちか、ばちか、賭けにでようーーー
しかし、総から与えられた薬を飲む事を控えたら、その少し後から調子が戻ってきた。
総が、最後まで薬を飲んでいるところを確認しないでいてくれるのが幸いしている。
今も順調に隠し通せてる。
ずっと、起きていると怪しまれるのは分かっているので総がいる間は寝たふりを貫き通す。
そこで分かってきたことが数点。
総は定期的に外出しているようだ。
どこに行ってるのかまでは、分からないけれど。
そして、部屋の扉はやっぱり施錠されている。
耳を澄まさないと分からない程に、総が部屋に出入りする時に些細な機械音がしていた。
俺を閉じ込めて、薬漬けにして、俺をここから出さないつもりなのか。
今までの総からは想像が付かない。
困った時はいつも助けてくれるくらい優しくて、俺自身を委ねられるくらい深く信頼しあった仲だったんだ。
さらに、俺が寝てるのを良い事に、総はいつも俺に口付けを落としてゆくんだ。
最初は、眼を瞑っていたから、総が近くにいるくらいしか分からなかった。
だけど、自分の口に温かな吐息と柔らかな感触を感じた時は顔を背けそうになった。
もしかしたら、顔が少し強張ったかもしれないけれど、その時は明かりがついてなかったから大丈夫だと思う。
それにしても……。
この状況を、どう乗り越えるか。
総は表立って出していないだけで、ミナトと同じような気配がする。
折角、助けてくれたところ悪いけれど、ここにいるのは危険かもしれない。
ずっとこのまま、閉じ込められて外に出られないなんて嫌だ。
どうやって脱出しよう……。
俺の能力の力は微々たるものだし、扉も窓も開かない。
それに。バディもどこで捕まっているのか分からないし。
ん?バディ……!
そうか!その手があった!
なんで今まで思い付かなかったんだろう。
バディは、この世界では身分証明という役割と同時に、持ち主に特殊な能力を付与させる。
その際に、持ち主とバディは同調をする。
同調には個人差があるけれど、持ち主またはバディに危険が迫っている時とか、能力を使い過ぎるとバディの特徴が身体に現れる。
だから、俺の場合は、黒猫だから、猫耳や尻尾が出てくる。
そして、同調すれば、バディの居場所も分かるし、指示も与えられる。
だけど、能力の使い過ぎには危険は付き物。
能力操作に不慣れな人だったり、自然エネルギーの体内への堆積力が弱い人が、能力を使い続けると完全にバディと同調してしまう。
つまり……、完全にバディと同じ姿になってしまう。
暴走状態だから、元に戻れるかもわからないし、意識も保てるかどうか怪しい。
怖くないと言ったら嘘になる。
だけど、今のこの状況の中で、バディとの同調を図ること意外、俺には何も思い付かなかった。
ーーーいちか、ばちか、賭けにでようーーー
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