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5.光と闇
餌付け
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奈緒はトイレで用を済ませた後、洗面所で手を洗ってからリビングへと戻った。
総は既に、料理を温め終わっていて、料理を盛り付けた皿をテーブルに並べていた。
「奈緒は病み上がりだから、消化に良いものにしたよー。
ほら、ここに座って。」
「ああ、ありがと!
おいしそうー!」
食卓には、ホクホクと湯気のたった暖かい出汁の入ったうどんと付け合わせに和風の野菜煮物が添えられていた。
うどんには、俺の大好物な梅とおろし大根、わかめがのっている。
珍しい好みだと言われることも多いのだが、このヘルシーな感じと、梅干しの酸味が出汁に溶け込む味が堪らない。
久しぶりの和風で、出汁の香りが漂い、俺の食欲を刺激する。
俺のお腹がぐぅーとなって、総に聞かれてしまった。
「はははっ!奈緒、お腹鳴ってるー。」
「うう、だって、おいしそーだもん。
そんなに笑わないでよー、恥ずい!」
「んふふっ、ほら座って座って!
早く食べようよ。」
「うん、よいしょっと」
俺は椅子に腰掛けた。
「あ、そうだ、黒ニャンコにもご飯あげなきゃねー。」
総が餌を用意すると、部屋の隅からトテトテと黒猫が歩いてきた。
「ああっ、クロっ!!
今までどこに居たんだよーっ!」
「玄関の前を、爪でガリガリ引っ掻いてたんだよー。
奈緒のだったのー?」
「そう!俺のバディ。
そういえば、総のバディはーー」
「今は先にご飯を食べよっ!
冷めちゃうから、ね?」
「そうだな、わかった。」
「はい、じゃあ、いただきますー。」
「ん、いただきます。」
ふぅふぅと吐く息で熱を冷ましながら、うどんを口に入れる。
もちもちとしていて、歯応えもばっちり。
んー、コシが良いっ!
「総ー、このうどん、とってもおいしいよっ!」
「それなら、良かった。」
「うん、本当に!
総は俺の好み、よく分かってるよ!」
「ふふふ、それくらい把握済みだよ。
学食でも、よくそういうの食べてたし。」
「へぇー、よく見てたんだな。」
ツルツルと、うどんをすすって、もちもちを味わう。
んーっ、出汁もおいしーっ。
空腹だったおなかが満たされるぅー。
もぐもぐと奈緒は、総と雑談を挟みつつ食べ続けた。
暫くして、奈緒が食べ終わると、総が煎茶を入れてくれた。
食器を片付けて、一緒に食卓でお茶を飲む。
しつこくない渋みが、口の中を占める。
温かいお茶も飲んで、ポカポカと身体があたたまった。
軽く汗もかいてるような気がする。
「ぷはぁー、よく食べたーっ。
ごちそうさまでした、総!」
「はい、お粗末さまでした。
無理して食べてない?
大丈夫?」
「うん、全然!
おなかいっぱいだしー。
少し眠くなってきたなぁ。
それにしても、ほんとに……、
おい、し、かっ……」
パタン……
奈緒の頭がコクリコクリと船を漕ぐように揺れた後、突如、机の上にうつ伏せになってしまった。
「よっ、と」
総が奈緒の手の中から、傾いてお茶が溢れそうになったコップを取り上げる。
「やっと、効いてきたかー。
即効性にしてはまずまずかな。」
総はコップをテーブルに置き直してから奈緒の髪をサラリと撫でる。
奈緒を上から見下ろしながら、その顔に黒い笑みを浮かべる。
「ふふふっ、これで取り敢えずは安心かな。
ゆっくりと寝ていてねー。
今回の薬はあまり苦味の無いもので、バレなかったから良いけど……。」
「それにしても、バディも黒猫とは……。
これは、これは。
奈緒の猫姿とか、可愛すぎるに違いない。
余計、ここから出せなくなっちゃったなぁー。」
総は、奈緒の黒猫バディをゲージの中に入れた。
そして、奈緒もバディと同様に自分の部屋へと閉じ込めるべく、横抱きに抱えて運んでいった。
ベッドへと優しく寝かせて、布団も掛けてあげた。
「ふふふ、これで元通りー。
可愛い寝顔だね。
僕だけにしか、見せちゃダメだよ。
じゃあ、おやすみ。」
そう言い残して、総は部屋を後にした。
ーーーおなか、いっぱいに満たされるーーー
総は既に、料理を温め終わっていて、料理を盛り付けた皿をテーブルに並べていた。
「奈緒は病み上がりだから、消化に良いものにしたよー。
ほら、ここに座って。」
「ああ、ありがと!
おいしそうー!」
食卓には、ホクホクと湯気のたった暖かい出汁の入ったうどんと付け合わせに和風の野菜煮物が添えられていた。
うどんには、俺の大好物な梅とおろし大根、わかめがのっている。
珍しい好みだと言われることも多いのだが、このヘルシーな感じと、梅干しの酸味が出汁に溶け込む味が堪らない。
久しぶりの和風で、出汁の香りが漂い、俺の食欲を刺激する。
俺のお腹がぐぅーとなって、総に聞かれてしまった。
「はははっ!奈緒、お腹鳴ってるー。」
「うう、だって、おいしそーだもん。
そんなに笑わないでよー、恥ずい!」
「んふふっ、ほら座って座って!
早く食べようよ。」
「うん、よいしょっと」
俺は椅子に腰掛けた。
「あ、そうだ、黒ニャンコにもご飯あげなきゃねー。」
総が餌を用意すると、部屋の隅からトテトテと黒猫が歩いてきた。
「ああっ、クロっ!!
今までどこに居たんだよーっ!」
「玄関の前を、爪でガリガリ引っ掻いてたんだよー。
奈緒のだったのー?」
「そう!俺のバディ。
そういえば、総のバディはーー」
「今は先にご飯を食べよっ!
冷めちゃうから、ね?」
「そうだな、わかった。」
「はい、じゃあ、いただきますー。」
「ん、いただきます。」
ふぅふぅと吐く息で熱を冷ましながら、うどんを口に入れる。
もちもちとしていて、歯応えもばっちり。
んー、コシが良いっ!
「総ー、このうどん、とってもおいしいよっ!」
「それなら、良かった。」
「うん、本当に!
総は俺の好み、よく分かってるよ!」
「ふふふ、それくらい把握済みだよ。
学食でも、よくそういうの食べてたし。」
「へぇー、よく見てたんだな。」
ツルツルと、うどんをすすって、もちもちを味わう。
んーっ、出汁もおいしーっ。
空腹だったおなかが満たされるぅー。
もぐもぐと奈緒は、総と雑談を挟みつつ食べ続けた。
暫くして、奈緒が食べ終わると、総が煎茶を入れてくれた。
食器を片付けて、一緒に食卓でお茶を飲む。
しつこくない渋みが、口の中を占める。
温かいお茶も飲んで、ポカポカと身体があたたまった。
軽く汗もかいてるような気がする。
「ぷはぁー、よく食べたーっ。
ごちそうさまでした、総!」
「はい、お粗末さまでした。
無理して食べてない?
大丈夫?」
「うん、全然!
おなかいっぱいだしー。
少し眠くなってきたなぁ。
それにしても、ほんとに……、
おい、し、かっ……」
パタン……
奈緒の頭がコクリコクリと船を漕ぐように揺れた後、突如、机の上にうつ伏せになってしまった。
「よっ、と」
総が奈緒の手の中から、傾いてお茶が溢れそうになったコップを取り上げる。
「やっと、効いてきたかー。
即効性にしてはまずまずかな。」
総はコップをテーブルに置き直してから奈緒の髪をサラリと撫でる。
奈緒を上から見下ろしながら、その顔に黒い笑みを浮かべる。
「ふふふっ、これで取り敢えずは安心かな。
ゆっくりと寝ていてねー。
今回の薬はあまり苦味の無いもので、バレなかったから良いけど……。」
「それにしても、バディも黒猫とは……。
これは、これは。
奈緒の猫姿とか、可愛すぎるに違いない。
余計、ここから出せなくなっちゃったなぁー。」
総は、奈緒の黒猫バディをゲージの中に入れた。
そして、奈緒もバディと同様に自分の部屋へと閉じ込めるべく、横抱きに抱えて運んでいった。
ベッドへと優しく寝かせて、布団も掛けてあげた。
「ふふふ、これで元通りー。
可愛い寝顔だね。
僕だけにしか、見せちゃダメだよ。
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そう言い残して、総は部屋を後にした。
ーーーおなか、いっぱいに満たされるーーー
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