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5.光と闇
見せない素顔
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総は奈緒を助けてから、あのミツヒコが統治している第二地区からすぐに去った。
あの屋敷の外に出るともう既に、大きい狼型のバディが待機していた。
総がその背に跨ると、間もなく野を駆け出した。
言わずとも行き先が分かってるようで、ゲート施設へと向かい出す。
道中には組織の人達が戦いあっているが、彼らが気づく暇を与えずに狼が移動する。
目の前を立ち塞ぐ者がいれば、その大きな牙で襲い掛かって投げ飛ばす。
総の仲間たちも、それぞれ個別に脱出している事だろう。
間も無くして、ゲートまで辿り着いた。
ここにも第七地区の間諜は潜んでいる。
秘密集団のようなものだから、どこにでも入り込める。
顔を見れば、時間を置かずに通してくれた。
そして、無事に第七地区への帰還を果たしたのだ。
総の自宅へと向かうと打ち合わせ通りに、奈緒がベッドの上で寝かせられていた。
本来は、奈緒の身体の方も自分が助けたかったのだが……。
仲間と呼んでいいものか疑問は残るが、彼らの仕事には信頼を置いている。
だから、今回も心配はしていなかった。
しかし、……。
詰めが甘い。奈緒をそんな扱いするなんて。
ベッドの上に放り出したままとか、
あいつら……。
まぁ、いい。
今じゃ、奈緒は僕の手の内だ。
早速、奈緒を目覚めさせる事にする。
あいつは、触るだけでいいと言っていたが……。
そっと奈緒の頭に触れる事にした。
すると、総の全身が薄く発光し出して、その光が集まって螺旋の渦を描いていく。
総の腕から奈緒へとその光が伝って行った。
少しばかりぽっかりと心に穴が開いたような虚無感を感じる。
奈緒が自分の中のずっと奥深く、魂に寄り添う程近い距離に居た影響だろうか。
奈緒は僕の中で眠っている状態だったのかな……。
光がスゥーっと、奈緒の中へと吸い込まれていった。
奈緒の瞼がピクッと痙攣し出した。
しかし、特に目覚める訳ではなく、眉を寄せて苦しそうに呻いている。
ずっと、離れていたから後遺症が現れているのかもしれない。
奈緒の額に手を立てる。
少しばかり熱いような気がする。
もしかしたら、これから熱も上がっていく可能性も無いとは言えない。
念のため、熱冷ましとスポーツドリンクとかも用意しておく事にする。
奈緒に布団を掛けて、準備をしに部屋を後にした。
~.。・。.~
部屋に戻ると奈緒がベッドの上で起き上がっていた。
心配になってすぐにかけよる。
まだ少しふらふらしているみたいだ。
まだ動き回られても困るから、少しの間このままゆっくりしていて欲しいなぁ。
奈緒には悪いけど、丁度いいかも。
とりあえず、スポーツドリンクを渡すと、懐かしかったのか目を輝かして喜んでいた。
素直な反応が新鮮で、とても可愛い。
自分自身も気付かない内に笑顔になる。
このままずっと僕の傍にいればいいのに。
奈緒が飲む様子を見てると少しムラッとする。
その事を気取られないように、気を付ける。
まだ、万全ではないから、奈緒をまたベッドに寝かしつけた。
ちゃんと寝てくれるまで近くにいる事にする。
最初は本でも読もうかと思っていたけど、うとうとしている奈緒を見てると人肌が恋しくなった。
さっきまで、賑やかに喋っていたから、急に静かになると心寂しい。
奈緒が起きないようにそっと、手を握った。
条件反射かもしれないけれど、やんわりと握り返してくれる様は、まるで愛し合った後の恋人のようだと思った。
ーーーこれからも、そっと想い続けるーーー
あの屋敷の外に出るともう既に、大きい狼型のバディが待機していた。
総がその背に跨ると、間もなく野を駆け出した。
言わずとも行き先が分かってるようで、ゲート施設へと向かい出す。
道中には組織の人達が戦いあっているが、彼らが気づく暇を与えずに狼が移動する。
目の前を立ち塞ぐ者がいれば、その大きな牙で襲い掛かって投げ飛ばす。
総の仲間たちも、それぞれ個別に脱出している事だろう。
間も無くして、ゲートまで辿り着いた。
ここにも第七地区の間諜は潜んでいる。
秘密集団のようなものだから、どこにでも入り込める。
顔を見れば、時間を置かずに通してくれた。
そして、無事に第七地区への帰還を果たしたのだ。
総の自宅へと向かうと打ち合わせ通りに、奈緒がベッドの上で寝かせられていた。
本来は、奈緒の身体の方も自分が助けたかったのだが……。
仲間と呼んでいいものか疑問は残るが、彼らの仕事には信頼を置いている。
だから、今回も心配はしていなかった。
しかし、……。
詰めが甘い。奈緒をそんな扱いするなんて。
ベッドの上に放り出したままとか、
あいつら……。
まぁ、いい。
今じゃ、奈緒は僕の手の内だ。
早速、奈緒を目覚めさせる事にする。
あいつは、触るだけでいいと言っていたが……。
そっと奈緒の頭に触れる事にした。
すると、総の全身が薄く発光し出して、その光が集まって螺旋の渦を描いていく。
総の腕から奈緒へとその光が伝って行った。
少しばかりぽっかりと心に穴が開いたような虚無感を感じる。
奈緒が自分の中のずっと奥深く、魂に寄り添う程近い距離に居た影響だろうか。
奈緒は僕の中で眠っている状態だったのかな……。
光がスゥーっと、奈緒の中へと吸い込まれていった。
奈緒の瞼がピクッと痙攣し出した。
しかし、特に目覚める訳ではなく、眉を寄せて苦しそうに呻いている。
ずっと、離れていたから後遺症が現れているのかもしれない。
奈緒の額に手を立てる。
少しばかり熱いような気がする。
もしかしたら、これから熱も上がっていく可能性も無いとは言えない。
念のため、熱冷ましとスポーツドリンクとかも用意しておく事にする。
奈緒に布団を掛けて、準備をしに部屋を後にした。
~.。・。.~
部屋に戻ると奈緒がベッドの上で起き上がっていた。
心配になってすぐにかけよる。
まだ少しふらふらしているみたいだ。
まだ動き回られても困るから、少しの間このままゆっくりしていて欲しいなぁ。
奈緒には悪いけど、丁度いいかも。
とりあえず、スポーツドリンクを渡すと、懐かしかったのか目を輝かして喜んでいた。
素直な反応が新鮮で、とても可愛い。
自分自身も気付かない内に笑顔になる。
このままずっと僕の傍にいればいいのに。
奈緒が飲む様子を見てると少しムラッとする。
その事を気取られないように、気を付ける。
まだ、万全ではないから、奈緒をまたベッドに寝かしつけた。
ちゃんと寝てくれるまで近くにいる事にする。
最初は本でも読もうかと思っていたけど、うとうとしている奈緒を見てると人肌が恋しくなった。
さっきまで、賑やかに喋っていたから、急に静かになると心寂しい。
奈緒が起きないようにそっと、手を握った。
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