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4.奪還作戦
争い
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奈緒の居た建物の外では今も混乱状態にある。
それなりの人数が、ここに攻め入ろうと激しく暴れているのだ。
この廊下がとても静かなのは、組員達が全員出揃ってしまっているからだろう。
普通は防衛のため、少なくとも数人はここに残したりするのだろうけれど。
今は、それさえする余裕がないと言う事だ。
何故か……。
もちろん、それは既に分かり切っている。
作戦を立てたのは僕なのだから。
今もきっとお互い必死に戦っているのだろう。
攻め込んで来たのは、実力派揃いの能力使いたちばかりだ。
しかも、幾千もの実戦を潜り抜けて来たものも多い。
それもそのはず、彼らは全員この組織の者達だからだ。
元々、仲間の筈だった人達が失踪して帰ってきたと思ったら、何故か裏切って攻撃してくるだなんて、誰も思わないだろう。
これまで、この地域では失踪事件が通常よりも多く発生していた。
この世界で失踪するのは珍しくはない。
何かの事件に巻き込まれたり、抗争で亡くなってしまい戻れなかったり、怨恨トラブルなどなど……。
原因を挙げれば、数えきれない程ある。
それに加えて、この組織では人の入れ替わりが激しいという事もあって、誰も深刻には受け止めていなかった。
そして、この件を今まで放置してきたのが、仇となって彼ら自身を苦しめる事になった。
もちろん、彼らはただ闇雲に襲っている訳じゃない。
この組織に潜入していた僕の仲間と一緒に、事前にある程度調査をして、都合の良い人物を選出し、誘拐してきたのだ。
そして、軽い洗脳の術を行った。
今攻め込んでいる彼らからすると、ただの魔物退治のクエスト途中のようなものだろう。
敵の巣窟を見つけ、仲間達と連携を取り、巧みに技を繰り出す。
彼らが戦っている相手が、本当は仲間だとは洗脳が解かない限り気付かないだろう。
逆に防衛する方の立場では、仲間が攻めて来ていると言う事になる。
ついこの間まで背中を預け合うような仲だったのだ。
すぐに、矛先を向ける事は簡単には出来ない。
まぁ、裏切り者として処罰対象として広まっていれば事は変わって来ていたのだろうが。
だから、組員達は今も必死に防衛と彼らの説得に駆けずり回っている。
仲間だから、お互い手の内も読みやすく、勝敗は中々決まらないようだ。
その長期戦に迫られる混乱に生じて、奈緒を助けられたのだ。
こちら側では、大変気の毒だけど、潰しあってくれるのが1番良い。
追手が掛かる懸念も無くしてしまいたかった。
歩いているうちに隠し部屋のある突き当たりの壁に到着した。
念のため、周りを確認してから仕掛けを作動させる。
カチャカチャと歯車が回る音がすると、下へと降りる階段に繋がる空間が現れた。
この場所は、僕の能力を使って探り当てた。
中々この場所を知っている人は居なかったから、辿り着くまでに苦労した。
やっと、該当する人を見つけて、僕の能力の1つである"チャーム"で懐柔させ、丁寧に教えて頂いたのだ。
そして、下の階には広い空間とキングサイズくらいの大きなベッドが1つ備えられている。
そう、これこそ、この第2地区長、久世ミツヒコの正体である。
彼は能力を使う間、本体が無防備になるという最大の欠点があった。
だから、普段からここに閉じこもり、コンに取り憑く事でその正体を隠して来たのだ。
彼の元へと歩いてゆき、約束通りに仕込んだ毒を中和する薬を口に含ませた。
これで、やっと帰る支度が整った。
早く、奈緒を目覚めさせたい。
その一心で、総は次の行動へと移ることにした。
ーーー待ちに待った再開ーーー
それなりの人数が、ここに攻め入ろうと激しく暴れているのだ。
この廊下がとても静かなのは、組員達が全員出揃ってしまっているからだろう。
普通は防衛のため、少なくとも数人はここに残したりするのだろうけれど。
今は、それさえする余裕がないと言う事だ。
何故か……。
もちろん、それは既に分かり切っている。
作戦を立てたのは僕なのだから。
今もきっとお互い必死に戦っているのだろう。
攻め込んで来たのは、実力派揃いの能力使いたちばかりだ。
しかも、幾千もの実戦を潜り抜けて来たものも多い。
それもそのはず、彼らは全員この組織の者達だからだ。
元々、仲間の筈だった人達が失踪して帰ってきたと思ったら、何故か裏切って攻撃してくるだなんて、誰も思わないだろう。
これまで、この地域では失踪事件が通常よりも多く発生していた。
この世界で失踪するのは珍しくはない。
何かの事件に巻き込まれたり、抗争で亡くなってしまい戻れなかったり、怨恨トラブルなどなど……。
原因を挙げれば、数えきれない程ある。
それに加えて、この組織では人の入れ替わりが激しいという事もあって、誰も深刻には受け止めていなかった。
そして、この件を今まで放置してきたのが、仇となって彼ら自身を苦しめる事になった。
もちろん、彼らはただ闇雲に襲っている訳じゃない。
この組織に潜入していた僕の仲間と一緒に、事前にある程度調査をして、都合の良い人物を選出し、誘拐してきたのだ。
そして、軽い洗脳の術を行った。
今攻め込んでいる彼らからすると、ただの魔物退治のクエスト途中のようなものだろう。
敵の巣窟を見つけ、仲間達と連携を取り、巧みに技を繰り出す。
彼らが戦っている相手が、本当は仲間だとは洗脳が解かない限り気付かないだろう。
逆に防衛する方の立場では、仲間が攻めて来ていると言う事になる。
ついこの間まで背中を預け合うような仲だったのだ。
すぐに、矛先を向ける事は簡単には出来ない。
まぁ、裏切り者として処罰対象として広まっていれば事は変わって来ていたのだろうが。
だから、組員達は今も必死に防衛と彼らの説得に駆けずり回っている。
仲間だから、お互い手の内も読みやすく、勝敗は中々決まらないようだ。
その長期戦に迫られる混乱に生じて、奈緒を助けられたのだ。
こちら側では、大変気の毒だけど、潰しあってくれるのが1番良い。
追手が掛かる懸念も無くしてしまいたかった。
歩いているうちに隠し部屋のある突き当たりの壁に到着した。
念のため、周りを確認してから仕掛けを作動させる。
カチャカチャと歯車が回る音がすると、下へと降りる階段に繋がる空間が現れた。
この場所は、僕の能力を使って探り当てた。
中々この場所を知っている人は居なかったから、辿り着くまでに苦労した。
やっと、該当する人を見つけて、僕の能力の1つである"チャーム"で懐柔させ、丁寧に教えて頂いたのだ。
そして、下の階には広い空間とキングサイズくらいの大きなベッドが1つ備えられている。
そう、これこそ、この第2地区長、久世ミツヒコの正体である。
彼は能力を使う間、本体が無防備になるという最大の欠点があった。
だから、普段からここに閉じこもり、コンに取り憑く事でその正体を隠して来たのだ。
彼の元へと歩いてゆき、約束通りに仕込んだ毒を中和する薬を口に含ませた。
これで、やっと帰る支度が整った。
早く、奈緒を目覚めさせたい。
その一心で、総は次の行動へと移ることにした。
ーーー待ちに待った再開ーーー
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