47 / 80
4.奪還作戦
争い
しおりを挟む
奈緒の居た建物の外では今も混乱状態にある。
それなりの人数が、ここに攻め入ろうと激しく暴れているのだ。
この廊下がとても静かなのは、組員達が全員出揃ってしまっているからだろう。
普通は防衛のため、少なくとも数人はここに残したりするのだろうけれど。
今は、それさえする余裕がないと言う事だ。
何故か……。
もちろん、それは既に分かり切っている。
作戦を立てたのは僕なのだから。
今もきっとお互い必死に戦っているのだろう。
攻め込んで来たのは、実力派揃いの能力使いたちばかりだ。
しかも、幾千もの実戦を潜り抜けて来たものも多い。
それもそのはず、彼らは全員この組織の者達だからだ。
元々、仲間の筈だった人達が失踪して帰ってきたと思ったら、何故か裏切って攻撃してくるだなんて、誰も思わないだろう。
これまで、この地域では失踪事件が通常よりも多く発生していた。
この世界で失踪するのは珍しくはない。
何かの事件に巻き込まれたり、抗争で亡くなってしまい戻れなかったり、怨恨トラブルなどなど……。
原因を挙げれば、数えきれない程ある。
それに加えて、この組織では人の入れ替わりが激しいという事もあって、誰も深刻には受け止めていなかった。
そして、この件を今まで放置してきたのが、仇となって彼ら自身を苦しめる事になった。
もちろん、彼らはただ闇雲に襲っている訳じゃない。
この組織に潜入していた僕の仲間と一緒に、事前にある程度調査をして、都合の良い人物を選出し、誘拐してきたのだ。
そして、軽い洗脳の術を行った。
今攻め込んでいる彼らからすると、ただの魔物退治のクエスト途中のようなものだろう。
敵の巣窟を見つけ、仲間達と連携を取り、巧みに技を繰り出す。
彼らが戦っている相手が、本当は仲間だとは洗脳が解かない限り気付かないだろう。
逆に防衛する方の立場では、仲間が攻めて来ていると言う事になる。
ついこの間まで背中を預け合うような仲だったのだ。
すぐに、矛先を向ける事は簡単には出来ない。
まぁ、裏切り者として処罰対象として広まっていれば事は変わって来ていたのだろうが。
だから、組員達は今も必死に防衛と彼らの説得に駆けずり回っている。
仲間だから、お互い手の内も読みやすく、勝敗は中々決まらないようだ。
その長期戦に迫られる混乱に生じて、奈緒を助けられたのだ。
こちら側では、大変気の毒だけど、潰しあってくれるのが1番良い。
追手が掛かる懸念も無くしてしまいたかった。
歩いているうちに隠し部屋のある突き当たりの壁に到着した。
念のため、周りを確認してから仕掛けを作動させる。
カチャカチャと歯車が回る音がすると、下へと降りる階段に繋がる空間が現れた。
この場所は、僕の能力を使って探り当てた。
中々この場所を知っている人は居なかったから、辿り着くまでに苦労した。
やっと、該当する人を見つけて、僕の能力の1つである"チャーム"で懐柔させ、丁寧に教えて頂いたのだ。
そして、下の階には広い空間とキングサイズくらいの大きなベッドが1つ備えられている。
そう、これこそ、この第2地区長、久世ミツヒコの正体である。
彼は能力を使う間、本体が無防備になるという最大の欠点があった。
だから、普段からここに閉じこもり、コンに取り憑く事でその正体を隠して来たのだ。
彼の元へと歩いてゆき、約束通りに仕込んだ毒を中和する薬を口に含ませた。
これで、やっと帰る支度が整った。
早く、奈緒を目覚めさせたい。
その一心で、総は次の行動へと移ることにした。
ーーー待ちに待った再開ーーー
それなりの人数が、ここに攻め入ろうと激しく暴れているのだ。
この廊下がとても静かなのは、組員達が全員出揃ってしまっているからだろう。
普通は防衛のため、少なくとも数人はここに残したりするのだろうけれど。
今は、それさえする余裕がないと言う事だ。
何故か……。
もちろん、それは既に分かり切っている。
作戦を立てたのは僕なのだから。
今もきっとお互い必死に戦っているのだろう。
攻め込んで来たのは、実力派揃いの能力使いたちばかりだ。
しかも、幾千もの実戦を潜り抜けて来たものも多い。
それもそのはず、彼らは全員この組織の者達だからだ。
元々、仲間の筈だった人達が失踪して帰ってきたと思ったら、何故か裏切って攻撃してくるだなんて、誰も思わないだろう。
これまで、この地域では失踪事件が通常よりも多く発生していた。
この世界で失踪するのは珍しくはない。
何かの事件に巻き込まれたり、抗争で亡くなってしまい戻れなかったり、怨恨トラブルなどなど……。
原因を挙げれば、数えきれない程ある。
それに加えて、この組織では人の入れ替わりが激しいという事もあって、誰も深刻には受け止めていなかった。
そして、この件を今まで放置してきたのが、仇となって彼ら自身を苦しめる事になった。
もちろん、彼らはただ闇雲に襲っている訳じゃない。
この組織に潜入していた僕の仲間と一緒に、事前にある程度調査をして、都合の良い人物を選出し、誘拐してきたのだ。
そして、軽い洗脳の術を行った。
今攻め込んでいる彼らからすると、ただの魔物退治のクエスト途中のようなものだろう。
敵の巣窟を見つけ、仲間達と連携を取り、巧みに技を繰り出す。
彼らが戦っている相手が、本当は仲間だとは洗脳が解かない限り気付かないだろう。
逆に防衛する方の立場では、仲間が攻めて来ていると言う事になる。
ついこの間まで背中を預け合うような仲だったのだ。
すぐに、矛先を向ける事は簡単には出来ない。
まぁ、裏切り者として処罰対象として広まっていれば事は変わって来ていたのだろうが。
だから、組員達は今も必死に防衛と彼らの説得に駆けずり回っている。
仲間だから、お互い手の内も読みやすく、勝敗は中々決まらないようだ。
その長期戦に迫られる混乱に生じて、奈緒を助けられたのだ。
こちら側では、大変気の毒だけど、潰しあってくれるのが1番良い。
追手が掛かる懸念も無くしてしまいたかった。
歩いているうちに隠し部屋のある突き当たりの壁に到着した。
念のため、周りを確認してから仕掛けを作動させる。
カチャカチャと歯車が回る音がすると、下へと降りる階段に繋がる空間が現れた。
この場所は、僕の能力を使って探り当てた。
中々この場所を知っている人は居なかったから、辿り着くまでに苦労した。
やっと、該当する人を見つけて、僕の能力の1つである"チャーム"で懐柔させ、丁寧に教えて頂いたのだ。
そして、下の階には広い空間とキングサイズくらいの大きなベッドが1つ備えられている。
そう、これこそ、この第2地区長、久世ミツヒコの正体である。
彼は能力を使う間、本体が無防備になるという最大の欠点があった。
だから、普段からここに閉じこもり、コンに取り憑く事でその正体を隠して来たのだ。
彼の元へと歩いてゆき、約束通りに仕込んだ毒を中和する薬を口に含ませた。
これで、やっと帰る支度が整った。
早く、奈緒を目覚めさせたい。
その一心で、総は次の行動へと移ることにした。
ーーー待ちに待った再開ーーー
0
お気に入りに追加
487
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ライバル視していた隣国の魔術師に、いつの間にか番認定されていた
地底湖 いずみ
BL
魔法ありの異世界に転生をした主人公、ライ・フォールは、魔法学園の成績トップに君臨していた。
だが、努力をして得た一位の座を、急に現れた転校生である隣国の男、ノアディア・サディーヌによって奪われてしまった。
主人公は彼をライバルと見なし、嫌がらせをしようとするが、前世の知識が邪魔をして上手くいかず、いつの間にか彼の番に認定され────
────気づかぬうちに、俺はどうやら乙女ゲームの世界に巻き込まれていたみたいだ。
スパダリヤンデレ超人×好きを認めたくない主人公の物語。
※更新速度 : 中
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる