41 / 80
4.奪還作戦
銀狐の恩返し
しおりを挟む
ーーーうぅ、身体中が怠い……。
それに背中も何故か染みて痛い。
奈緒は未だにこの拘束された状況から抜け出せないでいた。
祭壇の上で、鎖に吊るされたままだ。
最後の方はあまり記憶が無いような気がする。
確か、ミツヒコに無理やり気持ちよくさせられて、我慢できなくて盛大に漏らしてしまったような気が……。
いや、もうそんな記憶は忘れよう。
どうにかして忘れたい……。
イタタタッ、さっきから背中が痛いっ。
「ったぁ」
咄嗟に声に出してしまった。
「ああっ、ごめんなさいっ。
大丈夫ですかっ!?」
背後から少し高い柔らかな声が返ってきた。
返事が来るなんて思わず、驚いてしまう。
「えっ、なっ!?」
「あの、すみません。
起こすつもりは無かったのですが、
薬を塗っていて……。」
「薬っ!?変なのじゃっ、イタッ!」
「あぁ、暴れないでくださいっ!
傷が悪化してしまいます。」
俺が暴れようとすると落ち着かせるように身体を押さえる。
背後からでも、その身体が小さい事に気付く。
「落ち着いて。大丈夫ですから。
今はミツヒコ様はいらっしゃいません。」
俺が静かになると、彼は律儀に俺の前に回ってきて自己紹介をしてくれた。
きっと、俺を落ち着かせるための彼なりの気遣いなのだろう。
「えと……、お久しぶりです、奈緒さん。
僕はコンと言います。
あの時は助けて頂いてありがとうございました。」
俺の後ろにいたのが、あの銀髪の少年だった事に気付く。
だが、ひとつだけあの時と違う所に目が行く。
「あれ……、黒い瞳。
あんた、目が赤かった筈……。」
「あぁ、あの時はミツヒコ様が能力を使われていて。それで、赤くなっていたんです。
ミツヒコ様が僕の中にいる時でも、あの時助けて頂いた事はぼんやりと覚えています。」
「赤くなる?
だけどアイツも黒い眼だったぞ?」
「それはですね……、
あまり公表できないのですが、ミツヒコ様は実は紅瞳をお持ちです。
昔、嫌なことがあったみたいで、普段は黒いレンズを嵌めているのです。」
「そうだったのか……。
じゃあ、俺が目覚めた時にこの部屋に案内したのもアンタじゃなくて、アイツだったのか。」
あの時に感じた違和感がやっと分かった。
二重人格でもなければ、あんな雰囲気が変わることはないだろう。
「それにしても、酷く痛そうです。
僕は他人の痛みが少し分かるので……。
随分やられてしまったようで。
あの、まだ途中なので痛み止めの薬を塗らせ下さい。」
「あぁ、いいよ。
でも、精神体の俺にも効くのか?」
「少しだけ。気休めくらいにはなりますし。」
「わかった。ありがとうな。」
背後で薬を塗ってくれているコンに向かって、礼を言った。
「いいえ、僕にはこれくらいしかできないので……。
どうにか、お役に立てればいいのですが。」
そして、コンが全ての傷を手当てし終わり、この部屋から退出するのかと思いきや、その予想は外れた。
「あと、最後に……。
申し訳ないのですが、ミツヒコ様のためにこれだけは。」
そう言って、彼は丸く楕円形のような形をしたものを俺の尻の孔に当てがった。
「はっ!?」
それはヌルッとしていて、身体の力を抜いていた俺の中にするりと入り込んでしまった。
身体は今更硬直するが、もう迎え入れてしまったのでは後の祭りだ。
そして、彼はそれを抜け落ちないように奥まで差し込むと、手に持ったスイッチの電源を入れた。
すると、突然、俺の中のものがブルブルと振動し出した。
「はぅっーー」
俺の中を動き回り、ランダムに刺激をしてくる。
時たま、俺の感じる箇所を擦れると、「アアッ」と声を漏らして喘いでしまう。
「すみません、奈緒さん。
これもあなたの為です。
助けてやりたいのですが、
ミツヒコ様の命令なので……。
では、またお会いできれば。
失礼しますーー。」
コンはそう言葉を残して、サッと扉から出て行ってしまった。
そして、またガシャンと鉄柵の音が鳴り響き俺に絶望を与える。
嘘だろ……、そんな、まさかこのまま!?
これ、どうにかしてっーー
ーーー全くもって、救われないーーー
それに背中も何故か染みて痛い。
奈緒は未だにこの拘束された状況から抜け出せないでいた。
祭壇の上で、鎖に吊るされたままだ。
最後の方はあまり記憶が無いような気がする。
確か、ミツヒコに無理やり気持ちよくさせられて、我慢できなくて盛大に漏らしてしまったような気が……。
いや、もうそんな記憶は忘れよう。
どうにかして忘れたい……。
イタタタッ、さっきから背中が痛いっ。
「ったぁ」
咄嗟に声に出してしまった。
「ああっ、ごめんなさいっ。
大丈夫ですかっ!?」
背後から少し高い柔らかな声が返ってきた。
返事が来るなんて思わず、驚いてしまう。
「えっ、なっ!?」
「あの、すみません。
起こすつもりは無かったのですが、
薬を塗っていて……。」
「薬っ!?変なのじゃっ、イタッ!」
「あぁ、暴れないでくださいっ!
傷が悪化してしまいます。」
俺が暴れようとすると落ち着かせるように身体を押さえる。
背後からでも、その身体が小さい事に気付く。
「落ち着いて。大丈夫ですから。
今はミツヒコ様はいらっしゃいません。」
俺が静かになると、彼は律儀に俺の前に回ってきて自己紹介をしてくれた。
きっと、俺を落ち着かせるための彼なりの気遣いなのだろう。
「えと……、お久しぶりです、奈緒さん。
僕はコンと言います。
あの時は助けて頂いてありがとうございました。」
俺の後ろにいたのが、あの銀髪の少年だった事に気付く。
だが、ひとつだけあの時と違う所に目が行く。
「あれ……、黒い瞳。
あんた、目が赤かった筈……。」
「あぁ、あの時はミツヒコ様が能力を使われていて。それで、赤くなっていたんです。
ミツヒコ様が僕の中にいる時でも、あの時助けて頂いた事はぼんやりと覚えています。」
「赤くなる?
だけどアイツも黒い眼だったぞ?」
「それはですね……、
あまり公表できないのですが、ミツヒコ様は実は紅瞳をお持ちです。
昔、嫌なことがあったみたいで、普段は黒いレンズを嵌めているのです。」
「そうだったのか……。
じゃあ、俺が目覚めた時にこの部屋に案内したのもアンタじゃなくて、アイツだったのか。」
あの時に感じた違和感がやっと分かった。
二重人格でもなければ、あんな雰囲気が変わることはないだろう。
「それにしても、酷く痛そうです。
僕は他人の痛みが少し分かるので……。
随分やられてしまったようで。
あの、まだ途中なので痛み止めの薬を塗らせ下さい。」
「あぁ、いいよ。
でも、精神体の俺にも効くのか?」
「少しだけ。気休めくらいにはなりますし。」
「わかった。ありがとうな。」
背後で薬を塗ってくれているコンに向かって、礼を言った。
「いいえ、僕にはこれくらいしかできないので……。
どうにか、お役に立てればいいのですが。」
そして、コンが全ての傷を手当てし終わり、この部屋から退出するのかと思いきや、その予想は外れた。
「あと、最後に……。
申し訳ないのですが、ミツヒコ様のためにこれだけは。」
そう言って、彼は丸く楕円形のような形をしたものを俺の尻の孔に当てがった。
「はっ!?」
それはヌルッとしていて、身体の力を抜いていた俺の中にするりと入り込んでしまった。
身体は今更硬直するが、もう迎え入れてしまったのでは後の祭りだ。
そして、彼はそれを抜け落ちないように奥まで差し込むと、手に持ったスイッチの電源を入れた。
すると、突然、俺の中のものがブルブルと振動し出した。
「はぅっーー」
俺の中を動き回り、ランダムに刺激をしてくる。
時たま、俺の感じる箇所を擦れると、「アアッ」と声を漏らして喘いでしまう。
「すみません、奈緒さん。
これもあなたの為です。
助けてやりたいのですが、
ミツヒコ様の命令なので……。
では、またお会いできれば。
失礼しますーー。」
コンはそう言葉を残して、サッと扉から出て行ってしまった。
そして、またガシャンと鉄柵の音が鳴り響き俺に絶望を与える。
嘘だろ……、そんな、まさかこのまま!?
これ、どうにかしてっーー
ーーー全くもって、救われないーーー
0
お気に入りに追加
487
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ライバル視していた隣国の魔術師に、いつの間にか番認定されていた
地底湖 いずみ
BL
魔法ありの異世界に転生をした主人公、ライ・フォールは、魔法学園の成績トップに君臨していた。
だが、努力をして得た一位の座を、急に現れた転校生である隣国の男、ノアディア・サディーヌによって奪われてしまった。
主人公は彼をライバルと見なし、嫌がらせをしようとするが、前世の知識が邪魔をして上手くいかず、いつの間にか彼の番に認定され────
────気づかぬうちに、俺はどうやら乙女ゲームの世界に巻き込まれていたみたいだ。
スパダリヤンデレ超人×好きを認めたくない主人公の物語。
※更新速度 : 中
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる