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3.囚われの華

もう一つの枷

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――――ガシャンっ、ガシャン――

「ああ、あああっ――」

奈緒は立て続けに来るその痛みに喘ぎ叫ぶ。
身体は硬直し、動かない両腕の手のひらをぎゅっと握りしめた。
少し仰け反るも、鎖は今も戒めて、その反動に揺れるだけだ。

人生の中で、膝や指などケガをすることはあれど、
この胸の中心で痛みを感じる事になるとは想像もしなかった。
さっきまでは、快感にじんわりと浸されていた乳首は、
鋭い針に貫通され、今ではその痛みにジンジンと震えている。

「ふうっ、うううっ」

奈緒はその痛みでまた新たな涙を流し始める。
自分でぬぐえない涙は、頬を伝い、祭壇の上に水たまりを作った。

「あはははっ、奈緒ちゃんっ
君はすごいよっ。

あの噂は本当だったんだっ!!

さっきまでも感じていたけど、
今の方がずっと、エネルギー数値が上昇してる。
君はね、僕らの能力源である自然エネルギーを
上昇させることが出来るんだよっ。」

「ああっ……」

「奈緒ちゃん、君は本当にすごい子だ。
大丈夫、今日は痛いのはここまでだよー。
ほらー、もう泣かないで、ね?」

ミツヒコは、出血した所を軽くガーゼでぬぐい、
両方の乳首の穴が塞がらないように、
すぐさま、細く銀に輝くリングを取り付ける。

そして、奈緒を優しく抱きしめて慰める。

「ううっ、っ」

奈緒は首近くの肩口にミツヒコのぬくもりを感じる。
腕を肩にまわされて、頭をそっと抱えられる。
奈緒は相変わらず、鎖で吊し上げられており、
身体は脱力しきっている。

「はーい、大丈夫。
安心してー。
頭も撫でてあげる、よしよしー。」

そしてミツヒコは奈緒の頭をポンポンっと反動を付けながら、ふわりと撫でる。
奈緒の肩口から顔をあげて、涙に濡れる頬に軽くキスをする。

「あはは、しょっぱいー。」

「ふうっ、うう、
いたいのやぁだぁぁ」

「はいはい、大丈夫だよー。
もう終わりだからー。」

ミツヒコは奈緒の正面へと向き合うと、今度はそのわななく唇に口づける

「っん、――」

ぴちゃ、くちゅ

舌を絡ませて水音を響かせながら、
奈緒の中でミツヒコの舌が縦横無尽に動き回る。
歯茎の裏や上顎のあたりまで、普段は意識しないところまで舐めあげられて、痛みが少し引いたような気がする。
それでも、痛みの源は未だにジンジンと熱を持って赤く腫れている。

「そうだそうだ、ご褒美にこれをあげよう。
はい、お口を開けてねー。
あ―――ん。」

桃のような甘い香りが奈緒の鼻こうをくすぐり、
奈緒の口の中にミツヒコはその果汁したたる甘い実を
咥えさせる。

「ふぁっ、」

甘い、とろけうようなおいしさに
頭の中がぼんやりとする。

噛み砕かなくても、舌の圧力でそれはやんわりと崩れていく。
同時に口の中に、とても芳醇な香りが拡がり埋め尽くされていった。
今だけはこれが奈緒の唯一の救いで。
俺は、その甘さに縋ってしまうんだ。



―――痛みから気持ちよさへ―――
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