26 / 80
3.囚われの華
第1地区
しおりを挟む
一方、そのころ――
ヒデトはミナトの指示で第1地区へとゲート端末の情報を調査するために訪れていた。
第1地区は、この都市ハルカの重要なインフラを支えている地域の一つである。
全てのゲートを管理し、またバディのシステムを開発している機関が備わっている。
バディに何か不備があったり、住民情報を更新する場合にもここで申請をすることになっている。
要するに、役所のような機能と、情報技術が発展している特徴を持った地域という事になる。
ヒデトは自慢の羽で第3地区のゲートに到着してから、
第3地区の副長という肩書を使って、一般の人よりも優先的にゲートへと案内される事となった。
ゲートは人が一人くぐれるような門扉型の枠をしており、光が中心へと渦を巻いて吸い込まれているのが見える。
バディと同時にくぐる事によって、その情報が認識され、各地域への扉が開くというシステムだ。
中にはゲート酔いというものもあって、頭痛や吐き気などを催す人などもいるそうだ。
言ってしまえば、物体高速移動のようなものだから、身体の相性によって副作用などが出てきてしまうのだろう。
実は、ヒデトもその中の一人だった。
症状はそれほど酷くはないが、
平衡感覚を失うような軽い立ちくらみを覚えてしまう。
そのため、ヒデトは第1地区へと到着してから、
向うのゲート施設の応接室へと通されて椅子で休ませてもらっていた。
もちろん、ミナトからの指示は急ぐものなので、休むというのはおかしく聞こえるだろう。
正式に言えば、手続きを待っているという事になる。
他の地域へと移動する際には、
行く前と行った後でバディによる認証を得なければならない。
もちろん、本来であれば数時間はかかるものであるが、
第1地区の者も、ヒデトの身分を知らない者はいないだろう。
だから、この場所へと通され、数分程度、待つだけで良いのだ。
通常は、地位のあるものが移動する際には事前に申し出るのだが、
今回は急だったため、突然の来訪者でその対応に追われているのかもしれない。
少しバタついていたような気もするが、
部屋の扉がノックされ、係の人が無事に許可がおりたと知らせてくれる。
丁度、立ちくらみの症状も収まってきたところだ。
正面まで見送ってくれた者に、軽く礼を伝え、
バディと共に中心部へと飛び立つことにした。
早く、情報を手に入れて、戻らなければ。
ミナト様と奈緒様を二人だけにさせておくのは
気に食わない。
敬愛するミナトを独占されるのが嫌なのか、
奈緒の傍にいられないのが嫌なのか、
ヒデトには未だその判断はつかなかったけれど、
とにかく、迅速に帰らないと、と思うのだった。
――駆り立てられるその気持ちは――
ヒデトはミナトの指示で第1地区へとゲート端末の情報を調査するために訪れていた。
第1地区は、この都市ハルカの重要なインフラを支えている地域の一つである。
全てのゲートを管理し、またバディのシステムを開発している機関が備わっている。
バディに何か不備があったり、住民情報を更新する場合にもここで申請をすることになっている。
要するに、役所のような機能と、情報技術が発展している特徴を持った地域という事になる。
ヒデトは自慢の羽で第3地区のゲートに到着してから、
第3地区の副長という肩書を使って、一般の人よりも優先的にゲートへと案内される事となった。
ゲートは人が一人くぐれるような門扉型の枠をしており、光が中心へと渦を巻いて吸い込まれているのが見える。
バディと同時にくぐる事によって、その情報が認識され、各地域への扉が開くというシステムだ。
中にはゲート酔いというものもあって、頭痛や吐き気などを催す人などもいるそうだ。
言ってしまえば、物体高速移動のようなものだから、身体の相性によって副作用などが出てきてしまうのだろう。
実は、ヒデトもその中の一人だった。
症状はそれほど酷くはないが、
平衡感覚を失うような軽い立ちくらみを覚えてしまう。
そのため、ヒデトは第1地区へと到着してから、
向うのゲート施設の応接室へと通されて椅子で休ませてもらっていた。
もちろん、ミナトからの指示は急ぐものなので、休むというのはおかしく聞こえるだろう。
正式に言えば、手続きを待っているという事になる。
他の地域へと移動する際には、
行く前と行った後でバディによる認証を得なければならない。
もちろん、本来であれば数時間はかかるものであるが、
第1地区の者も、ヒデトの身分を知らない者はいないだろう。
だから、この場所へと通され、数分程度、待つだけで良いのだ。
通常は、地位のあるものが移動する際には事前に申し出るのだが、
今回は急だったため、突然の来訪者でその対応に追われているのかもしれない。
少しバタついていたような気もするが、
部屋の扉がノックされ、係の人が無事に許可がおりたと知らせてくれる。
丁度、立ちくらみの症状も収まってきたところだ。
正面まで見送ってくれた者に、軽く礼を伝え、
バディと共に中心部へと飛び立つことにした。
早く、情報を手に入れて、戻らなければ。
ミナト様と奈緒様を二人だけにさせておくのは
気に食わない。
敬愛するミナトを独占されるのが嫌なのか、
奈緒の傍にいられないのが嫌なのか、
ヒデトには未だその判断はつかなかったけれど、
とにかく、迅速に帰らないと、と思うのだった。
――駆り立てられるその気持ちは――
0
お気に入りに追加
485
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる