-にゃんでどうしてこうなった世界-

もちもちもふぃ

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2.動き出す歯車

可愛い子には旅をさせろ!!

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――すぅ――、すう――。

心底疲れ切って眠り、規則的な寝息をたてている奈緒の傍で、ミナトは心の底から満足感と愛しさを感じる。
ずっと俺の傍にいてほしい、俺だけを見て欲しい。
他の人としゃべるのも、その笑顔を他人に向ける事もして欲しくない。
歪んだ愛情がミナトを占めている事に、自身は気付いていない。
気付いていたとしても、全く気にしていないのだろう。

奈緒の頭をゆっくりと優しげに撫でて、その柔らかなさらさらとした髪の感触を楽しむ。

「はああ――、好き。
大好きすぎる。
奈緒の気持ちはまだかもしれないけど、
先にその身体から手籠めにするって決めたんだ。
ごめんね、なお、愛してるよ。」

ミナトは瞳を閉じて、奈緒が傍にいるという証でもあるそのぬくもりを肌で感じる。

「奈緒は元いた所へ帰りたいかもしれないけれど、
もう離してあげたくないんだよねー。」

どうしたものかと、ミナトは心の中でこれからの計画を考える。
頭の中でその考えを整理していると、部屋の扉がノックされた。

「入れ。」

ミナトは幸せで緩んでいた顔から、その柔らかい微笑みを消してしまう。
この部屋が情事の後だと分かってしまうのにも構わず、
ミナトは小声でそのノックの音に答える。

「――失礼します、ミナト様。」

いつもの仕事通りの顔になって、部屋の扉を開け踏み入ってくる人物に視線をやる。

「ヒデトです。調査の件ですが――」

「分かった。そちらへ出向く。
ここでは、奈緒が起きてしまう。」

そうして、ミナトはゆったり起き上がり、服を着て部屋の出口へと向かう。
最後にゆっくりと振り返り、奈緒がベッドの上で寝ている様子を目に焼き付けて、一言奈緒が起きないような音量で声をかける。

「いってくるね、なお。
またね、おやすみ。」

そして部屋の扉を閉めて、ヒデトの方へと足を向ける。
近くで待機させていた、ライオンのバディのレオも主人であるミナトの後へと続いてこようとするが、奈緒の見張りのため、この部屋の前で待機するようにと思念を伝える。
大人しくレオはその指示に従い、腰を落ち着けて、大きな欠伸をする。

「よろしいんですか?
部下を寄越しますのに。」

「奈緒の傍で他人を寄らせるのが嫌なんだ。
このままでいい。」

「かしこまりました。では、こちらに。」

そう言って、部屋を出てヒデトからの報告を受けに行った。

      ~。・*・。~

奈緒は暗闇の中へ意識を漂わせている。
夢を見ているのだろうか。

意識ははっきりとせず、ぼーっと暗闇の中で横たわっている。
すると、そぉ――っと静寂の中を誰かの歩いてくる気配が伝わってくる。
深夜の暗闇の中で幽霊が迫ってくるとか、そんな類の恐怖は感じない。
ただ、誰かが俺の傍まで近づいてきて、ふんわりと優しく包んでくれる。
俺はその暖かな、温もりにほっと心が安らぐ。

俺を抱きしめていたそのぬくもりは俺から離れずに、
まるで抱き上げるかのようにして俺を抱え直す。
そしてどこへとも知らない方向へと足を向けた。

俺は一瞬どこへ向かうのかという考えが頭を過ったが、
こんなにも優しげなぬくもりに絆されて、これ以上考える事はやめにした。
ふわふわと漂う感覚にその身をまかせて、俺はそのぬくもりに浸り続けた。




――その温度を分かち合う――
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