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2.動き出す歯車
微睡の朝
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ーーチュン、チュン―ー
鳥の囀る声が聞こえてくる。
太陽はとっくに昇っていて、天窓から部屋を明るく照らしている。
「起きて下さい、奈緒様。朝ですよ」
誰かが俺を呼んでいる。
奈緒は少し頭痛を感じながら、ゆっくりと瞼を持ち上げた。
布団の中は温かく、いつまでもその熱にくるまれていたい。
しかし、容赦なく誰かが布団を剥ぎ取ってくる。
くそー。もっと寝ていたいのに。
布団の外から冷気が流れて込んできて、
嫌でも覚醒の時だと知らしめてくる。
ーーうーん。
ついに寝転がっている姿勢から、上半身を起こされる。
ぼーっとしながら、虚空を眺める。
ーーあれ、俺、どうしたんだっけ
未だ覚醒しきってない頭で昨晩の事を思い返す。
ご飯を食べた後に、お風呂に入って、
気づいたら、ミナトが傍にいたんだった!
あの時は、本当にびっくりして、
いやいや、そんなことよりも!!
俺の身体に変な事をっ!!
ふっと昨日、風呂場で起こった事が頭によぎる。
あ―――、忘れたい!!
俺があんなにも、はしたなく求めてしまうなんて。
この記憶を無かったことにしたいと、本気で悔やむ気持ちでいっぱいだ。
それにしても、俺がミナトに気づかなかったり、すぐに身体がアツくなってしまったり、おかしなことが多かった。
これはいったい……、とろとろな入浴剤のせいだったのだろうか?
「はい、奈緒様、これをどうぞ」
金髪で碧の瞳をした燕尾服を着た男が、カップをこちらに手渡してくる。
紅茶の良い香りが、ふわっとあたりに漂う。
喉がカラカラに乾燥していることに今になって気づく。
カップを大人しく受け取り、丁度良い温度の紅茶を味わう。
俺は猫舌だから、熱すぎるものは少し冷ます時間をおかないといけないが、淹れてくれた紅茶は火傷もせずにすんなりと飲むことが出来た。
俺は身体あたたまる紅茶飲んで、一息をつくと隣に佇んでいる男を見上げる。
こいつ、昨日は家にいなかったがどこに行っていたんだろう。
この男はいつも地区の長であるミナトの傍に必ず居て、補佐役として仕事を難なくこなしているようだった。
名前は確か、――
「私をお忘れですか?鷹見ヒデトです。
飲み終わりましたら、器をこちらに」
「ああ、はい。ありがと。」
「さて、ではこちらの服を――」
「いいよ、自分でやるって」
「かしこまりました。ご準備ができましたら、リビングへお越しください。
朝食の用意をして参ります。」
さっと優雅に物を片付けてキッチンの方へと去って行った。
ヒデトがくれたその服は、一目見ただけで俺が持っているものよりも高価なものだとわかる。
まるで富の差を見せつけられているような気がして、少し不愉快になった。
だが、他に着るものも無いので仕方なく袖を通すことにした。
なんでサイズがぴったりなんだよ、くそっ――
そう心の中で呟き、俺もベッドから離れる事にした。
――ベッドに残るぬくもりは二人分――
鳥の囀る声が聞こえてくる。
太陽はとっくに昇っていて、天窓から部屋を明るく照らしている。
「起きて下さい、奈緒様。朝ですよ」
誰かが俺を呼んでいる。
奈緒は少し頭痛を感じながら、ゆっくりと瞼を持ち上げた。
布団の中は温かく、いつまでもその熱にくるまれていたい。
しかし、容赦なく誰かが布団を剥ぎ取ってくる。
くそー。もっと寝ていたいのに。
布団の外から冷気が流れて込んできて、
嫌でも覚醒の時だと知らしめてくる。
ーーうーん。
ついに寝転がっている姿勢から、上半身を起こされる。
ぼーっとしながら、虚空を眺める。
ーーあれ、俺、どうしたんだっけ
未だ覚醒しきってない頭で昨晩の事を思い返す。
ご飯を食べた後に、お風呂に入って、
気づいたら、ミナトが傍にいたんだった!
あの時は、本当にびっくりして、
いやいや、そんなことよりも!!
俺の身体に変な事をっ!!
ふっと昨日、風呂場で起こった事が頭によぎる。
あ―――、忘れたい!!
俺があんなにも、はしたなく求めてしまうなんて。
この記憶を無かったことにしたいと、本気で悔やむ気持ちでいっぱいだ。
それにしても、俺がミナトに気づかなかったり、すぐに身体がアツくなってしまったり、おかしなことが多かった。
これはいったい……、とろとろな入浴剤のせいだったのだろうか?
「はい、奈緒様、これをどうぞ」
金髪で碧の瞳をした燕尾服を着た男が、カップをこちらに手渡してくる。
紅茶の良い香りが、ふわっとあたりに漂う。
喉がカラカラに乾燥していることに今になって気づく。
カップを大人しく受け取り、丁度良い温度の紅茶を味わう。
俺は猫舌だから、熱すぎるものは少し冷ます時間をおかないといけないが、淹れてくれた紅茶は火傷もせずにすんなりと飲むことが出来た。
俺は身体あたたまる紅茶飲んで、一息をつくと隣に佇んでいる男を見上げる。
こいつ、昨日は家にいなかったがどこに行っていたんだろう。
この男はいつも地区の長であるミナトの傍に必ず居て、補佐役として仕事を難なくこなしているようだった。
名前は確か、――
「私をお忘れですか?鷹見ヒデトです。
飲み終わりましたら、器をこちらに」
「ああ、はい。ありがと。」
「さて、ではこちらの服を――」
「いいよ、自分でやるって」
「かしこまりました。ご準備ができましたら、リビングへお越しください。
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