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1番好きな味は?
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真夏になると思い出すのは、
今は死んだお父さんと公園で遊んだ帰り道に買ってもらった甘いジュース。
甘いのは覚えてるんだけど、
何だったっけ?
銘柄が思い出せない。
暑くてはっと起きると、
モノトーンの部屋に居た。
私は全裸で汗だくだった。
隣には誰か男の人が寝ていた。
頭が痛い。
フラフラと起き上がり、
勝手の知らない家の台所目指して歩いた。
水飲みたい。
男なら誰とでも寝ていた私を変えたのは、
社会人三年目であった
中川さんがきっかけだった。
合コンであった中川さんは、
私に気があったのか、
チラチラみてきていた。
二次会には行かずに、
中川さんに声をかけ、
会を抜けた。
「私の事、みてなかったですか?」
「見てたよ。」
「君、地元どこ?」
「え?」
なんで、地元?
なんか気持ち悪かったけど、
答えると、
「やっぱり!
俺の事、覚えない?」
顔を見てもピンと来なかった。
「高校で同じ部活だった、中川だよ!」
高校……?
私は写真部だった。
帰宅部同然の写真部で、
唯一活動してた男の先輩がいた、
それが、
今目の前にいる、彼なのだ。
「あ、あー!」
「思い出してくれた?」
「よく、私の事気づきましたね?」
「わかるよ。」
それから、彼と交流が始まった。
映画見に行ったり、
カフェいったり、
居酒屋で飲んで朝までカラオケしたり。
最近の私じゃ考えられないほど、
健全なデートだった。
「あのさ。」
「ん?」
「実は、俺卒業する時、
部員皆のこと写真にとってて。」
「あー、なんか撮らせてくれみたいなこと言われた気もする。」
「結花ちゃんのこともとったんだよね。
結花ちゃん、その時、恥ずかしいっていいながら、笑ってくれて。」
そういって、
彼は財布から1枚の写真を取り出した。
「これって。」
「なんか、キモイかもしれないけどさ。
俺、この写真すごい気に入って。
でも、結花ちゃんの連絡先も知らなくて。
どうしようもないから、写真持ち歩いてて、もし会えたら、話しかけようって思ってて。だから、あの日、結花ちゃんに会えた時、夢みたいで。」
彼の手にある写真の私は、
はにかんでいた。
「結花ちゃんから話しかけてくれた時、
凄い嬉しくて。
写真見せたかったんだけど、さすがにキモイと思って。」
「いやー、嬉しいです、よ。
だって、何年前の写真ですか?これ!笑」
「俺、辛い時とかこの写真みて、
勝手に励まして貰えてたんだよね。」
彼はその後に、
良かったら、付き合ってくれませんか?と言ってくれた。
私は、はいと、
彼の手を握った。
穏やかな日々だった。
私のことを大切にしてくれて、
私に優しくしてくれて。
あの夏の日みたいだった。
そのまま結婚した。
新婚の時は良かった。
でも、結婚して3年経つと、
そろそろ子供のことを考え出して、
彼が。
楽しみだねって、
私よりも子育ての本を読んだりして。
私よりも子供に興味が出た気がして、
まだ妊娠もしてないのに。
なんか、
モヤモヤした。
その時に、
昔たまに寝てたセフレみたいなやつから
LINEきて、
暇ー?とかいわれて、
暇だよー。って返してて。
残業で遅くなるとかっていって、
私はセフレのやつに会いに行ってた。
お酒飲んでそのままそいつとやって、
寝た。
それも、夏の日だったな。
最初の頃はちゃんと終電までに帰ってたけど、
酔ってだるくて、
朝帰りが増えた。
その時に、
「結花、最近どうしたの?」って
彼がオロオロ聞いてきた。
私がほしいのは、
小さい時にのんだ甘いジュースなのに。
こんなのいらない。
私はそのまま、
離婚した。
結局、私は前みたいに
男なら誰とでも寝るような生活に戻った。
喉が渇く。
早く、
早く、
あのジュースが飲みたい。
水じゃダメなの、
このジュースでも違うの!
私は今日も深夜3時に喉が渇いたと
起き上がる。
今は死んだお父さんと公園で遊んだ帰り道に買ってもらった甘いジュース。
甘いのは覚えてるんだけど、
何だったっけ?
銘柄が思い出せない。
暑くてはっと起きると、
モノトーンの部屋に居た。
私は全裸で汗だくだった。
隣には誰か男の人が寝ていた。
頭が痛い。
フラフラと起き上がり、
勝手の知らない家の台所目指して歩いた。
水飲みたい。
男なら誰とでも寝ていた私を変えたのは、
社会人三年目であった
中川さんがきっかけだった。
合コンであった中川さんは、
私に気があったのか、
チラチラみてきていた。
二次会には行かずに、
中川さんに声をかけ、
会を抜けた。
「私の事、みてなかったですか?」
「見てたよ。」
「君、地元どこ?」
「え?」
なんで、地元?
なんか気持ち悪かったけど、
答えると、
「やっぱり!
俺の事、覚えない?」
顔を見てもピンと来なかった。
「高校で同じ部活だった、中川だよ!」
高校……?
私は写真部だった。
帰宅部同然の写真部で、
唯一活動してた男の先輩がいた、
それが、
今目の前にいる、彼なのだ。
「あ、あー!」
「思い出してくれた?」
「よく、私の事気づきましたね?」
「わかるよ。」
それから、彼と交流が始まった。
映画見に行ったり、
カフェいったり、
居酒屋で飲んで朝までカラオケしたり。
最近の私じゃ考えられないほど、
健全なデートだった。
「あのさ。」
「ん?」
「実は、俺卒業する時、
部員皆のこと写真にとってて。」
「あー、なんか撮らせてくれみたいなこと言われた気もする。」
「結花ちゃんのこともとったんだよね。
結花ちゃん、その時、恥ずかしいっていいながら、笑ってくれて。」
そういって、
彼は財布から1枚の写真を取り出した。
「これって。」
「なんか、キモイかもしれないけどさ。
俺、この写真すごい気に入って。
でも、結花ちゃんの連絡先も知らなくて。
どうしようもないから、写真持ち歩いてて、もし会えたら、話しかけようって思ってて。だから、あの日、結花ちゃんに会えた時、夢みたいで。」
彼の手にある写真の私は、
はにかんでいた。
「結花ちゃんから話しかけてくれた時、
凄い嬉しくて。
写真見せたかったんだけど、さすがにキモイと思って。」
「いやー、嬉しいです、よ。
だって、何年前の写真ですか?これ!笑」
「俺、辛い時とかこの写真みて、
勝手に励まして貰えてたんだよね。」
彼はその後に、
良かったら、付き合ってくれませんか?と言ってくれた。
私は、はいと、
彼の手を握った。
穏やかな日々だった。
私のことを大切にしてくれて、
私に優しくしてくれて。
あの夏の日みたいだった。
そのまま結婚した。
新婚の時は良かった。
でも、結婚して3年経つと、
そろそろ子供のことを考え出して、
彼が。
楽しみだねって、
私よりも子育ての本を読んだりして。
私よりも子供に興味が出た気がして、
まだ妊娠もしてないのに。
なんか、
モヤモヤした。
その時に、
昔たまに寝てたセフレみたいなやつから
LINEきて、
暇ー?とかいわれて、
暇だよー。って返してて。
残業で遅くなるとかっていって、
私はセフレのやつに会いに行ってた。
お酒飲んでそのままそいつとやって、
寝た。
それも、夏の日だったな。
最初の頃はちゃんと終電までに帰ってたけど、
酔ってだるくて、
朝帰りが増えた。
その時に、
「結花、最近どうしたの?」って
彼がオロオロ聞いてきた。
私がほしいのは、
小さい時にのんだ甘いジュースなのに。
こんなのいらない。
私はそのまま、
離婚した。
結局、私は前みたいに
男なら誰とでも寝るような生活に戻った。
喉が渇く。
早く、
早く、
あのジュースが飲みたい。
水じゃダメなの、
このジュースでも違うの!
私は今日も深夜3時に喉が渇いたと
起き上がる。
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