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会場を一歩出るとそこは黄泉の国だった。
「ああっ、ナイジェリアン・マフィアどもが……」
ミマヨの社長が嘆き声を出した。
会場の出入口からエレベーターホールまでのそこかしこにゴツい黒人たちが転がっていた。
社長が警護を依頼したナイジェリアン・マフィアのメンバーだ。
彼らに白羽の矢が立ったのは、ヤクザの介入を嫌う関係者全員の思惑の一致によるものだった。
妻をチラ見した植木職人を斬殺した細川忠興のような男たちによって開催されたこのパーティーは、関係者以外にミマヨを愛でる権利を与えないためワンフロアー貸し切りにしていたので、クロークを除けばミマヨのパーティー会場以外は無人であったが、何かで嗅ぎつけた連中の乱入に備えてナイジェリアン・マフィアのメンバー十人が配されていたのだ。
倒れている者のうち仰向けの者たちの喉を見て、会場で殺された招待客たち同様、男馬信者の地獄突きで絶命したとわかった。
クロークのカウンターに従業員が二人突っ伏していた。
中で倒れている者がいるかもしれないが、確認するまでもなく生きているはずがなかった。
全てジェロニモ一味の仕業だろう。
エレベーターの前でボタンを押そうとして社長はその動作を止めた。
「あいつら逃げてった招待客は全員エレベーターで逃げたのかな? 百人近くいたから全部のエレベーター使ったって一回じゃ全員乗れないよな。乗りきれない奴らはどうしたんだ? 非常階段で逃げた奴もいるよな?」
「どうだっていいわよそんなこと」
ミマヨの言葉は正鵠を射ていた。
招待客たちがどうやって逃げたか? 確かにそんなことはどうだっていいのだ。
「いいから早く押してよ。あっ! あんっ!」
ミマヨの両乳首が胸骨にめり込むかというくらいに強く押された。
「──!?」
社長は前を向いたままだ。
「えっ、なにミマヨちゃん。どうしたのいきなり色っぽい声出して──うわっ!」
振り向きざま社長が叫び声を出した。
社長より早く後ろを向いていたミマヨの眼前にはTがいた。
「ああっ、ナイジェリアン・マフィアどもが……」
ミマヨの社長が嘆き声を出した。
会場の出入口からエレベーターホールまでのそこかしこにゴツい黒人たちが転がっていた。
社長が警護を依頼したナイジェリアン・マフィアのメンバーだ。
彼らに白羽の矢が立ったのは、ヤクザの介入を嫌う関係者全員の思惑の一致によるものだった。
妻をチラ見した植木職人を斬殺した細川忠興のような男たちによって開催されたこのパーティーは、関係者以外にミマヨを愛でる権利を与えないためワンフロアー貸し切りにしていたので、クロークを除けばミマヨのパーティー会場以外は無人であったが、何かで嗅ぎつけた連中の乱入に備えてナイジェリアン・マフィアのメンバー十人が配されていたのだ。
倒れている者のうち仰向けの者たちの喉を見て、会場で殺された招待客たち同様、男馬信者の地獄突きで絶命したとわかった。
クロークのカウンターに従業員が二人突っ伏していた。
中で倒れている者がいるかもしれないが、確認するまでもなく生きているはずがなかった。
全てジェロニモ一味の仕業だろう。
エレベーターの前でボタンを押そうとして社長はその動作を止めた。
「あいつら逃げてった招待客は全員エレベーターで逃げたのかな? 百人近くいたから全部のエレベーター使ったって一回じゃ全員乗れないよな。乗りきれない奴らはどうしたんだ? 非常階段で逃げた奴もいるよな?」
「どうだっていいわよそんなこと」
ミマヨの言葉は正鵠を射ていた。
招待客たちがどうやって逃げたか? 確かにそんなことはどうだっていいのだ。
「いいから早く押してよ。あっ! あんっ!」
ミマヨの両乳首が胸骨にめり込むかというくらいに強く押された。
「──!?」
社長は前を向いたままだ。
「えっ、なにミマヨちゃん。どうしたのいきなり色っぽい声出して──うわっ!」
振り向きざま社長が叫び声を出した。
社長より早く後ろを向いていたミマヨの眼前にはTがいた。
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