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(つづき)
その中の一人の入れ知恵で俺は万野にその全財産を俺に譲らせることにした。そのためには上京が必要だった。大口スポンサーとも会い引き継ぎも済ませた。それらに二週間くらいかかった。物見遊山も兼ねていたのでな。全てが俺のものになった夜、俺は万野の首をへし折って殺し、ババアの死体を山奥の杉の木のてっぺんまで運んでモズのはやにえのように串刺しにしてやった。わかりやすく派手にしたつもりだったが、ババアが見つかるまで一週間かかった。そんなところに人間が引っ掛かっているなんて誰も思わなかったらしい。教団を我が物とした俺は、万野の取り巻きだった幹部連中の特権を剥奪し平信者に降格した。代わりに護衛部に一切の運営を任せることにした。と言っても基本理念は俺が決めたが。俺たちは意味不明だった漂泊生活に終止符を打ち、東京の足立区に本部を構えた。忠誠心は人一倍だが生活力ゼロの信者たちを生活保護つきで都内各地の公営団地にねじ込んだ。少年部のガキどもは公立学校に通わせるようにした。それは長年の漂泊生活に対する当然の報いだった。護衛部は新しく教団を作り直すために役立たずは全員問答無用で追い出すつもりだったが、俺はそうは思わなかった。俺たちは全員家族なのだ! 強い者が弱い者を庇い、持てる者が持たざる者の不足を補う、それが正しいこの世のあり方なのだ! 今では我が男馬珍味教の信者全員がそう考えるようになっている。基本理念以外は護衛部に任せて、俺は毎日遊んで暮らしていた。俺が今の姿になるきっかけを作ったあの教団幹部の娘が今度は俺にぞっこんになっていた。俺を自分が振ったあのガキだと知らずにだ。俺は見た目は大人だったが九歳にして女を知った。今思えばただの白人かぶれの馬鹿女だったが、当時の俺は彼女に夢中になった。おっと! これはどうでもいい話だったな。そんなある日、福井で教団を脱走した八人のうちの一人がひょっこり姿を現した。タッカンというあだ名の、八人のうちで最年少の六歳の奴だった。俺はこいつが苦手だった。最年少ながら油断ならない奴で、ズル賢く平気で嘘をつき、何を考えてるかわからない奴だった。護衛部の知らせを受け、俺は何気ない顔でタッカンと対面した。スウェーデンから招聘され新教祖になったジェロニモですと自己紹介した。向こうは目の前の金髪白人が俺とは夢にも思っていないようだった。外の世界で色々見てきたようで、外人を見ても全く動じる様子がなかった。逆にしげしげと俺を見つめてきた。
(つづく)
その中の一人の入れ知恵で俺は万野にその全財産を俺に譲らせることにした。そのためには上京が必要だった。大口スポンサーとも会い引き継ぎも済ませた。それらに二週間くらいかかった。物見遊山も兼ねていたのでな。全てが俺のものになった夜、俺は万野の首をへし折って殺し、ババアの死体を山奥の杉の木のてっぺんまで運んでモズのはやにえのように串刺しにしてやった。わかりやすく派手にしたつもりだったが、ババアが見つかるまで一週間かかった。そんなところに人間が引っ掛かっているなんて誰も思わなかったらしい。教団を我が物とした俺は、万野の取り巻きだった幹部連中の特権を剥奪し平信者に降格した。代わりに護衛部に一切の運営を任せることにした。と言っても基本理念は俺が決めたが。俺たちは意味不明だった漂泊生活に終止符を打ち、東京の足立区に本部を構えた。忠誠心は人一倍だが生活力ゼロの信者たちを生活保護つきで都内各地の公営団地にねじ込んだ。少年部のガキどもは公立学校に通わせるようにした。それは長年の漂泊生活に対する当然の報いだった。護衛部は新しく教団を作り直すために役立たずは全員問答無用で追い出すつもりだったが、俺はそうは思わなかった。俺たちは全員家族なのだ! 強い者が弱い者を庇い、持てる者が持たざる者の不足を補う、それが正しいこの世のあり方なのだ! 今では我が男馬珍味教の信者全員がそう考えるようになっている。基本理念以外は護衛部に任せて、俺は毎日遊んで暮らしていた。俺が今の姿になるきっかけを作ったあの教団幹部の娘が今度は俺にぞっこんになっていた。俺を自分が振ったあのガキだと知らずにだ。俺は見た目は大人だったが九歳にして女を知った。今思えばただの白人かぶれの馬鹿女だったが、当時の俺は彼女に夢中になった。おっと! これはどうでもいい話だったな。そんなある日、福井で教団を脱走した八人のうちの一人がひょっこり姿を現した。タッカンというあだ名の、八人のうちで最年少の六歳の奴だった。俺はこいつが苦手だった。最年少ながら油断ならない奴で、ズル賢く平気で嘘をつき、何を考えてるかわからない奴だった。護衛部の知らせを受け、俺は何気ない顔でタッカンと対面した。スウェーデンから招聘され新教祖になったジェロニモですと自己紹介した。向こうは目の前の金髪白人が俺とは夢にも思っていないようだった。外の世界で色々見てきたようで、外人を見ても全く動じる様子がなかった。逆にしげしげと俺を見つめてきた。
(つづく)
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