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ミマヨのパーティーの招待客たちは、目の前で繰り広げられている信じられない光景に呆然と眺め入るしかなかった。
「おまえほんとに説明が好きな奴だな。こうなりゃついでに聞いてやる。おまえはあの緑色に光っている隕石に触った十人は全員同じ場所にいたと言ったな。一体どういう状況だったんだ?」
「ついでだと? フフフ、やはりそれについて聞きたかったんだな。なんで一遍に十人も緑色に光っている隕石に触ることができたのか、やっぱりそこ気になるよなぁ! T!」
「お、おう」
「クックック、いいだろう、教えてやる。これから俺が話すことを、地獄で閻魔大王に語ってやるがいい」
ようやく話の通じる相手に出会えたオタクの少年のような顔でジェロニモは語り出した。
「今から約四年前、正確には三年十ヶ月と二週間前──八月の初旬だった。当時俺は信者数たった百一人しかいない男馬珍味教の少年部に属していた。少年部には六歳から十五歳まで三十人の子どもたちがいた。三十人のうち二十人が男児だった。教祖・万野漫子は年がら年中信者を引き連れて山中を移動していたから、俺たちはろくに学校に行ってなかった。万野漫子には大口スポンサーがいたらしく、万野と取り巻きの幹部たちは一般信者たちとは違い結構いい暮らしをしていた。子ども心にも不公平だと思ったものだ。万野や幹部たちと一般信者の間には絶対的な壁があった。一般信者は万野や幹部たちの兵隊であり肥やしでしかなかった。そもそも万野や幹部たちは自分たちの子どもを宗教活動に参加させていず、それぞれ一流の学校に通わせていた。夏になると万野たち幹部連中は二週間ほど避暑に行ってしまい、その間、一般信者の子どもたちの中から特に男児だけ、将来にわたって教団の兵隊となり肥やしとなるための洗脳および軍事訓練の一環として〝こどもごでぃばばとる〟というイベントに強制的に参加させられた。毎年違う山で、七月の下旬から八月の初旬にかけて、それは行われた。内容は、訓練で優秀な成績を修めた順にチョコレートがもらえるという、一見しょうもない、だが俺たち一般信者のガキたちにとっては夢のような一大イベントだった。普段ろくなもん食ってなかったからな。おまえにわかるか? たかがチョコレートに釣られて、普通の子どもだったら無邪気に楽しめるはずの夏休みの時期に蚊や虻に刺されながら二週間近く軍事訓練の真似事をやらされていた俺たちの気持ちが!
(つづく)
「おまえほんとに説明が好きな奴だな。こうなりゃついでに聞いてやる。おまえはあの緑色に光っている隕石に触った十人は全員同じ場所にいたと言ったな。一体どういう状況だったんだ?」
「ついでだと? フフフ、やはりそれについて聞きたかったんだな。なんで一遍に十人も緑色に光っている隕石に触ることができたのか、やっぱりそこ気になるよなぁ! T!」
「お、おう」
「クックック、いいだろう、教えてやる。これから俺が話すことを、地獄で閻魔大王に語ってやるがいい」
ようやく話の通じる相手に出会えたオタクの少年のような顔でジェロニモは語り出した。
「今から約四年前、正確には三年十ヶ月と二週間前──八月の初旬だった。当時俺は信者数たった百一人しかいない男馬珍味教の少年部に属していた。少年部には六歳から十五歳まで三十人の子どもたちがいた。三十人のうち二十人が男児だった。教祖・万野漫子は年がら年中信者を引き連れて山中を移動していたから、俺たちはろくに学校に行ってなかった。万野漫子には大口スポンサーがいたらしく、万野と取り巻きの幹部たちは一般信者たちとは違い結構いい暮らしをしていた。子ども心にも不公平だと思ったものだ。万野や幹部たちと一般信者の間には絶対的な壁があった。一般信者は万野や幹部たちの兵隊であり肥やしでしかなかった。そもそも万野や幹部たちは自分たちの子どもを宗教活動に参加させていず、それぞれ一流の学校に通わせていた。夏になると万野たち幹部連中は二週間ほど避暑に行ってしまい、その間、一般信者の子どもたちの中から特に男児だけ、将来にわたって教団の兵隊となり肥やしとなるための洗脳および軍事訓練の一環として〝こどもごでぃばばとる〟というイベントに強制的に参加させられた。毎年違う山で、七月の下旬から八月の初旬にかけて、それは行われた。内容は、訓練で優秀な成績を修めた順にチョコレートがもらえるという、一見しょうもない、だが俺たち一般信者のガキたちにとっては夢のような一大イベントだった。普段ろくなもん食ってなかったからな。おまえにわかるか? たかがチョコレートに釣られて、普通の子どもだったら無邪気に楽しめるはずの夏休みの時期に蚊や虻に刺されながら二週間近く軍事訓練の真似事をやらされていた俺たちの気持ちが!
(つづく)
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