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歴代Z務事務次官殺しのとき、最後の玉革のケースを除いていずれも犯人の影も形も見えなかった。
蛮神会を潰したときも、犯人の影も形も見えていない。
その情報は、メディアやネットを通じて拡散している。
そこからオレの正体に気づいたとなると──まさか──オレの同類か。
その可能性が一番高い。
やはりあの夜、オレ以外にもあの緑色に光る隕石に接触した者がいたということか。あの隕石から受け継いだ何かが、オレの体液を体内に入れた女たちの血中にも含まれていることを知っていて、だから全員血を抜き取られているのか。血を抜き取られた女たちは、そのまま死なずゾンビになる。全員頭をかち割られているのはそのせいか。どの遺体も綺麗に脳味噌がなくなっているのも、心臓まで抜き取られているのも、あの秘密を知っていればこそか。 ……まぁいい。詳しくは犯人に聞くとしよう。これだけは言える、とりあえず、悦子はもちろん、ミマヨも心配ない。
なぜならミマヨは今アメリカに来ているから。
ミマヨはTたちが日本を出国した二日後に突如アメリカ留学を発表し、直ちに旅立ったのだ。
Tはそれをネットのニュースで知った。
留学は真っ赤な嘘で、お通が武蔵を追うようにミマヨはTを追ってきたのだ。
Tがアメリカのどこにいるかもわからないのにだ。
ミマヨの行動力は図抜けている。
熱い女だ。
ミマヨはTがどこにいるかわからなかったが、Tはパリナを見つけ出したように、すぐにミマヨの居場所を突き止めた。
ミマヨに気づかれないようにガードも付けている。
国素殺害のときミマヨが一緒にいたことは、事件そのものとは関係ないことから世間には公表されなかった。
だが噂は流れていた。
おそらく現場にいた特殊部隊員の口から漏れたのだろう。
一連の犯人は、いずれ必ず悦子とミマヨに魔の手を伸ばしてくる。
そう考えて間違いない。
屠塚の妻・早苗、その娘・樹里、青忌のメイド、涜原の三人の孫娘・景、徳、鎮、靺田の五人の愛人たち、大唾の愛人・リナ。
十六日間で十二人が殺されている。
殺害のペースを考えると敵はすんでのところで悦子とミマヨをとり逃し歯噛みしているはずだ。
悦子を囮にする気はTにはさらさらない。
ミマヨが殺されたら、Tは犯人を追う手がかりを失う。
危ないところだった。
この時点でTは確信していた、敵の中に同じ能力者がいると。
ミマヨとともに日本に戻り、奴らが襲ってきたところで皆殺しにする。
Tの心の中の軍事法廷が、まだ見ぬ敵に死刑の確定判決を下した。
問答無用の欠席裁判だった。
恩赦などあり得なかった。
「ねぇ、もう一人って、誰?」
蛮神会を潰したときも、犯人の影も形も見えていない。
その情報は、メディアやネットを通じて拡散している。
そこからオレの正体に気づいたとなると──まさか──オレの同類か。
その可能性が一番高い。
やはりあの夜、オレ以外にもあの緑色に光る隕石に接触した者がいたということか。あの隕石から受け継いだ何かが、オレの体液を体内に入れた女たちの血中にも含まれていることを知っていて、だから全員血を抜き取られているのか。血を抜き取られた女たちは、そのまま死なずゾンビになる。全員頭をかち割られているのはそのせいか。どの遺体も綺麗に脳味噌がなくなっているのも、心臓まで抜き取られているのも、あの秘密を知っていればこそか。 ……まぁいい。詳しくは犯人に聞くとしよう。これだけは言える、とりあえず、悦子はもちろん、ミマヨも心配ない。
なぜならミマヨは今アメリカに来ているから。
ミマヨはTたちが日本を出国した二日後に突如アメリカ留学を発表し、直ちに旅立ったのだ。
Tはそれをネットのニュースで知った。
留学は真っ赤な嘘で、お通が武蔵を追うようにミマヨはTを追ってきたのだ。
Tがアメリカのどこにいるかもわからないのにだ。
ミマヨの行動力は図抜けている。
熱い女だ。
ミマヨはTがどこにいるかわからなかったが、Tはパリナを見つけ出したように、すぐにミマヨの居場所を突き止めた。
ミマヨに気づかれないようにガードも付けている。
国素殺害のときミマヨが一緒にいたことは、事件そのものとは関係ないことから世間には公表されなかった。
だが噂は流れていた。
おそらく現場にいた特殊部隊員の口から漏れたのだろう。
一連の犯人は、いずれ必ず悦子とミマヨに魔の手を伸ばしてくる。
そう考えて間違いない。
屠塚の妻・早苗、その娘・樹里、青忌のメイド、涜原の三人の孫娘・景、徳、鎮、靺田の五人の愛人たち、大唾の愛人・リナ。
十六日間で十二人が殺されている。
殺害のペースを考えると敵はすんでのところで悦子とミマヨをとり逃し歯噛みしているはずだ。
悦子を囮にする気はTにはさらさらない。
ミマヨが殺されたら、Tは犯人を追う手がかりを失う。
危ないところだった。
この時点でTは確信していた、敵の中に同じ能力者がいると。
ミマヨとともに日本に戻り、奴らが襲ってきたところで皆殺しにする。
Tの心の中の軍事法廷が、まだ見ぬ敵に死刑の確定判決を下した。
問答無用の欠席裁判だった。
恩赦などあり得なかった。
「ねぇ、もう一人って、誰?」
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