超人ゾンビ

魚木ゴメス

文字の大きさ
上 下
90 / 155

90

しおりを挟む
「あ~あ。指が灰で汚れちゃいましたよ。ペナルティーとしてもう三千万円払ってもらいますよ」

「んなっ…」

「なんてね。冗談だよ。おい、会長はどこだ?」

「てっ、てめえ!」

「はよ言えや」

「ぶべらっ!」

 集金人の右バックハンドブローでソファーの遥か後方にすっ飛ぶ。

「なに勝手に遠くまで飛んでんだよ。めんどくせえなぁ」

「い、いばのば、おばえば……」

 今のは、おまえが……と言おうとしたのだが、前歯が数本折れていて正確に発音できなかった。

 集金人は仰向けに倒れている荒異に歩み寄り、右足でその右上腕を踏むと一気にへし折った。

「ぐがあっ!」

「だから早く言えよ。残りの腕と足も折るぞ?」

「ぐっ……がっ……がいじょうじづ(会長室)……ぶえ(上)……」

「いるんだな、今」

「……いる」

「よし、つりは要らねえ、とっとけ」

 右足で腹を踏みつけた。

「ぐぼおっ!」

 口からゲロを吐き荒異は気絶した。

 会長室と書かれたプレートの付いたドアを開けると正面五メートルほど奥に黒く光沢を放つプレジデントデスクがあり、その向こうに黒革のデスクチェアに座った五十代くらいの目付きの悪い男と、その膝の上に乗った豹柄ずくめの若い女がいた。

 男のほうは見た目は五十代でも実際は七十代のはずだった。
 成功したヤクザ特有の若々しさがある。

「なんだてめえは?」

「こんちわー。NHKの受信料を頂きに参りましたー」

「なんだと?」

「あーもういいやこれ。おい、おまえ蛮神会の会長だよな」

 聞くまでもなかった。

 会長室で女といちゃついている男が会長でないはずがない。

 蛮神会会長、大唾(おおた)は女を膝から降ろした。

「てめえは誰だ?」

「光源氏だって言えば満足するか?」

「何こいつ。キモッ。会長、こんな奴さっさと撃ち殺しちゃいなよぉ!」

「お嬢さん、いいおっぱいしてますねぇ。会長さんぶっ殺したあとで、その美味しそうなおっぱいを母乳が出るようになるまで吸ってあげますよ。それとももう出るのかな?」

「ゲェーッ! マジこいつキモい! 会長ぉ! 早く殺っちゃってよぉ!」

「ちょっと黙ってろ! おい、下の奴らはどうした? まさかてめえデカか?」

「デカ? ああ、私のちんぽはそりゃあもうデカいですよ。お嬢さん、会長さんぶっ殺したあとで、お嬢さんの下の口にたっぷりぶち込んであげますから、楽しみに待っていなさい」

「この野郎……てめえどう見てもデカじゃねえな……」

「だから光源氏だって言ってんだろ」

「舐めやがって……おい、こいつを見ろ」

 大唾の右手には黒光りする拳銃が握られていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

処理中です...