超人ゾンビ

魚木ゴメス

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「おまえらキチガイ親子のせいでオレたち家族の人生は台無しになったよ。それわかってるよなぁ」

 三匹は椅子に拘束された状態でガタガタ震えていた。

 全員失禁していた。

「誰から殺そうって考えてたんだがよ、やっぱおまえらの作りぞこないの馬鹿息子からだよなぁ」

「モガーッ」

 突如暴れだした馬鹿息子の左足の甲を踏みつけた。

「フグーッ!」

 そこだけ足裏の形にぺしゃんこになった。

「……ぐううう」

 馬鹿息子の体は小刻みに痙攣し続け、その顔色はサインポールのように赤白青と目まぐるしく変わり、脂汗、涙、鼻水、よだれでグシャグシャになって呻いている。

 中途半端に痛いから大声が出る。

 黙らせるには激痛が一番だ。

 再び悲鳴をあげそうになったババアのどてっ腹にTの左拳がめり込んだ。

「おまえら簡単には殺さねえからよ。これから時間をかけてじっくり殺してやるよ。こっちには二十五年分の恨みがあるからなぁ」

 それが凄惨極まる残酷劇の開幕宣言だった。

「なんてな。冗談だよ。馬鹿息子から殺すってのは」

 Tは笑いながら言った。

 処刑を始める前に、三匹の喉を順番に掴み潰し声帯を破壊した。

 これでどんなに苦痛を与えようが叫ぶことは物理的に不可能になった。

 三匹に舌を噛み切る度胸はないと判断し猿轡を外した。

 三匹の目蓋まぶたを千切り取った。

 これで何があっても目を瞑ることはできなくなった。

「じゃあ、これからどうやっておまえらに痛みを与えていくか教えてやるよ」

 目蓋を千切り取られて真ん丸の目でTを見つめる──しかない三匹。

「オレはこれからおまえらの体を少しずつかじり取っていくからよ。痛えぞぉ~っ。でもどんなに痛くてもすぐには死ねねえってわけだよ」

 それがTが思いついたもっとも残酷な殺し方だった。

 三匹の皮膚に口で触れることへの嫌悪感など、三匹への積もり積もった憎悪の念に比べればタンポポの綿毛わたげ一本ほどもなかった。

 それに今の自分ならどんなバイ菌に対しても免疫があると確信していた。

 Tはニヤニヤしながら、恐怖にひきつった顔の馬鹿息子に近づき左こめかみの肉を噛み千切った。

 噴き出す鮮血。

 馬鹿息子は激しく暴れ椅子ごと後ろに引っくり返った。

 Tは口中の肉片をペッと吐き出した。

 続いてババアのたるんだ右二の腕、ゴリラ親父の太鼓腹の肉を順番に噛み千切った。

 二匹とも馬鹿息子同様のていになった。

 あとはそれを繰り返すだけだった。

 Tは引っくり返った三匹をいちいち引き起こし肉を噛み千切った。

 三匹は肉を噛み千切られる度に馬鹿の一つ覚えのように派手に引っくり返るのだった。

 痛みのあまり三匹は揃って早い時点で脱糞していた。

 さすが親子だ。

 居間は尿と糞と血の混じった悪臭で鼻が曲がりそうだった。
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