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十一月の半ばになっていた。
午後五時、すっかり日が落ちた頃、造園業のゴリラ親父とクソ馬鹿息子が軽トラで帰ってきた。
非番で家にいたTは即座に行動に移った。
起こすなとドアに張り紙をし、内から鍵をかけ姿を消して自室の窓から外に出た。
キチガイ親子が家に入るとき滑り込むように一緒に入った。
気づかれないように施錠し、チェーンをかけた。
目の前を歩いていたゴリラ親父の肩を掴むとこっちを向かせた。
「?」
不可解そのものといった表情の顔が見えた。
その小兵力士のような太鼓腹の鳩尾に右拳でボディーブローを叩き込む。
「ウゴーッ!」
ゴリラ親父は悶絶し床に崩れ落ちた。
殺してしまわないように手加減したつもりだが、水牛が手加減して角で突いたようなものだった。
ゴリラ親父の前にいたクソ馬鹿息子が振り向き驚愕の表情をした。
「親父っ、どうしたんだよ?」
その横っ面を左手で張る。
「ぶべらっ!」
クソ馬鹿息子は居間の壁に激突した。
羆が手加減して張ったようなものだった。
悲鳴をあげそうになったイカれババアめがけて抱え込むように飛びかかり右足で膝蹴りを決める。
「グエッ!」
イカれババアは腹を抱えるようにして顔から床に落ちた。
ペルシュロンが手加減して蹴ったようなものだった。
三匹の服を剥ぎ全裸にして、キッチンにあった木製の椅子に座らせ縛りつけ猿轡を噛ませ、Tの正面にクソ馬鹿息子、右側にゴリラ親父、左側にイカれババアと、俯瞰したとき二等辺三角形になるように向かい合わせた。
消していた姿を現した。
このときのTは三匹と同じく全裸で、後々のことを考えて、指紋や掌紋を消すのはもちろん頭髪含め全身の体毛を皮膚化していたのでまるでマネキンのようであった。
これで現場に毛髪一つ残りはしない。
「よぉ、お三方。オレが誰だかわかるか?」
「ウガーッ」
ゴリラ親父が体を揺すりながら拘束を解こうと暴れだした。
「黙れ」
Tの左回し蹴りがその顔面に入る。椅子ごと背後の壁まですっ飛ぶ。
「手間かけさせんじゃねえ」
Tはひっくり返っているゴリラ親父の椅子の背もたれを片手で掴むと軽々と持ち上げ元の場所まで運ぶ。
荒く息を吐いているゴリラ親父の顔の中央は鼻骨が折れて陥没していた。
「もう一回聞くぞ。オレが誰だかわかるか?」
ぐったりしているゴリラ親父と違い激しく首を振るクソ馬鹿息子とイカれババア。
やがて二人揃って誰かを思い出したらしく、しかしそんなまさか、といった顔をミーアキャットのように同時にするのだった。
「気づいたか。いややっぱ無理か。信じようが信じまいがどうでもいいが……」
Tは名乗った。
猿轡を噛ませているそれぞれの口から驚愕の叫び声が漏れ出すや、Tの張り手で瞬時に黙らされた。
午後五時、すっかり日が落ちた頃、造園業のゴリラ親父とクソ馬鹿息子が軽トラで帰ってきた。
非番で家にいたTは即座に行動に移った。
起こすなとドアに張り紙をし、内から鍵をかけ姿を消して自室の窓から外に出た。
キチガイ親子が家に入るとき滑り込むように一緒に入った。
気づかれないように施錠し、チェーンをかけた。
目の前を歩いていたゴリラ親父の肩を掴むとこっちを向かせた。
「?」
不可解そのものといった表情の顔が見えた。
その小兵力士のような太鼓腹の鳩尾に右拳でボディーブローを叩き込む。
「ウゴーッ!」
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殺してしまわないように手加減したつもりだが、水牛が手加減して角で突いたようなものだった。
ゴリラ親父の前にいたクソ馬鹿息子が振り向き驚愕の表情をした。
「親父っ、どうしたんだよ?」
その横っ面を左手で張る。
「ぶべらっ!」
クソ馬鹿息子は居間の壁に激突した。
羆が手加減して張ったようなものだった。
悲鳴をあげそうになったイカれババアめがけて抱え込むように飛びかかり右足で膝蹴りを決める。
「グエッ!」
イカれババアは腹を抱えるようにして顔から床に落ちた。
ペルシュロンが手加減して蹴ったようなものだった。
三匹の服を剥ぎ全裸にして、キッチンにあった木製の椅子に座らせ縛りつけ猿轡を噛ませ、Tの正面にクソ馬鹿息子、右側にゴリラ親父、左側にイカれババアと、俯瞰したとき二等辺三角形になるように向かい合わせた。
消していた姿を現した。
このときのTは三匹と同じく全裸で、後々のことを考えて、指紋や掌紋を消すのはもちろん頭髪含め全身の体毛を皮膚化していたのでまるでマネキンのようであった。
これで現場に毛髪一つ残りはしない。
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「ウガーッ」
ゴリラ親父が体を揺すりながら拘束を解こうと暴れだした。
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「手間かけさせんじゃねえ」
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荒く息を吐いているゴリラ親父の顔の中央は鼻骨が折れて陥没していた。
「もう一回聞くぞ。オレが誰だかわかるか?」
ぐったりしているゴリラ親父と違い激しく首を振るクソ馬鹿息子とイカれババア。
やがて二人揃って誰かを思い出したらしく、しかしそんなまさか、といった顔をミーアキャットのように同時にするのだった。
「気づいたか。いややっぱ無理か。信じようが信じまいがどうでもいいが……」
Tは名乗った。
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