超人ゾンビ

魚木ゴメス

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 やることは施錠せじょうや火の気や不審物、不審者の有無の確認などだ。

 まず守衛室を出ると玄関スペースがあり、その先を右に進むと食堂が、食堂に入ると右手に厨房がある。

 厨房は土日祝日は無人だ。

 厨房の鍵を使って解錠し、内部を点検する。

 特に異常はない。

 食堂を抜けると一階東側の出入口がある。

 そこまで行くとまた守衛室まで戻り、厨房の鍵を壁のフックに戻す。

 再び守衛室を出ると今度はその先を左に進む。

 階段を昇ると二階にオフィスがある。
 
 土曜日だったので午後八時の巡回時に施錠してあった。

 そのまま三階まで昇る。

 東階段までの通路の左側に会議室などいくつか部屋があり、施錠しない部屋は一応内部を点検する。

 東階段に到達すると一階まで降り、外に出る。

 本社の北側に工場があり、中に入って南側を点検する。

 入るときと同じドアから外に出て、本社の東側にあるコンプレッサー室や品質改善場などを点検しながら進む。

 要するに工場を中心としてその周囲の建物を同時並行的に点検していくのだ。

 工場は広いので南側、東側、北側、と分けて点検していくわけだ。

 物置、工場南側、発電室、浄水場、工場東側、LPGタンク、資材置き場、工場北側、北側駐車場、あぶら倉庫、トラックスケール、発電所、と進んで正門を出ると、道を挟んだ南側にある駐車場へと向かう。

 土曜の夜なのでほとんど残っている車はなかった。

 ここまで四十分ほど経過していた。

 全身ぐっしょり汗をかいていた。

 夏はいつもこうなる。

 制帽の内側も汗で蒸れてビチョビチョだ。

 Tは巡回の途中で何度か帽子を脱ぎ、ハンカチで頭を拭き、帽子の内側も拭いた。

 ほぼ無風状態だった。

 南駐車場のさらに奥、東に向かって右手に垣根が並ぶ小道を十メートルほど歩いた先に、垣根に隠れるようにして外来者用の駐車場があった。

 巡回コースはそこまでとなる。

 予想した通り一台もなかった。

 しばし立ったまま空をあおぎ休憩する。

 道路に向かって北西の空を見る。

 巡回途中に何度か見上げてわかっていたが、蒸し暑い夜に相応しく全体に薄く雲がはっていて星がよく見えなかった。
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