47 / 155
47
しおりを挟む
「なんだって! そんな、そんなまさか、国素君までが……なんということだ」
今まで「さん」づけで呼んでいた自分より年下の相手を初めて「君」づけで呼べたことに震えるほど感動していた。
閣僚たちはそんな亜婆の気持ちをわかるはずもなく、「総理、お察しします」「残念です、総理」などと口にしていた。
「で、どうなのかね、殺害された状況は。今までと同じように寝室でなのかね」
青忌、涜原、野群、靺田、山済の五名は、いずれも寝室で首をへし折られて殺されたのだ。
そう、これまでの五件の犯行は全て被害者の寝室で行われていた。
寝室にまで警護が入るのはさすがにOB誰もが断ったのだ。
「いいえ、総理。国素元Z務事務次官の場合は階段から落ちて首の骨を折ったようです」
沈痛な面持ちで国家公安委員長が答えた。
なにぃ! 階段から落ちて首の骨を折っただってぇ? う、うひ、うひひひ……
ただ死んでくれるだけでも嬉しい大嫌いな奴がそんな死に様だったのを聞いて思わず吹き出しそうになるのを決壊寸前のダムのように耐えた。
亜婆が鬼のような形相で顔を真っ赤にして額とこめかみに血管を浮き上がらせて震えているのを、またしても凶行がが起きてしまったことへの慚愧の念の現れと閣僚たちは受け取った。
……待てよ、それが何で殺された、という言い方になる?
当然の疑問が頭をもたげ、亜婆は笑いをこらえる努力から解放された。
「君ぃ、それは殺されたとは言わんだろ」
「それがですね総理、どうも誰かに突き飛ばされたようなのです。 それにただ階段を転げ落ちた程度ではあり得ないダメージが遺体の頸椎に見られるとのことです 」
「なんだと? では誰か犯人を見たのか?」
「いいえ。誰もそのような者は見ておりません」
「ふむ……まぁいい。ではその件も含めて閣議を進めるとしよう」
それから改めて八件の事件の概要が説明された。屠塚、蚊藤については読者の知る通り、以下は青忌から国素までの六件の事件のあらましである。
今まで「さん」づけで呼んでいた自分より年下の相手を初めて「君」づけで呼べたことに震えるほど感動していた。
閣僚たちはそんな亜婆の気持ちをわかるはずもなく、「総理、お察しします」「残念です、総理」などと口にしていた。
「で、どうなのかね、殺害された状況は。今までと同じように寝室でなのかね」
青忌、涜原、野群、靺田、山済の五名は、いずれも寝室で首をへし折られて殺されたのだ。
そう、これまでの五件の犯行は全て被害者の寝室で行われていた。
寝室にまで警護が入るのはさすがにOB誰もが断ったのだ。
「いいえ、総理。国素元Z務事務次官の場合は階段から落ちて首の骨を折ったようです」
沈痛な面持ちで国家公安委員長が答えた。
なにぃ! 階段から落ちて首の骨を折っただってぇ? う、うひ、うひひひ……
ただ死んでくれるだけでも嬉しい大嫌いな奴がそんな死に様だったのを聞いて思わず吹き出しそうになるのを決壊寸前のダムのように耐えた。
亜婆が鬼のような形相で顔を真っ赤にして額とこめかみに血管を浮き上がらせて震えているのを、またしても凶行がが起きてしまったことへの慚愧の念の現れと閣僚たちは受け取った。
……待てよ、それが何で殺された、という言い方になる?
当然の疑問が頭をもたげ、亜婆は笑いをこらえる努力から解放された。
「君ぃ、それは殺されたとは言わんだろ」
「それがですね総理、どうも誰かに突き飛ばされたようなのです。 それにただ階段を転げ落ちた程度ではあり得ないダメージが遺体の頸椎に見られるとのことです 」
「なんだと? では誰か犯人を見たのか?」
「いいえ。誰もそのような者は見ておりません」
「ふむ……まぁいい。ではその件も含めて閣議を進めるとしよう」
それから改めて八件の事件の概要が説明された。屠塚、蚊藤については読者の知る通り、以下は青忌から国素までの六件の事件のあらましである。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる