超人ゾンビ

魚木ゴメス

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 メンバー全員がZ務事務次官経験者で構成されるその会は、その存在を知る一部の者からは『天人会てんじんかい』と呼ばれていた。

「屠塚のときは個人的な恨みの犯行と思ったが」

「蚊藤さんもやられたし、どうやら本気で我々を狙っているようだな」

「どこのキチガイだ全く」

「世間では世直し、天誅だなどと言っているそうな」

「愚かな下級国民どもがふざけたこと抜かしおって。まだまだ増税が足りぬわ」

「何でも神出鬼没で、蚊藤さんなど何人も警護がいたのに誰も侵入に気付かなかったらしい」

「馬鹿な。大方おおかた中途半端な連中を雇っていたんだろ」

「今回我々が集まったのは他でもない、その警護についてだ。総理が動いてくれた。警察と陸自からそれぞれ凄腕の特殊部隊員を送ってくれることになった。全員に銃器を携行させ、犯人射殺許可も与えてある。我々一人につき五人ずつだ」

「五人も必要かね」

「用心に越したことはなかろう」

「彼らは、あらゆる事態を想定した最高レベルの対テロ特殊訓練を積んでいる者や、政府は認めないが要人暗殺や海外での破壊工作にも従事している者など、いずれも一騎当千のプロばかりだ。件のキチガイ、個人か複数か知らんが、次に我々の誰かを狙うときが奴の最後だ。なるべくなら生きたまま捕らえて、口を割らせて背景を全部明らかにした上で、屠塚と蚊藤さんの無念を晴らすべく、筆舌に尽くし難い拷問を加えて、この世に生まれて来たことを死ぬほど後悔させながらなぶり殺しにしてくれる」

「フフフ、誰が当たりくじを引くのかな」

「どうです、次に奴が狙うのがこの中の誰かひとつトトカルチョといきませんか」

「そりゃあいい。最初、屠塚だったんで次はてっきり国素君だと思ったんだが、年齢順じゃないんだな」

「そのほうが我々も賭け甲斐があるってもんでしょう」

「そりゃそうだ」

 一同大爆笑。こうして会合はお開きとなった。
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