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悦子が蚊藤を見た。
え? 緊急ボタン? 何それ? という顔であった。
と見る間に不安がその面に表れた。
蚊藤はボタンに右手人差し指を当てたまま、さきほど心の中で悦子とTに対して必ず実行すると決めた処刑方法を声高らかに宣言した。
悦子の顔が蒼白に変わり、おこりにかかったように震えだした。
「わっはっは! 何だそのざまは! 悦子! 今さらどう後悔しても遅いぞ! わしをこけにしおってこの腐れ母乳ブタがっ!」
蚊藤は気分が良かった。だがまだ半分の気持ち良さだ。
Tはまだ飲乳を続けている。
「おいおまえっ! いつまで乳吸っとるんじゃこのガキャ! こっちを向けと! 言っとるだろがぁっ!」
怒鳴りながらも指はまだボタンを押し込んではいなかった。
二人の生殺与奪を握っているこの状況をしばらく楽しみたい気分だった──
とそこまでの展開を頭に思い描いたところで蚊藤は妄想をやめた。
妄想の通りにした場合、自分の配下が部屋になだれ込んでくる前に他ならぬ自分が人質に取られる可能性がある。しかもこの男の怪力なら最悪、自分の首をへし折るだろう。やはり、このまま黙ってボタンを押し込むのがベストだ。まず配下にこの部屋を急襲させ男を制圧してから、さっきの妄想の続きをやればいい。いやこの母乳横取り野郎だけは必ずこの場で八つ裂きにして、その様を悦子に見せつけてやり、悦子については日を改めてなぶり尽くす。ひょっとしたら悦子は心を入れ換えるかもしれない。元より意思の弱い、そして愚かな女だ。雌の本能で躊躇いもなく主である自分を捨て若い男に乗り換えた過ちを血涙を流して猛省し、今度こそ誠心誠意、自分に仕える母乳奴隷になるだろう──そう考え直した。
蚊藤にしても人生で最高の母乳奴隷である悦子をこのまま廃棄処分にするのは忍びなかった。
芸は身を助ける、か。悦子の場合は母乳だから水芸じゃな! フフフ……
蚊藤は好色そのものといった笑みを浮かべた。
よし、押すぞ!
そう思った瞬間、大太鼓を思いきり一発叩いたときに生じる空気の振動のようなものを感じた。
あれ?
非常ボタンが作動しない。
指はボタンを押しきってはいなかった。
半ばで止まっていた。
誰かが自分の右手首をがっちり掴んでいた。
なにぃ~っ!
自分の意思とは無関係にそのままゆっくりと引き抜かれた。
「な~にしてんだい爺さん。オレのお楽しみタイムが終わるまで待ってられねえか? あん?」
色気のある男の声だった。
乳臭い息だった。
信じ難いことだった。
どっと脂汗が全身から吹き出した。
脈拍がドラムロールになった。
いつの間にわしの背後に? なぜ飲乳を中断した? まさか、わしの意図に気付いたのか? そんなはずはない!
背後から地鳴りのような空気を振動させる音が聞こえてくる気がした。
母乳横取り野郎・Tがそこにいた。
口から心臓が飛び出るほどの驚愕。
だがボタンは目の前だ。
左手で!
思った瞬間左手も掴まれた。
なっ、なぜぇ~っ!
そのまま捕まった宇宙人のように吊り上げられた。
え? 緊急ボタン? 何それ? という顔であった。
と見る間に不安がその面に表れた。
蚊藤はボタンに右手人差し指を当てたまま、さきほど心の中で悦子とTに対して必ず実行すると決めた処刑方法を声高らかに宣言した。
悦子の顔が蒼白に変わり、おこりにかかったように震えだした。
「わっはっは! 何だそのざまは! 悦子! 今さらどう後悔しても遅いぞ! わしをこけにしおってこの腐れ母乳ブタがっ!」
蚊藤は気分が良かった。だがまだ半分の気持ち良さだ。
Tはまだ飲乳を続けている。
「おいおまえっ! いつまで乳吸っとるんじゃこのガキャ! こっちを向けと! 言っとるだろがぁっ!」
怒鳴りながらも指はまだボタンを押し込んではいなかった。
二人の生殺与奪を握っているこの状況をしばらく楽しみたい気分だった──
とそこまでの展開を頭に思い描いたところで蚊藤は妄想をやめた。
妄想の通りにした場合、自分の配下が部屋になだれ込んでくる前に他ならぬ自分が人質に取られる可能性がある。しかもこの男の怪力なら最悪、自分の首をへし折るだろう。やはり、このまま黙ってボタンを押し込むのがベストだ。まず配下にこの部屋を急襲させ男を制圧してから、さっきの妄想の続きをやればいい。いやこの母乳横取り野郎だけは必ずこの場で八つ裂きにして、その様を悦子に見せつけてやり、悦子については日を改めてなぶり尽くす。ひょっとしたら悦子は心を入れ換えるかもしれない。元より意思の弱い、そして愚かな女だ。雌の本能で躊躇いもなく主である自分を捨て若い男に乗り換えた過ちを血涙を流して猛省し、今度こそ誠心誠意、自分に仕える母乳奴隷になるだろう──そう考え直した。
蚊藤にしても人生で最高の母乳奴隷である悦子をこのまま廃棄処分にするのは忍びなかった。
芸は身を助ける、か。悦子の場合は母乳だから水芸じゃな! フフフ……
蚊藤は好色そのものといった笑みを浮かべた。
よし、押すぞ!
そう思った瞬間、大太鼓を思いきり一発叩いたときに生じる空気の振動のようなものを感じた。
あれ?
非常ボタンが作動しない。
指はボタンを押しきってはいなかった。
半ばで止まっていた。
誰かが自分の右手首をがっちり掴んでいた。
なにぃ~っ!
自分の意思とは無関係にそのままゆっくりと引き抜かれた。
「な~にしてんだい爺さん。オレのお楽しみタイムが終わるまで待ってられねえか? あん?」
色気のある男の声だった。
乳臭い息だった。
信じ難いことだった。
どっと脂汗が全身から吹き出した。
脈拍がドラムロールになった。
いつの間にわしの背後に? なぜ飲乳を中断した? まさか、わしの意図に気付いたのか? そんなはずはない!
背後から地鳴りのような空気を振動させる音が聞こえてくる気がした。
母乳横取り野郎・Tがそこにいた。
口から心臓が飛び出るほどの驚愕。
だがボタンは目の前だ。
左手で!
思った瞬間左手も掴まれた。
なっ、なぜぇ~っ!
そのまま捕まった宇宙人のように吊り上げられた。
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