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一年前、丸の内にある企業で出産後すぐに働き始めていた悦子は、極上の母乳奴隷を探していた蚊藤の網にかかったのだった。
まず些細な仕事のミスを理由に悦子を解雇させた。
次に悦子の夫にハニートラップを仕掛けセックス動画を撮り、それを悦子宛で自宅に送りつけた。
修羅場になるや夫はハニートラップの相手に唆され、夫婦の蓄えが入った預金通帳、カード、実印と共に行方不明になった。
悦子には新婚早々夫婦で購入したマンションの三十五年ローンが残った。
同時進行で悦子の両親に詐欺を仕掛け全財産を奪い、その数日後事故に見せかけ実家ごと焼き殺した。
悦子は乳飲み子を抱えて経済的にも精神的にも孤立無援の状態に陥った。
そこへ蚊藤の提案が届いた。自分の世話をするなら全て面倒を見ると。
こうして悦子は蚊藤の母乳奴隷になった。
乳飲み子は女の子だったのでアメリカに養子にやった。
男の子だったらどうしていたかは言うまでもない。
いやはっきり言おう、男の子だったら問答無用で殺していた。
母乳奴隷の常磐に免じて子の義経を生かしておいた平清盛と同じ愚を犯す気は蚊藤にはなかった。
その悦子が蚊藤に牙を剥いた。
「悦子っ! きさま何さらすんじゃ!」
悦子は蚊藤に見向きもしないで、うっとりとした顔でTに授乳している。
ガラガラを投げつけたときでさえ、蚊藤を見ていなかったかもしれない。
「おいっ! 悦子っ! きさまわしにどれだけ恩義があると思っとるんじゃ!」
実際には恩義など何もなく、蚊藤に罠に嵌められて母乳奴隷に身をやつしているわけだが、しかし悦子には蚊藤の声は全く届いていないようで あった。
聞こえていないわけがなかった。
聞こえているが、完全に無視を決め込んでいるのだった。
「こ、この……」
信じられなかった。
いきなり職場を首にされ、幸せな新婚生活を壊され、実家ごと両親を焼き殺され、愛する乳飲み子も取り上げられ、それでも生きるために蚊藤の母乳奴隷として忠誠を誓った悦子であった。
一度だけ蚊藤は癇癪を起こして、今回のように悦子を怒鳴りつけたことがあった。
そのとき悦子は身も世もない有様で額を絨毯に擦りつけ、泣いて赦しを請うたのだった。
その悦子が蚊藤の胴間声に全く動じていない。
まず些細な仕事のミスを理由に悦子を解雇させた。
次に悦子の夫にハニートラップを仕掛けセックス動画を撮り、それを悦子宛で自宅に送りつけた。
修羅場になるや夫はハニートラップの相手に唆され、夫婦の蓄えが入った預金通帳、カード、実印と共に行方不明になった。
悦子には新婚早々夫婦で購入したマンションの三十五年ローンが残った。
同時進行で悦子の両親に詐欺を仕掛け全財産を奪い、その数日後事故に見せかけ実家ごと焼き殺した。
悦子は乳飲み子を抱えて経済的にも精神的にも孤立無援の状態に陥った。
そこへ蚊藤の提案が届いた。自分の世話をするなら全て面倒を見ると。
こうして悦子は蚊藤の母乳奴隷になった。
乳飲み子は女の子だったのでアメリカに養子にやった。
男の子だったらどうしていたかは言うまでもない。
いやはっきり言おう、男の子だったら問答無用で殺していた。
母乳奴隷の常磐に免じて子の義経を生かしておいた平清盛と同じ愚を犯す気は蚊藤にはなかった。
その悦子が蚊藤に牙を剥いた。
「悦子っ! きさま何さらすんじゃ!」
悦子は蚊藤に見向きもしないで、うっとりとした顔でTに授乳している。
ガラガラを投げつけたときでさえ、蚊藤を見ていなかったかもしれない。
「おいっ! 悦子っ! きさまわしにどれだけ恩義があると思っとるんじゃ!」
実際には恩義など何もなく、蚊藤に罠に嵌められて母乳奴隷に身をやつしているわけだが、しかし悦子には蚊藤の声は全く届いていないようで あった。
聞こえていないわけがなかった。
聞こえているが、完全に無視を決め込んでいるのだった。
「こ、この……」
信じられなかった。
いきなり職場を首にされ、幸せな新婚生活を壊され、実家ごと両親を焼き殺され、愛する乳飲み子も取り上げられ、それでも生きるために蚊藤の母乳奴隷として忠誠を誓った悦子であった。
一度だけ蚊藤は癇癪を起こして、今回のように悦子を怒鳴りつけたことがあった。
そのとき悦子は身も世もない有様で額を絨毯に擦りつけ、泣いて赦しを請うたのだった。
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