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「本題に戻ろうか」
村西はおもむろに口を開く。
脱線しかけた話の流れを元に戻す。
もうたくさんだ。
上からの指示があろうが、これ以上Tの戯言に付き合う気はなかった。
「一体どうやって殺す対象を決めた? どうやって彼らの家に侵入した?」
Tはその鋭く大きい目付きをした内裏雛のような顔に凄絶なまでに妖艶な笑みを浮かべた。
「これ以上オレの戯言に付き合う気はないってか。そりゃそうだ。こんなしょうもない話、聞いてるほうとしちゃあ、いい加減、忍耐の限界だよなぁ。以上、連続殺人アーンド強姦をする前のオレの心境の吐露、ご清聴いただき光栄のいったりきたり……オレが喋ったことは全部四年前のオレが考えてたことだから、今のオレが言うと意味がわからないところが多々あったことはお詫びしよう。……なんだその鳩が豆鉄砲を食ったような顔は? 言ってなかったか? ま、あんたら警察が知りたいのはそこじゃないから別にいいだろう? オレとしては長年溜まっていた心の澱を一気に吐き出せてスッキリしたぜ。……わかってる、話すよ。殺す対象は最初から歴代Z務事務次官と決めていた。あいつらが日本の元凶だからな。深層ウェブで住所を調べて、まず現職から殺ることにして、あとの順番はあみだくじで決めた。生きてる奴はほぼ全員東京住みで、遠くても横浜とかだったんで、こっちとしては殺るのに都合が良かったぜ。やっぱあれかな、ステイタスっていうのかな、上級国民の中の上級国民たるZ務事務次官OBとしては、自分が生きてる間は東京に住んでいたいのかね。あとOB全員王侯貴族かよっていうくらいの豪邸で驚いた。退官するまでは中くらいの家に住んでるくせによ。退官した後はどんなに高級だろうがマンションみたいな集合住宅には決して住まず全員一戸建てなのも、上級国民の中の上級国民たるZ務事務次官OBとしての矜恃なのかね。ん? どうやっ て家に侵入したか、それを言う前にあいつらがそんときどんな様子だったか、それを先に言おう。別にいいだろ? どうせ全部話すんだ。何も問題はない。一人目。Z務省事務次官・屠塚(とつか)の場合──」
以下の記述は島田記録係の調書に基づく。
というのも、Tの証言をそのまま載せるのは余りにも生々しく、おぞましく、不必要に官能的になってしまうからだ。
超凶悪殺人鬼の極めつけのグロエロ話──なぜグロが先なのか、それはグロ度九〇パーセント、エロ度一〇パーセントだからだ──を股間をいきり立たせ、またはしとどに濡れそぼらせながら読んでしまっては、読者としても人間失格になったようでいたたまれまいと思っての配慮だ。
村西はおもむろに口を開く。
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もうたくさんだ。
上からの指示があろうが、これ以上Tの戯言に付き合う気はなかった。
「一体どうやって殺す対象を決めた? どうやって彼らの家に侵入した?」
Tはその鋭く大きい目付きをした内裏雛のような顔に凄絶なまでに妖艶な笑みを浮かべた。
「これ以上オレの戯言に付き合う気はないってか。そりゃそうだ。こんなしょうもない話、聞いてるほうとしちゃあ、いい加減、忍耐の限界だよなぁ。以上、連続殺人アーンド強姦をする前のオレの心境の吐露、ご清聴いただき光栄のいったりきたり……オレが喋ったことは全部四年前のオレが考えてたことだから、今のオレが言うと意味がわからないところが多々あったことはお詫びしよう。……なんだその鳩が豆鉄砲を食ったような顔は? 言ってなかったか? ま、あんたら警察が知りたいのはそこじゃないから別にいいだろう? オレとしては長年溜まっていた心の澱を一気に吐き出せてスッキリしたぜ。……わかってる、話すよ。殺す対象は最初から歴代Z務事務次官と決めていた。あいつらが日本の元凶だからな。深層ウェブで住所を調べて、まず現職から殺ることにして、あとの順番はあみだくじで決めた。生きてる奴はほぼ全員東京住みで、遠くても横浜とかだったんで、こっちとしては殺るのに都合が良かったぜ。やっぱあれかな、ステイタスっていうのかな、上級国民の中の上級国民たるZ務事務次官OBとしては、自分が生きてる間は東京に住んでいたいのかね。あとOB全員王侯貴族かよっていうくらいの豪邸で驚いた。退官するまでは中くらいの家に住んでるくせによ。退官した後はどんなに高級だろうがマンションみたいな集合住宅には決して住まず全員一戸建てなのも、上級国民の中の上級国民たるZ務事務次官OBとしての矜恃なのかね。ん? どうやっ て家に侵入したか、それを言う前にあいつらがそんときどんな様子だったか、それを先に言おう。別にいいだろ? どうせ全部話すんだ。何も問題はない。一人目。Z務省事務次官・屠塚(とつか)の場合──」
以下の記述は島田記録係の調書に基づく。
というのも、Tの証言をそのまま載せるのは余りにも生々しく、おぞましく、不必要に官能的になってしまうからだ。
超凶悪殺人鬼の極めつけのグロエロ話──なぜグロが先なのか、それはグロ度九〇パーセント、エロ度一〇パーセントだからだ──を股間をいきり立たせ、またはしとどに濡れそぼらせながら読んでしまっては、読者としても人間失格になったようでいたたまれまいと思っての配慮だ。
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