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11.浮気
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ヴィクトリアがドアの外へ出るとディックがルイーズの従者に拘束され、うなだれていた。
「ねえ、あなたとこの男の関係を教えてくれる?」
「知りませんわ、そんな男」
「そんな! 俺はその女に唆されて、金の時計を盗むようにエレンに伝えたんだよ! 今更、知らねえなんて卑怯だぞ」
「黙りなさい! どこにそんな証拠があるって言うの! ルイーズ様もこんな男の言うことを信じるのですか? そもそも、あのメイドとこの男が企んだこと、私を疑うなんて筋違いです!!!」
「ふ~ん、では何故、この男が金時計のことを知ってたんでしょうね?」
「……知りませんわ、そんなこと……」
「俺はこの女から全て聞いたぞ! 金時計が王家からの賜り物だってなぁ!」
「黙りなさいっと言っているでしょう!」
ヴィクトリアは激高の余り、大声を上げてディックを威嚇する。
「あらあら、立派な教唆じゃない。まあ、この男の身柄はお父様に引き渡すとして……」
「おい! どこに連れて行く! 俺はあの女に唆されて……」
ディックは屈強なルイーズの従者に連行されいった。ルイーズは余計な者が去ったことでヴィクトリアにエレンの様子を伝える。
「あの子……本当に泣いていたわ。望んで浮気を……いいえ、あのごろつきに無理矢理、犯されて、口止めに関係を強要された可哀想な子……弟には少し早かったかもしれないけど、彼女を必死に慰めていたの」
「ただの女が男に手込めにされただけの話でしょう。どこにでもあることだわ。ルイーズ様までそんな三文芝居に騙されると仰るのですか!?」
「どうでしょうね……そうそう、最近思い出したのよ。あなたが学院にいた頃に付き合っていた男の名前……確かセシルだったわよね?」
「それがどうしたと言うのです、そんなこと今は関係ないでしょう!」
「いいえ、何故思い出したか分かる? 分からないかもしれないから、教えて上げる」
ルイーズがそう言うと、後ろに控えていた目付きの鋭い男が一歩前に出て、ヴィクトリアに一礼する。
「私の夫マークスの部下に探らしていたのよ。彼らは優秀よね。外国からの密偵を上手く摘発するんだもの。彼らから連絡をもらい、外から見張っていると彼がここに入って行くじゃない。驚いたわ」
「私はだだ……昔を懐かしんで話していただけです!」
今はただの友人であり、関係はないと言い張ろうする。だが、ルイーズには全く通じなかった。
「そうなのね……そんなに愛されながら、ベッドで昔を語り合うのはさぞかし、幸せな時間でしょうね。ついているわよ、キスマーク」
ハッとして、廊下の鏡で首筋を確認するとくっきりと口付けで付けられた痣が残っていた。
「弟と婚約しようとする令嬢が浮気してるなんて、父が何て言うでしょうね。今日は時計が戻ってきたことだし、帰るわ。精々、最後の逢瀬を楽しむことね」
ルイーズはヴィクトリアの悪事を全て掴み、悠々と伯爵家をあとにした。ヴィクトリアの両親である伯爵夫妻に伝えて……
「ねえ、あなたとこの男の関係を教えてくれる?」
「知りませんわ、そんな男」
「そんな! 俺はその女に唆されて、金の時計を盗むようにエレンに伝えたんだよ! 今更、知らねえなんて卑怯だぞ」
「黙りなさい! どこにそんな証拠があるって言うの! ルイーズ様もこんな男の言うことを信じるのですか? そもそも、あのメイドとこの男が企んだこと、私を疑うなんて筋違いです!!!」
「ふ~ん、では何故、この男が金時計のことを知ってたんでしょうね?」
「……知りませんわ、そんなこと……」
「俺はこの女から全て聞いたぞ! 金時計が王家からの賜り物だってなぁ!」
「黙りなさいっと言っているでしょう!」
ヴィクトリアは激高の余り、大声を上げてディックを威嚇する。
「あらあら、立派な教唆じゃない。まあ、この男の身柄はお父様に引き渡すとして……」
「おい! どこに連れて行く! 俺はあの女に唆されて……」
ディックは屈強なルイーズの従者に連行されいった。ルイーズは余計な者が去ったことでヴィクトリアにエレンの様子を伝える。
「あの子……本当に泣いていたわ。望んで浮気を……いいえ、あのごろつきに無理矢理、犯されて、口止めに関係を強要された可哀想な子……弟には少し早かったかもしれないけど、彼女を必死に慰めていたの」
「ただの女が男に手込めにされただけの話でしょう。どこにでもあることだわ。ルイーズ様までそんな三文芝居に騙されると仰るのですか!?」
「どうでしょうね……そうそう、最近思い出したのよ。あなたが学院にいた頃に付き合っていた男の名前……確かセシルだったわよね?」
「それがどうしたと言うのです、そんなこと今は関係ないでしょう!」
「いいえ、何故思い出したか分かる? 分からないかもしれないから、教えて上げる」
ルイーズがそう言うと、後ろに控えていた目付きの鋭い男が一歩前に出て、ヴィクトリアに一礼する。
「私の夫マークスの部下に探らしていたのよ。彼らは優秀よね。外国からの密偵を上手く摘発するんだもの。彼らから連絡をもらい、外から見張っていると彼がここに入って行くじゃない。驚いたわ」
「私はだだ……昔を懐かしんで話していただけです!」
今はただの友人であり、関係はないと言い張ろうする。だが、ルイーズには全く通じなかった。
「そうなのね……そんなに愛されながら、ベッドで昔を語り合うのはさぞかし、幸せな時間でしょうね。ついているわよ、キスマーク」
ハッとして、廊下の鏡で首筋を確認するとくっきりと口付けで付けられた痣が残っていた。
「弟と婚約しようとする令嬢が浮気してるなんて、父が何て言うでしょうね。今日は時計が戻ってきたことだし、帰るわ。精々、最後の逢瀬を楽しむことね」
ルイーズはヴィクトリアの悪事を全て掴み、悠々と伯爵家をあとにした。ヴィクトリアの両親である伯爵夫妻に伝えて……
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