8 / 14
8.過去の過ち
しおりを挟む
私が街へ買い出しに出掛けたときでした。
「よお、エレン……久しぶりだなぁ」
「ディック!」
昼間から、お酒の匂いを漂わせ、私の肩に触れてきたのです。事故とはいえ、あんなことがあったのに……
「もう、あなたとはお付き合い致しません。手を退けて下さい」
「お前、随分と上手くやったなぁ~、公爵家に入って、ガキに気に入られるなんて、全く大した玉だぜ」
「なぜ、そのことを……」
「舐めてもらっちゃあ、困るぜ。なあ、そこでよぉ、頼みがあるんだが……」
「いやです! どうして、私があなたの頼みなんて利かなくちゃならないんですか! 金輪際、私に関わらないで」
「お~っと、俺にそんな口利いても良いのかぁ~? 公爵様に洗い晒い話ちまうぜ、お前が旦那に隠れて、俺と浮気してたとんでもない淫乱女だってことをよぉ、くっくっくっ……」
「お願いですから……そのことは……」
「だったら、俺の言うことを利け。なあ~に悪いようにはしねえって」
「はい……」
――――酒場の片隅。
「まあ、座れって」
酒場の隅の席に連れていかれ、話を持ち掛けられました。
「公爵家にはなぁ、王家から賜った金時計があるらしいんだよぉ。そいつをちゃちゃっとくすねて来てもらいてえんだな」
「そんな物……どこにあるのか知りません」
「ガキに聞きゃ~すぐ分かんだろ。随分とエレン、エレンって懐いてるらしいじゃねえか。なあ、俺とお前の仲だろ、また、俺としっぽりやろうぜ」
怒りと同時に吐き気が込み上げたのですが、何もすることが出来ず……
「もう、これで最後にして下さい……」
「まあ、考えといてやるよ。頼んだぜ~」
昼間からエールを飲み散らかすディックの側を離れ、お屋敷へ戻ってきました。
「お帰り、エレン。あんた、どうしたんだい? 顔色が優れないようだけど……もう、ここはあたしらに任せて、上がんなって」
「ありがとうございます……」
「無理すんじゃないよ!」
余程、私の顔色が悪かったのか、アンナさんから仕事を早めに切り上げるよう仰って頂き、直ぐに部屋に籠もったのです。じっとしていると忌まわしい過去が頭をもたげてきました。
◆
――――私がかつて犯した過ち……
コンコン、コンコン。
「随分と早く戻ってきてくれたのね!」
長旅から戻ったゲオルグを出迎えようと扉を開けたときです。
「残念、俺でしたぁ~」
「ディック!?」
討伐に遠征していた夫が予定より早く戻ってきたと思って、扉を開けてしまったのが全ての間違いでした。
「エレン……ゲオルグが居なくて、溜まってんだろ? 俺が慰めてやっから、どうだ? もちろん、あいつには内緒だ」
「いやです! 私は彼の妻なんですから!」
「は~ん、俺は知ってるぜ。お前が夜な夜な自分で慰めてるってな」
「違います。私はそんなこと……」
「そんな強がるなって、もっと自分に正直になれよ。女慣れしてねえ、あいつより気持ち良くさせてやるからよぉ」
拒んでいるにも拘わらず、ディックに無理矢理ベッドに押し倒され、キスされてしまい……
「止めて! 止めてったら!」
「おお~、止めてって言いながら、なんだぁ? 下着が湿ってるのはどういうこった? くっくっくっ……」
私に馬乗りになって、下着の上から嫌らしい手付きで愛撫してきたのです。その手は止まることなく、下着の中へと滑り込み……
あっ! あうん!
悟られるのが嫌で声を押し殺しましたが陰核に指の腹が当たり、気持ち良さに抗えなかったのです。
こんな男に……私は……
気付くと彼の肉棒が私の膣内を穿っていました。心が抗おうと思えば思うほど、身体が快楽に堕ちていってしまう。彼に犯されている時間は地獄そのものでした。
ゲオルグ……許して……
こんな男に犯されているのに淫らな声を……
感じてしまったことを……
「そんな泣くなって、気持ち良ったろ?」
「もう、家に来るのは止めて下さい!」
「くくく……笑わせやがる。お前はもう不貞の人妻なんだよ。お前が俺に突かれて、ヨガってたことをゲオルグにチクッたら、どうなることやら……」
(私を愛してくれたゲオルグにだけは知られたくない……)
「お願いですから、それだけは止めて下さい……」
「だったら、どうすりゃ良いか分かってるよなぁ……」
「はい……」
バシャァァァーーー!!!
ディックが家から去ったあと、外が寒いにも拘わらず、井戸の水を汲み上げ、下着のまま桶に並々と汲んだ冷水を浴びました。
夫を裏切ってしまったこと……
身体が他の男に汚されてしまったこと……
何度、冷水を浴びようとも私の身体から気持ち悪さが消え失せることはなかったのです……
それからというもの、ディックはゲオルグが不在のときに現れ、彼との関係を強要されてしまうのでした。
「よお、エレン……久しぶりだなぁ」
「ディック!」
昼間から、お酒の匂いを漂わせ、私の肩に触れてきたのです。事故とはいえ、あんなことがあったのに……
「もう、あなたとはお付き合い致しません。手を退けて下さい」
「お前、随分と上手くやったなぁ~、公爵家に入って、ガキに気に入られるなんて、全く大した玉だぜ」
「なぜ、そのことを……」
「舐めてもらっちゃあ、困るぜ。なあ、そこでよぉ、頼みがあるんだが……」
「いやです! どうして、私があなたの頼みなんて利かなくちゃならないんですか! 金輪際、私に関わらないで」
「お~っと、俺にそんな口利いても良いのかぁ~? 公爵様に洗い晒い話ちまうぜ、お前が旦那に隠れて、俺と浮気してたとんでもない淫乱女だってことをよぉ、くっくっくっ……」
「お願いですから……そのことは……」
「だったら、俺の言うことを利け。なあ~に悪いようにはしねえって」
「はい……」
――――酒場の片隅。
「まあ、座れって」
酒場の隅の席に連れていかれ、話を持ち掛けられました。
「公爵家にはなぁ、王家から賜った金時計があるらしいんだよぉ。そいつをちゃちゃっとくすねて来てもらいてえんだな」
「そんな物……どこにあるのか知りません」
「ガキに聞きゃ~すぐ分かんだろ。随分とエレン、エレンって懐いてるらしいじゃねえか。なあ、俺とお前の仲だろ、また、俺としっぽりやろうぜ」
怒りと同時に吐き気が込み上げたのですが、何もすることが出来ず……
「もう、これで最後にして下さい……」
「まあ、考えといてやるよ。頼んだぜ~」
昼間からエールを飲み散らかすディックの側を離れ、お屋敷へ戻ってきました。
「お帰り、エレン。あんた、どうしたんだい? 顔色が優れないようだけど……もう、ここはあたしらに任せて、上がんなって」
「ありがとうございます……」
「無理すんじゃないよ!」
余程、私の顔色が悪かったのか、アンナさんから仕事を早めに切り上げるよう仰って頂き、直ぐに部屋に籠もったのです。じっとしていると忌まわしい過去が頭をもたげてきました。
◆
――――私がかつて犯した過ち……
コンコン、コンコン。
「随分と早く戻ってきてくれたのね!」
長旅から戻ったゲオルグを出迎えようと扉を開けたときです。
「残念、俺でしたぁ~」
「ディック!?」
討伐に遠征していた夫が予定より早く戻ってきたと思って、扉を開けてしまったのが全ての間違いでした。
「エレン……ゲオルグが居なくて、溜まってんだろ? 俺が慰めてやっから、どうだ? もちろん、あいつには内緒だ」
「いやです! 私は彼の妻なんですから!」
「は~ん、俺は知ってるぜ。お前が夜な夜な自分で慰めてるってな」
「違います。私はそんなこと……」
「そんな強がるなって、もっと自分に正直になれよ。女慣れしてねえ、あいつより気持ち良くさせてやるからよぉ」
拒んでいるにも拘わらず、ディックに無理矢理ベッドに押し倒され、キスされてしまい……
「止めて! 止めてったら!」
「おお~、止めてって言いながら、なんだぁ? 下着が湿ってるのはどういうこった? くっくっくっ……」
私に馬乗りになって、下着の上から嫌らしい手付きで愛撫してきたのです。その手は止まることなく、下着の中へと滑り込み……
あっ! あうん!
悟られるのが嫌で声を押し殺しましたが陰核に指の腹が当たり、気持ち良さに抗えなかったのです。
こんな男に……私は……
気付くと彼の肉棒が私の膣内を穿っていました。心が抗おうと思えば思うほど、身体が快楽に堕ちていってしまう。彼に犯されている時間は地獄そのものでした。
ゲオルグ……許して……
こんな男に犯されているのに淫らな声を……
感じてしまったことを……
「そんな泣くなって、気持ち良ったろ?」
「もう、家に来るのは止めて下さい!」
「くくく……笑わせやがる。お前はもう不貞の人妻なんだよ。お前が俺に突かれて、ヨガってたことをゲオルグにチクッたら、どうなることやら……」
(私を愛してくれたゲオルグにだけは知られたくない……)
「お願いですから、それだけは止めて下さい……」
「だったら、どうすりゃ良いか分かってるよなぁ……」
「はい……」
バシャァァァーーー!!!
ディックが家から去ったあと、外が寒いにも拘わらず、井戸の水を汲み上げ、下着のまま桶に並々と汲んだ冷水を浴びました。
夫を裏切ってしまったこと……
身体が他の男に汚されてしまったこと……
何度、冷水を浴びようとも私の身体から気持ち悪さが消え失せることはなかったのです……
それからというもの、ディックはゲオルグが不在のときに現れ、彼との関係を強要されてしまうのでした。
0
お気に入りに追加
420
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる