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キャラダイスでの大事件
エリザベスの手紙
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・エリザベスの手紙
わたしの素敵な心のおねえさま、サラにあなたの心のいもうと、エリザベスが手紙を送ります。
季節は……いつもならサラの返事を待ってからのお手紙なので季節の挨拶がわからなかったわ。ごめんなさい。それと書き文字はまだまだ練習中なのでまだ口調が変かもしれませんけど許してほしいですわ。
でもね、とってもとっても素敵な報告があったから少しでも早く報告したくて、お手紙を出しました。
なんと、わたしも聖騎士の素質があったの! サラおねえさまとおそろいなの! とってもとっても嬉しくて嬉しくてまずはそれを報告したいと思ったわ。
本当なら数か月先にしかわからないことがわかったのも理由があるの。
サラおねえさまは空飛ぶ箒というものをみたことあるかしら? 最近のキャラダイスでは、タヌキの獣人の方がその空飛ぶ箒に乗ってたくさんの荷物を運んでいる姿をよくみるのよ。
そこで、わたしはおもったの。あの箒であればきっと遠くまで行ける。とっても優しいけれど堅苦しいお父様がわからない遠い遠い所まで行けると思ったの。そう、私は家出を決意したの。
これが届くころにはもうお姉さまもその事件のことは知っていることを思うと顔から火が出るほど恥ずかしく……たくさんの人に迷惑をかけたことを思い出して申し訳なくなってしまうの。
それでも、空飛ぶ箒に実際に乗った時のドキドキは素敵な思い出になっているわ。空の冷たい空気に、涙が出るかと思うほどに綺麗な夕陽。お姉さまにも私の見た風景を頭を開けて見せてあげたいわ。
そこからは色々あって、気が付いたらかんかんに怒ったお父様にたくさん叱られて、難しい会議にも出たわ。その会議でようやくわたしは自分のしてしまったことの重大さを思い知ったわ。わたしもなにかしなきゃ、なにか話さなきゃと思っても大人たちの迫力に負けて何も言えなかったわ。
そんななか、わたしを思い気遣ってくださった人がヤクモさんでしたわ。とっても優しい人でわたしの意見を聞いてくれただけじゃなく、わたしの気持ちにも賛同してくれてお父様たちを黙らせてしまったの。それだけじゃなくて、わたしの外出許可のようなものもとってくださったの。ヤクモさんは自分に乗ってもいいなんて言ってくれましたし、お顔もとっても優しそうで素敵なんです。きっと、物語の中に出てくる王子様ってあんな感じの人なんだと思うわ。
あ、何故分かったかの話だったわ。その時に、わたしがリッチーの声と姿が見えるとそこにいた死霊術ギルドのお姉さんが気が付いてくれたの。そしたら、お父様も大喜びしてしまって……
ただ、こんな事件があった後だからということで、発表はしばらく後にして、今は迷惑をかけたことをしっかり謝ることにしようということになったわ。だから、ひょっとしたらわたしたち意外ではサラおねえさまが最初にこのことをしることになるかもしれないわね。そうだったら素敵で嬉しいわ。
きっと、サラおねえさまのお手紙と入れ違いになると思うので、そのお手紙のお返事もすぐに出しますね。
あなたの心の妹、エリザベスより愛をこめて
~~~
「えっ!? エリザベスがわたくしと同じ聖騎士の素質が!! こんなにも嬉しいお知らせだとは思ってなかったわ」
薄いピンク色の髪を喜びで跳ねさせ、ボリュームのある胸やお尻もぴょんぴょんと揺らしながらエリザベスから来た手紙を読む少女。サラ・ホワイトラバーである。サラは最近、キャラダイスでエリザベスが大きなやらかしをしてしまい、大目玉を喰らい、今は罰として働いているという噂を聞いて大丈夫か心配していた。そんな時にエリザベスから手紙が届くものだから何か良からぬことが書いてあるのではと戦々恐々としながら手紙を開いたのだが、そこには嬉しい知らせが書いてあった。
にこにこの笑顔になったエリザベスだが手紙を読み進めていくうちにだんだんと顔色が悪くなってくる。
「ヤクモって誰!? 乗るってなに!? 変態なのかしら!?」
10歳の子が書く手紙である色々重要な情報が抜けて居たりする。リッチー=ヤクモ=空飛ぶ箒であるということが読み取れない手紙になってしまっている。サラはそこから読み取れる情報を必死に手繰っていくのだが、どうしたってそこが結びつくわけがないのである。
「それにリッチーってわたくしたちが束になって倒す魔物よね」
そんなのがエリザベスの近くにいるということにサラは不安を覚えた。サラはもうすでに正式な聖騎士である。
聖騎士の仕事は神の元へと還ろうとしない霊を打ち倒し、神の元へ送ることが仕事だ。死霊がたまっているところがあればそこまで赴き死霊を神の元へと送る。リッチーがいれば命を賭してでもそれを打ち倒さなければならない。
「すぐにでもエリザベスの所へ向かわないと……」
大抵のリッチーは恐ろしいガイコツ姿だったり、無理矢理生前の身体に憑依して腐肉の身体を引きずりながら魔法を行使する存在である。
「えぇ、すぐにでも向かうわよ……本当に」
サラはゆっくりと動き、ベッドの中へ潜り込み呼吸を整え震える体をなんとか鎮めようとする。
これは武者震いでは断じてない。怖いのである。聖騎士サラ……ほんのちょっぴり怖がりなキャラダイスの隣にあるホワイトラバーを修める貴族の娘。
たぶん、おそらく、きっと、早いうちにキャラダイスへ現れるであろう。
わたしの素敵な心のおねえさま、サラにあなたの心のいもうと、エリザベスが手紙を送ります。
季節は……いつもならサラの返事を待ってからのお手紙なので季節の挨拶がわからなかったわ。ごめんなさい。それと書き文字はまだまだ練習中なのでまだ口調が変かもしれませんけど許してほしいですわ。
でもね、とってもとっても素敵な報告があったから少しでも早く報告したくて、お手紙を出しました。
なんと、わたしも聖騎士の素質があったの! サラおねえさまとおそろいなの! とってもとっても嬉しくて嬉しくてまずはそれを報告したいと思ったわ。
本当なら数か月先にしかわからないことがわかったのも理由があるの。
サラおねえさまは空飛ぶ箒というものをみたことあるかしら? 最近のキャラダイスでは、タヌキの獣人の方がその空飛ぶ箒に乗ってたくさんの荷物を運んでいる姿をよくみるのよ。
そこで、わたしはおもったの。あの箒であればきっと遠くまで行ける。とっても優しいけれど堅苦しいお父様がわからない遠い遠い所まで行けると思ったの。そう、私は家出を決意したの。
これが届くころにはもうお姉さまもその事件のことは知っていることを思うと顔から火が出るほど恥ずかしく……たくさんの人に迷惑をかけたことを思い出して申し訳なくなってしまうの。
それでも、空飛ぶ箒に実際に乗った時のドキドキは素敵な思い出になっているわ。空の冷たい空気に、涙が出るかと思うほどに綺麗な夕陽。お姉さまにも私の見た風景を頭を開けて見せてあげたいわ。
そこからは色々あって、気が付いたらかんかんに怒ったお父様にたくさん叱られて、難しい会議にも出たわ。その会議でようやくわたしは自分のしてしまったことの重大さを思い知ったわ。わたしもなにかしなきゃ、なにか話さなきゃと思っても大人たちの迫力に負けて何も言えなかったわ。
そんななか、わたしを思い気遣ってくださった人がヤクモさんでしたわ。とっても優しい人でわたしの意見を聞いてくれただけじゃなく、わたしの気持ちにも賛同してくれてお父様たちを黙らせてしまったの。それだけじゃなくて、わたしの外出許可のようなものもとってくださったの。ヤクモさんは自分に乗ってもいいなんて言ってくれましたし、お顔もとっても優しそうで素敵なんです。きっと、物語の中に出てくる王子様ってあんな感じの人なんだと思うわ。
あ、何故分かったかの話だったわ。その時に、わたしがリッチーの声と姿が見えるとそこにいた死霊術ギルドのお姉さんが気が付いてくれたの。そしたら、お父様も大喜びしてしまって……
ただ、こんな事件があった後だからということで、発表はしばらく後にして、今は迷惑をかけたことをしっかり謝ることにしようということになったわ。だから、ひょっとしたらわたしたち意外ではサラおねえさまが最初にこのことをしることになるかもしれないわね。そうだったら素敵で嬉しいわ。
きっと、サラおねえさまのお手紙と入れ違いになると思うので、そのお手紙のお返事もすぐに出しますね。
あなたの心の妹、エリザベスより愛をこめて
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「えっ!? エリザベスがわたくしと同じ聖騎士の素質が!! こんなにも嬉しいお知らせだとは思ってなかったわ」
薄いピンク色の髪を喜びで跳ねさせ、ボリュームのある胸やお尻もぴょんぴょんと揺らしながらエリザベスから来た手紙を読む少女。サラ・ホワイトラバーである。サラは最近、キャラダイスでエリザベスが大きなやらかしをしてしまい、大目玉を喰らい、今は罰として働いているという噂を聞いて大丈夫か心配していた。そんな時にエリザベスから手紙が届くものだから何か良からぬことが書いてあるのではと戦々恐々としながら手紙を開いたのだが、そこには嬉しい知らせが書いてあった。
にこにこの笑顔になったエリザベスだが手紙を読み進めていくうちにだんだんと顔色が悪くなってくる。
「ヤクモって誰!? 乗るってなに!? 変態なのかしら!?」
10歳の子が書く手紙である色々重要な情報が抜けて居たりする。リッチー=ヤクモ=空飛ぶ箒であるということが読み取れない手紙になってしまっている。サラはそこから読み取れる情報を必死に手繰っていくのだが、どうしたってそこが結びつくわけがないのである。
「それにリッチーってわたくしたちが束になって倒す魔物よね」
そんなのがエリザベスの近くにいるということにサラは不安を覚えた。サラはもうすでに正式な聖騎士である。
聖騎士の仕事は神の元へと還ろうとしない霊を打ち倒し、神の元へ送ることが仕事だ。死霊がたまっているところがあればそこまで赴き死霊を神の元へと送る。リッチーがいれば命を賭してでもそれを打ち倒さなければならない。
「すぐにでもエリザベスの所へ向かわないと……」
大抵のリッチーは恐ろしいガイコツ姿だったり、無理矢理生前の身体に憑依して腐肉の身体を引きずりながら魔法を行使する存在である。
「えぇ、すぐにでも向かうわよ……本当に」
サラはゆっくりと動き、ベッドの中へ潜り込み呼吸を整え震える体をなんとか鎮めようとする。
これは武者震いでは断じてない。怖いのである。聖騎士サラ……ほんのちょっぴり怖がりなキャラダイスの隣にあるホワイトラバーを修める貴族の娘。
たぶん、おそらく、きっと、早いうちにキャラダイスへ現れるであろう。
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