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本編
76.「それでそれで?今度は何の事件かなっ」
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「あー、リルア……リ、リル……あった、これか」
「……?どうしたの、フィル」
次の日。朝起きるなり城から取り寄せた厚い辞典を開き、リルアの毒鋼について調べ直すフィル。咲夜の質問を話半分に聞きつつ、今しがた見つけたページを見せた。
「リルアの毒鋼……?絶対零度で液体って、こんなのありえないよ」
「残念ながらあるんだ。……”リルアの毒鋼に触れてしまった者の記憶を取り戻す方法は一つしかない。又、成功率も低く唯一の成功者も一ヶ月ほどの記憶が無くなったままである”」
「”その方法とは不死鳥の涙3滴にリルアの原液を色が薄紫になるまで入れ、純水の中で結晶化させる。それを記憶を失った者の1番愛していた人物、愛されていた人物の口移しで取り込ませる”……おとぎ話にありそうだけど、一体どういうして調べたの?」
「この危険物質が何か小さな物に加工された上で、リザリス王女の手の内にあるんだよ。しかもそれを誰かに使う気だ」
昨日聞いたことを掻い摘んで説明し終えたところで、咲夜が何かを察してため息をついた。そしてベランダに出て何をするかと思えば、高らかに口笛を鳴らす。
「サクヤ、何を?」
「どうせ私達が狙われてるんでしょ?触らないのが一番だけど、万が一はあるしね」
「ん?……あぁ、そういうことか」
咲夜の説明を聞いてなお首をかしげていたフィルだが、空を見て納得する。青空にポツンと、紅と金の美しい鳥がこちらに飛んでくるのだ。
「フォークス!また大きくなったの?あんまり食べすぎちゃダメって言ったのに」
「くるるっ」
もー、などと怒りながらもフォークスの頭を優しく撫でてやる咲夜。フォークスのほうも金の嘴を咲夜に擦り寄せ甘え、黒い瞳も嬉しそうにキラキラしている。
「フォークスを近くに置いておくのか?」
「うん、私の口笛が聞こえる範囲にね。連れ立って歩くにはちょっと目立つし。フォークス、分かった?」
「くるるっ」
もちろん、とでも言うように鳴いたフォークス。そのままパタパタとフィルの周りをぐるぐる飛んで遊び始めた。しかし部屋のドアがノックされてフィルが行ってしまい、手すりに止まって少し残念そうな鳴き声をあげる。
「おはよ、咲夜!それでそれで?今度は何の事件かなっ」
「おはよう。よく分かったね」
「フォークスがやって来るのが見えたから、何かあるのかなって」
「でも今回は事件が起こった訳じゃなくて、未然に防ごうとするかんじだよ」
「ふむふむ」
ドアを開けるなり入ってきて話し出したゆあ。事件と言いながら少し……いやだいぶ楽しそうである事をつっこむ者は自室で爆睡中。
一方フォークスはゆあが1番構ってくれるのを熟知しているので早速突撃し、ゆあは当たり前のように抱きとめる。そしてフォークスを片手で構いながら説明を聞き始めた。
「つまり、第一王女に要注意。それからゆあ達が誰にも触れさせずそのリルアの毒鋼?を消滅させたら勝ちってこと?」
「勝ち負けの話じゃないが、まぁそうだな。裏にいる奴も暴きたいが……どうせウィルだろうな」
「そうだね。ホントもう、しつこいんだから」
「うん。まぁとりあえず貴重な物を使うから一撃で決めてくると思うから、気を付けておこうか」
「だね!怖いなぁ」
わざとらしく怖がるフリをするゆあを見て、張り詰めかけていた空気がやんわりとほぐれる。……ただしこと後、起きた一、りん、セバスチャンと順に3度も説明する羽目になるのであった。
「……?どうしたの、フィル」
次の日。朝起きるなり城から取り寄せた厚い辞典を開き、リルアの毒鋼について調べ直すフィル。咲夜の質問を話半分に聞きつつ、今しがた見つけたページを見せた。
「リルアの毒鋼……?絶対零度で液体って、こんなのありえないよ」
「残念ながらあるんだ。……”リルアの毒鋼に触れてしまった者の記憶を取り戻す方法は一つしかない。又、成功率も低く唯一の成功者も一ヶ月ほどの記憶が無くなったままである”」
「”その方法とは不死鳥の涙3滴にリルアの原液を色が薄紫になるまで入れ、純水の中で結晶化させる。それを記憶を失った者の1番愛していた人物、愛されていた人物の口移しで取り込ませる”……おとぎ話にありそうだけど、一体どういうして調べたの?」
「この危険物質が何か小さな物に加工された上で、リザリス王女の手の内にあるんだよ。しかもそれを誰かに使う気だ」
昨日聞いたことを掻い摘んで説明し終えたところで、咲夜が何かを察してため息をついた。そしてベランダに出て何をするかと思えば、高らかに口笛を鳴らす。
「サクヤ、何を?」
「どうせ私達が狙われてるんでしょ?触らないのが一番だけど、万が一はあるしね」
「ん?……あぁ、そういうことか」
咲夜の説明を聞いてなお首をかしげていたフィルだが、空を見て納得する。青空にポツンと、紅と金の美しい鳥がこちらに飛んでくるのだ。
「フォークス!また大きくなったの?あんまり食べすぎちゃダメって言ったのに」
「くるるっ」
もー、などと怒りながらもフォークスの頭を優しく撫でてやる咲夜。フォークスのほうも金の嘴を咲夜に擦り寄せ甘え、黒い瞳も嬉しそうにキラキラしている。
「フォークスを近くに置いておくのか?」
「うん、私の口笛が聞こえる範囲にね。連れ立って歩くにはちょっと目立つし。フォークス、分かった?」
「くるるっ」
もちろん、とでも言うように鳴いたフォークス。そのままパタパタとフィルの周りをぐるぐる飛んで遊び始めた。しかし部屋のドアがノックされてフィルが行ってしまい、手すりに止まって少し残念そうな鳴き声をあげる。
「おはよ、咲夜!それでそれで?今度は何の事件かなっ」
「おはよう。よく分かったね」
「フォークスがやって来るのが見えたから、何かあるのかなって」
「でも今回は事件が起こった訳じゃなくて、未然に防ごうとするかんじだよ」
「ふむふむ」
ドアを開けるなり入ってきて話し出したゆあ。事件と言いながら少し……いやだいぶ楽しそうである事をつっこむ者は自室で爆睡中。
一方フォークスはゆあが1番構ってくれるのを熟知しているので早速突撃し、ゆあは当たり前のように抱きとめる。そしてフォークスを片手で構いながら説明を聞き始めた。
「つまり、第一王女に要注意。それからゆあ達が誰にも触れさせずそのリルアの毒鋼?を消滅させたら勝ちってこと?」
「勝ち負けの話じゃないが、まぁそうだな。裏にいる奴も暴きたいが……どうせウィルだろうな」
「そうだね。ホントもう、しつこいんだから」
「うん。まぁとりあえず貴重な物を使うから一撃で決めてくると思うから、気を付けておこうか」
「だね!怖いなぁ」
わざとらしく怖がるフリをするゆあを見て、張り詰めかけていた空気がやんわりとほぐれる。……ただしこと後、起きた一、りん、セバスチャンと順に3度も説明する羽目になるのであった。
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退会済ユーザのコメントです
退会済ユーザのコメントです
イオ&ティオは割とお気に入りキャラなんですよー!
長い年月を生きている人達なので、まぁいろいろ知っているんですよw
楽しんでください(●︎´▽︎`●︎)
退会済ユーザのコメントです
ありがとうございます!
同じぐらいだと思いますが、読みやすかったのでしょうか?
そうなんですね!
お社の中は、”主”が作った拡張空間ってところでしょうか……
そう言って貰えて嬉しいです(*´˘`*)