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本編
63.「とりあえず進むか」
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双子やしの根元でブンブン羽音を響かせて飛ぶサニービー達。そこにやってきたフィルと一に普段温厚なビー達が警戒の色を示す。直後、ビー達に気づかれず気に登っていたゆあが1つ目の巣を切り落とした。
「咲夜!」
「うん!」
切り落とされた巣がゆあのいる地上7、8メートルから落ちる。それを咲夜が下で危なげなく受け止め、フィルが予め開いておいた空間に放り込む。
そこに怒って瞳が赤くなったサニービー達が襲いかかろうとするが、一がターゲットをとる。鋭い針を見せながら飛んでくるビー達を盾で受け、そこをフィルが斬る。
サニービー達を狩り尽くしてはいけないので殺すのは最小限に抑え、針だけを器用におる。その間にゆあがもう1つ自分達用の巣を切り落とし、1つ目同様空間に入れた。
「ミッション終わり!逃げろー!」
ひょいっ、と軽く木から飛び降りたゆあがそう叫びつつ走り出す。咲夜と一もこれに続き、フィルは近くにいたビー達の針を折ってから3人の後を追う。
舗装された道などないので、けもの道をビー達から全力疾走で逃げる一行。しかしかれこれ5分走っても距離は離せず、ビーの方も諦めてくれない。
「ちょっとフィル、いつまで逃げるの!」
「入口まで行くのか!?」
「んー、反対方向に逃げてきたけど?」
「とりあえず建物に入れば追われなくなるから、朔、探してくれ」
「……んー、あった、これだ!ついてきてー」
「わかった」
いつの間にかしんがりにいたゆあがフラリと先頭に出て、少しスピードを上げつつ道案内を始める。しかしすぐにけもの道からも逸れ、草木の中に突っ込んだのでスピードは落ちる。
「見つけた!」
道無き道を草木をかき分けかき分け進む一行。ようやくゆあが声を上げ、蔦が絡まり苔むしてそこが建物の入口だと知らなければ気づかないレベルの入口を開ける。
「早く入って!丸君、閉めて!」
一人分だけ開いた扉にゆあ、咲夜、フィルが滑り込み、しんがりの一が慌てて扉を引いて閉める。扉が閉まると同時に内部は完全な暗闇となったが、4人はひとまずサニービー達から逃れたことに息をつく。
……さて。このダンジョンはサニービーの巣が多いことで有名である。それは咲夜達も知っていた。ただし、このダンジョンに潜る熟練の冒険者達の間ではもう1つ有名な話がある。
それは、このダンジョン内にサニービー達から逃れるための、いかなる建物も存在しないということだ。
「……フィル、灯りある?」
「ないからか光球で我慢してくれ」
そういったフィルが魔法で直径5センチ程の光球を4つ作り出し、ふわふわと漂わせた。中は古代遺跡のように古く朽ちかけており、入口の石扉と同じく苔と蔦にまみれた通路になっている。
「とりあえず進むか」
「うん」
「あぁ」
「そうだね」
何も無い通路をしばらく歩くと、一本道の先に開けた空間があることに気付いた4人。その場の雰囲気に飲まれ、無言のまま早歩きになる。
「……。ねぇ、これ」
「でもこのダンジョンって1階層なんでしょ?」
「単なる噂じゃなかったのか?」
「噂じゃなかったんだろ」
通路の突き当たり、そこだけ広い空間になっているとこについた咲夜達。その部屋の中央にぽっかりと開いた下へと続く螺旋階段を見て、ただ呆然とするしかなかった。
「咲夜!」
「うん!」
切り落とされた巣がゆあのいる地上7、8メートルから落ちる。それを咲夜が下で危なげなく受け止め、フィルが予め開いておいた空間に放り込む。
そこに怒って瞳が赤くなったサニービー達が襲いかかろうとするが、一がターゲットをとる。鋭い針を見せながら飛んでくるビー達を盾で受け、そこをフィルが斬る。
サニービー達を狩り尽くしてはいけないので殺すのは最小限に抑え、針だけを器用におる。その間にゆあがもう1つ自分達用の巣を切り落とし、1つ目同様空間に入れた。
「ミッション終わり!逃げろー!」
ひょいっ、と軽く木から飛び降りたゆあがそう叫びつつ走り出す。咲夜と一もこれに続き、フィルは近くにいたビー達の針を折ってから3人の後を追う。
舗装された道などないので、けもの道をビー達から全力疾走で逃げる一行。しかしかれこれ5分走っても距離は離せず、ビーの方も諦めてくれない。
「ちょっとフィル、いつまで逃げるの!」
「入口まで行くのか!?」
「んー、反対方向に逃げてきたけど?」
「とりあえず建物に入れば追われなくなるから、朔、探してくれ」
「……んー、あった、これだ!ついてきてー」
「わかった」
いつの間にかしんがりにいたゆあがフラリと先頭に出て、少しスピードを上げつつ道案内を始める。しかしすぐにけもの道からも逸れ、草木の中に突っ込んだのでスピードは落ちる。
「見つけた!」
道無き道を草木をかき分けかき分け進む一行。ようやくゆあが声を上げ、蔦が絡まり苔むしてそこが建物の入口だと知らなければ気づかないレベルの入口を開ける。
「早く入って!丸君、閉めて!」
一人分だけ開いた扉にゆあ、咲夜、フィルが滑り込み、しんがりの一が慌てて扉を引いて閉める。扉が閉まると同時に内部は完全な暗闇となったが、4人はひとまずサニービー達から逃れたことに息をつく。
……さて。このダンジョンはサニービーの巣が多いことで有名である。それは咲夜達も知っていた。ただし、このダンジョンに潜る熟練の冒険者達の間ではもう1つ有名な話がある。
それは、このダンジョン内にサニービー達から逃れるための、いかなる建物も存在しないということだ。
「……フィル、灯りある?」
「ないからか光球で我慢してくれ」
そういったフィルが魔法で直径5センチ程の光球を4つ作り出し、ふわふわと漂わせた。中は古代遺跡のように古く朽ちかけており、入口の石扉と同じく苔と蔦にまみれた通路になっている。
「とりあえず進むか」
「うん」
「あぁ」
「そうだね」
何も無い通路をしばらく歩くと、一本道の先に開けた空間があることに気付いた4人。その場の雰囲気に飲まれ、無言のまま早歩きになる。
「……。ねぇ、これ」
「でもこのダンジョンって1階層なんでしょ?」
「単なる噂じゃなかったのか?」
「噂じゃなかったんだろ」
通路の突き当たり、そこだけ広い空間になっているとこについた咲夜達。その部屋の中央にぽっかりと開いた下へと続く螺旋階段を見て、ただ呆然とするしかなかった。
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